会計基準、読んでますか?

会計基準が過去出題にどのように反映されているのか。

財務諸表論の過去問を小問化してお届けしています。

(問題)
(次の文章の)空欄(1)から(3)に適切な用語を記入しなさい。

事業用の固定資産については、通常、市場平均を超える成果を期待して事業に使われているため、市場の平均的な期待で決まる(1)が変動しても、企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、また、投資の価値自体も、投資の成果である(2)が得られるまでは(3)したものではない。

(解答)
(1)時価
(2)キャッシュ・フロー
(3)実現


(関連会計基準)
・減損会計基準 意見書三1

(コメント)
この穴埋めは力がいると思います。
基本的考え方の冒頭部分なので意見書をよく読んでればできるとはいえます。
できるとはいえますが厳しいです。

ちょっとたこ焼の例で考えておきましょう。
そう、事業投資といえばたこ焼です(ホントか?)。
たこ焼事業に投資(資金投入)することが事業投資です(って、狭すぎか)。
たこ焼屋の固定資産といえばたこ焼器でしょうか。
この道30年のオヤジさんの使っているたこ焼器は年季が入ってます(たこ焼屋のオヤジさんの正体はこちらです)。
売っちゃえば二束三文です。
でもオヤジさんにとっては、とても重要です。
売却価値がないことは問題ナシです。

オヤジさんにとって重要なのは、そのたこ焼器を使うことです。
オヤジさんにとって重要なのは、売ったら何ぼの価値「売却価値」ではなく、使って何ぼの価値「使用価値」です。
しかし、たこ焼器が使えなくなれば(使用価値もなくなれば)、いくらかでも売った方がマシでしょう。
いや、オヤジさんは売らないかもしれませんが、ここでは別問題です。
「売却価値」以上の「使用価値」があることがオヤジさんがそのたこ焼器を使っている理由といえそうです。

たこ焼器の売却価値が多少変動してもたこ焼器の使用自体に影響はありません。
たこ焼器の売却価値(時価)の変動をたこ焼器の評価に影響させるべきではないでしょう。
たこ焼器に関した収益が得られるのは、たこ焼器を使って、たこ焼を焼いて、売って、最終的には、現金を受取った段階です。
たこ焼器の価値も本来はその将来の現金収入(キャッシュ・フロー)に見合うべきものでしょう(でもこりゃわかりにくいや)。
たこ焼器の価値を考える場合には、単なるある時点の売却価値ではかるべきではないこともわかります。

以上、たこ焼器を5つタテに並べてみました(←アナタ何がしたいの?)。

こんな具体的な事業投資の例で考えるとよいかもしれません。

第一問・第二問で出題される穴埋めは意外に厳しいです。
第三問で出題される穴埋めは知識を問う問題になっていることが多いです。
第一問・第二問の出題が、理解を問う穴埋めになっている事が多いからかもしれません。
未出題で重要な会計基準の意見書や結論の背景の冒頭に近い部分は、要注意でしょう(企業結合、純資産基準等)。