会計基準、読んでますか?

会計基準が過去出題にどのように反映されているのか。

財務諸表論の過去問を小問化してお届けしています。

(問題)
減損損失の測定について、事業投資の二つの回収手段を示し、それぞれに基づいて簡潔に説明しなさい。
なお、強調したい用語に下線(2箇所)を引くこと。

(解答欄)
2つの回収手段(          )、(          )
減損の測定

(解答)
2つの回収手段(売却 )、(使用 
減損の測定
売却による回収額である正味売却価額と使用による回収額である使用価値のいずれか大きい金額(回収可能価額)まで帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として当期の損失とする。
※下線は、正味売却価額と使用価値

(関連会計基準)
・減損会計基準 意見書 四2(3)
・減損会計基準 二3
・減損会計基準 注1

(コメント)
意見書からの出題です。
使用目的の資産(固定資産)は、「使用」を通じてその投下資金が回収されます。
しかし、もし売っちゃった方が得なら「売却」すればいいです。
こんなシンプルな理解があれば意見書を仮に読んでいなくても解答は可能でしょう。
シンプルな理解を基準にある一般的な単語として要求したとてもよい問題だと思います。
解答にあたって試験委員が要求しているのは、このような問題と解答を想定することではないかもしれません。
このような「理解」をしていたかではないでしょうか。

固定資産に投じられた資金の回収手段は、使いつづけるか(使用)、売るか(売却)です。
そのことを踏まえつつ、基準の言葉を一部借りながら、測定についてかければよいでしょう。
使用による回収額である「使用価値」。
売却による回収額である「正味売却価額」。
この「使用価値」と「正味売却価額」ははずさない。
これは基準で「定義」されている。
どっちか大きい金額を簿価から引く。
その引いた金額が減損損失。
そのことを文章として表現できていればよいです。
ムリに基準やテキストの文章にする必要はありませんし、そうしない方がいいです。
もちろん意味が変ってしまってはダメです。
でも、意味が変らない範囲で、重要句を踏まえて、自分で書く(練習は必要です)。
財務諸表論の理論は、その方がいいです(たぶん)。