企業会計原則、読んでますか?

企業会計原則には古びて使い物にならない規定も多く(「どこを読まないか」参照)、相対的な重要性は低くなっています。

しかし、新基準色が強くなった平成14年以後も企業会計原則関連からの出題が続いています。

繰延資産や引当金といった動態論(収益費用アプローチ)における特徴的な項目の基本的な考え方が変らない以上、試験的にも企業会計原則はもういいよとはなりません。

しっかりと読みましょう!!



今回はしつこく実現をのばします。

実現概念は、狭義には、商品を引渡し(役務提供を完了し)、その対価として現金・現金等価物(貨幣性資産)の受領をもって収益を認識する考え方を意味します。

このように確実で客観的な収益の認識が、制度上の処分(配当等)可能利益の算定の要請にもマッチしています。

狭義の実現概念のもとでは、第三者との客観的な取引があった段階で収益を認識します。

しかし、この実現概念は、歴史的にも拡大しているといえます。

もっとも拡大された実現概念は、実現可能(性)概念などと呼ばれます。

実現概念を実現可能な状態にまで広げる考え方です。

実現可能概念の狙いは、既存の実現概念を借りながら、有価証券をはじめとする金融商品の時価評価(評価益の計上)を説明することにあるといってよいかもしれません。

実現可能性概念のもとでの利益が包括利益です。



概念フレームワークにおける収益(利益)の認識の考え方は「リスクからの解放」です。

この場合の「リスク」は、不確実な状態を意味しています。

「リスクからの解放」とは、投資目的に応じた確実な成果の獲得をもって利益を認識する考え方です。

リスクからの解放のもとでの利益概念が現在の純利益(当期純利益)です。



実現概念が拡大している点(狭義の実現→実現可能)、そして概念フレームワークでの実現に似た概念(リスクからの解放)の位置付けを把握しましょう。



そうだ、会計基準を読もう!!(実現、実現可能、そしてリスクからの解放。ややこしいですね)



会計基準を読もう!!<目次>