会計基準、読んでますか?

会計基準が過去出題にどのように反映されているのか。

財務諸表論の過去問を小問化してお届けしています。


平成17年第一問の出題は、退職給付引当金でした。

予想項目に当然のようにあがっていた項目でしょう。

発生主義との関係をメインとした難易度の高い出題でした。

意見書の穴埋めや意見書の用語を要求する等、意見書や基準をよく読んでいるかが基礎点につながりそうです。

この出題の難易度を高めたと思えるのが発生主義との関係を軸に据えていた点です。

注解18はいわば受験生にとって常識的ともいえる規定です。

しかし、それをきちんと自分の頭で整理していないと回答はおぼつかないのではないかと思います。

特徴的と思えるのは次の点でしょうか。

(1)意見書の重視

(2)基本的考え方(発生主義)と各論(退職給付引当金)との関係

(3)限定の付された説明の要求

(4)複数解答の存在


以下、重複しますが、みておきましょう。

(1)本問では、意見書の要約の文章が示されています。

その一部が穴埋めになっています。

また、解答要求として意見書に記述のある用語を要求した設問があります。

単純には、意見書(基準)をよく読めという要求でしょう。


(2)解答要求が単発(○○の意義等)にならず、総論と各論との関係を踏まえたものになっています。

この点、最終的な各論だけでなく、総論とのつながりを意識した学習が必要といえるかもしれません。

(1)と合せれば、意見書をきちんと読めということでしょうか(って同じか)。


(3)説明に際して「基準に即して」や「相違を明らかにした上で」、「対比しながら」といった限定が付されていた点が大きな特徴でしょう。

このような限定は、いわば用意した文章ではなく、重要句をつなぎながら自分の言葉で文章をつくれという要求に思えます。

もっともその要求にどれだけの受験生が答えられたかはわかりませんが。


(4)複数回答の存在があるらしい点も特徴といえるかもしれません。

このような複数回答の存在は理論科目にはよくあることです。

このような場合、説の分岐等に対して、どちらの説が正しいかが問題ではありません。

どちらの説をとるにせよ論理的な解答が出来ているかが重要になります。


総じて難易度は高いと思います。

個人的に注解18には関心があるせいか、この問題の奥深さがよくわかります。