企業会計原則、読んでますか?

今日は対応をさらにのばしつつ、縮めたいと思います(?)。

かなり趣味が入ってますので、その点もお含みおきください。



企業会計原則では、「対応」という考え方が重要性をもっています。

その前提として、企業会計原則における損益計算が収支の損益への変換を考えている点があげられるでしょう。

損益計算書原則一Aを考えてみてください(一Aは、とても大事です)。

収入→収益

支出→費用

という構図をとっていることがわかります。

そして両者の差引計算として損益が算定されるという寸法です。

収入を収益に変換し、支出を費用に変換する。

その一次的な判断基準が「発生」(価値の増減)です。

でも、収益は「実現」による必要がありました(ただし書、三B)。

その「実現収益」に「対応」する費用を認識する必要があった訳です。

費用に着目すると「二段階」方式になっているんですね。

第一段階が「発生」で、第二段階が「対応」です。



気になるのが概念フレームワークです。

概念フレームワークでは、対応という考え方が登場していないようです。

これは一体なぜでしょうか。

企業会計原則では、収支の変換としての「収益−費用=純利益」を考えています。

これに対して概念フレームワークは純資産の増(のうちのリスクからの解放部分)を純利益と考えています。

それは企業活動の見方の違いによるといえるかもしれません。


かなり長くなりますが、ちょっと具体的に考えてみましょう。

商品を100円で仕入れ、150円で売却した場合の取扱いです。

(企業会計原則の考え方)
支出:仕 入100 現 金100
収入:現 金150 売 上150

純利益=売上150−仕入100=50

このような考え方は仕訳処理でいうといわゆる三分法にピッタリです。

上記の例では、収入=収益、支出=費用です。

支出が費用(売上原価)にならない場合(期末に売れ残っている場合)には、決算整理を要します。

繰越商品××× 仕入×××

この貸方・仕入が支出(ただの仕入)を費用(売上原価)に置き換えるための仕訳であることがわかります。


(概念フレームワークの考え方)
最後の純資産(現金)150−最初の純資産(現金)100=50

概念フレームワークでは、当期中にリスクから解放された純資産の増を純利益としています。

タイミングは、事業投資(商品販売等)の場合には、通常の実現と同じです。


現金100→商品100→現金150


このような流れを想定し、当初は100(現金→商品)が、150(現金)に姿を変えた。

その増分が利益といえるでしょう。

このような流れは、分記法(売上原価計上法でもいいですが)を想定するとわかりやすいかもしれません。

仕入:商 品100 現  金 100
販売:現 金150 商  品 100
          商品販売益 50

分記法では、資産の現実の増減と仕訳の関係が一致していますので、決算整理は不要です。



このように企業会計原則における見方と概念フレームワークの見方はちょっと違っています。

「商品の仕入→販売」という取引は変りません。

その取引を説明する「考え方」の違いといえるかもしれません。

企業会計原則では、収支を軸に総額で考えています。

概念フレームワークでは、

現金100→商品100→現金150

という資産(裏返せば資本)の流れを想定し、純額で考えているだろうことが伺えます。



企業会計原則における実現主義は、「収益の」認識の考え方です。

これに対して概念フレームワークにおけるリスクからの解放は、基本的には、「利益の」認識の考え方です。

同じ成果でも、総額(収益)と純額(利益)の違いがあるようです。

「認識」はタイミングの問題ですから、利益でも、収益でも考え方が大きく異なる訳ではないでしょう。

リスクからの解放を「収益の」認識の考え方として説明することは可能です。

しかし、基本的には、利益に対する考え方です。

つまりは、そもそもが「対応」という考え方を全面に押し出していない(押し出す必要がない)ことがわかるのではないかと思います。



企業会計原則のもとでは重要性をもった「対応」。

その対応も概念フレームワークには登場しません。

位置付けは、基礎となる考え方の違いで随分変るものなんですね(←って、感想ですか)。




そうだ、会計基準を読もう!!(対応をゆるやかに筋をおって考えるようにしましょう)



会計基準を読もう!!<目次>