会社法では、剰余金の配当や自己株式の取得等に対して統一的な財源規制を課しています。
剰余金の配当等に関して金額的な限度を定めている訳です。
会社法における剰余金の配当等の統一的な財源規制のハードル、それが「分配可能額」です。
税理士試験でも財務諸表論や公認会計士試験、日商一級でも出題の可能性は高いでしょう。
簿記論の守備範囲からはややはずれていると思います。
そのためこれまでこのブログではとりあげてきませんでした。
基本的なスタンスは今後も大きく変わりません。
しかし、一点だけものすごく気になっています。
それは、分配可能額と実際の剰余金の配当との関係です。
端的には分配可能額とは別に剰余金の配当の限度があり得るのかです。
剰余金の配当段階では、準備金の計上が義務付けられています。
その分を実際の剰余金の配当にあたって考慮する必要があるのか。
関心はその一点です。
剰余金が110万円であった場合(分配可能額の計算上の控除額はなし)で考えてみましょう。
以下では、準備金は、要計上額を加味しても限度額(資本金の4分の1)に達しない状況を想定します。
仮に100万円の剰余金の配当を行えばその10分の1の10万円の準備金を計上する必要があります。
その場合に、実際に配当ができるのは、110万円なのか。
準備金の計上額を加味した100万円なのかです。
この点について、会社法、会社計算規則そして会計基準を参考にしながら考えてみたいと思います。
もっとも特に会社法については、私が微妙なので以下の書籍を参考にさせていただきました。
法務大臣官房参事官相澤哲編著 別冊商事法務「立法担当者による新会社法関係法務省令の解説」(以下「解説」と称します)。
まずは、きわめてラフに会社法の規定をみておきましょう。
会社法461条
「次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等……の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
一〜七 略
八 剰余金の配当」
会社法461条では、剰余金の配当等を行う場合の金額的制限を定めています。
その金額的制限が「分配可能額」です。
第2項が具体的な分配可能額の計算に関する規定です。
臨時計算書類を作成せず、会社の保有する財産が仮に現金のみであり、最終事業年度の末日後に何らの行為も行っていない場合を考えると分配可能額は、一号の「剰余金」になります。
剰余金の額については、会社法446条(や会社計算規則177条)に規定されています。
規定はかなり複雑ですが、結論的には、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額になります(「解説」111頁参照)。
ちょっと特殊な項目(これが多いですが)を除けば、剰余金(その他資本剰余金とその他利益剰余金)の額が分配可能額になります。
分配可能額と剰余金の配当(2)へ
剰余金の配当等に関して金額的な限度を定めている訳です。
会社法における剰余金の配当等の統一的な財源規制のハードル、それが「分配可能額」です。
税理士試験でも財務諸表論や公認会計士試験、日商一級でも出題の可能性は高いでしょう。
簿記論の守備範囲からはややはずれていると思います。
そのためこれまでこのブログではとりあげてきませんでした。
基本的なスタンスは今後も大きく変わりません。
しかし、一点だけものすごく気になっています。
それは、分配可能額と実際の剰余金の配当との関係です。
端的には分配可能額とは別に剰余金の配当の限度があり得るのかです。
剰余金の配当段階では、準備金の計上が義務付けられています。
その分を実際の剰余金の配当にあたって考慮する必要があるのか。
関心はその一点です。
剰余金が110万円であった場合(分配可能額の計算上の控除額はなし)で考えてみましょう。
以下では、準備金は、要計上額を加味しても限度額(資本金の4分の1)に達しない状況を想定します。
仮に100万円の剰余金の配当を行えばその10分の1の10万円の準備金を計上する必要があります。
その場合に、実際に配当ができるのは、110万円なのか。
準備金の計上額を加味した100万円なのかです。
この点について、会社法、会社計算規則そして会計基準を参考にしながら考えてみたいと思います。
もっとも特に会社法については、私が微妙なので以下の書籍を参考にさせていただきました。
法務大臣官房参事官相澤哲編著 別冊商事法務「立法担当者による新会社法関係法務省令の解説」(以下「解説」と称します)。
まずは、きわめてラフに会社法の規定をみておきましょう。
会社法461条
「次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等……の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
一〜七 略
八 剰余金の配当」
会社法461条では、剰余金の配当等を行う場合の金額的制限を定めています。
その金額的制限が「分配可能額」です。
第2項が具体的な分配可能額の計算に関する規定です。
臨時計算書類を作成せず、会社の保有する財産が仮に現金のみであり、最終事業年度の末日後に何らの行為も行っていない場合を考えると分配可能額は、一号の「剰余金」になります。
剰余金の額については、会社法446条(や会社計算規則177条)に規定されています。
規定はかなり複雑ですが、結論的には、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額になります(「解説」111頁参照)。
ちょっと特殊な項目(これが多いですが)を除けば、剰余金(その他資本剰余金とその他利益剰余金)の額が分配可能額になります。
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