金融商品会計基準、読んでますか?

今日は、金融資産の譲渡に係る支配の移転についてです。

厳しいです(←そればっかですな)。


<本編>9項:権利に対する支配の移転要件

<結論の背景>57項〜58項


ここは、とても読みにくいです。

で、重要性はあると思います(残念です)。

アプローチしていなければ、出題されたときに解答不能でしょう。

その意味では、出題の可能性(例えばBランク)以上に重要かもしれません。



前提は、金融資産の消滅の認識です。

金融資産がなくなった(貸方・金融資産)話です。

(1)権利を行使(権利を使う)
(2)権利を喪失(権利がなくなる)
(3)権利に対する支配が他に移転(権利が誰かに移る)

まあ、要はなくなる話ですが、このうちの(3)の話です。

57項の5行目中段「金融資産の〜」7行目上段「〜方法」
までを細く(サイドラインで)マーカーをして、「リスク・経済価値アプローチ」を太めに、

同じく、57項の8行目上段「金融資産を〜」11行目中段「〜方法」
までを(サイドラインで)マーカーをして、
「財務構成要素アプローチ」を太めにマークしておいてください。

と、57項の最後の3行もマークです。



簡単にいうと次のような感じでしょうか。


リスク・経済価値アプローチ → 全部アプローチ

財務構成要素アプローチ → 部分(バラバラ)アプローチ


リスク・経済価値アプローチでは、全部の移転しか認めません。

なくなるときは、全部です。

財務構成要素アプローチは、部分の移転を認めます。

一部がなくなったのを認めます。

普通の商品、例えばイスだと、足の部分だけとか、背もたれだけ売ったなんてことはないでしょう。

足は、私の分で、背もたれは君の分なんてのはおかしいです。

全部アプローチ(リスク・経済価値アプローチ)が前提です。

ところが、金融商品は、イスなんかのように実体がある訳ではありません。

バラバラにしたり、くっつけたりがしやすいし、それでもちゃんと成り立ちます。

転換社債型以外の新株予約権付社債(←これがすでに遠いって)だって、新株予約権が行使されれば(なくなれば)、ただの社債です。

つまりは、バラバラにできます。

で、金融商品に関しては、部分アプローチ(財務構成要素アプローチ)がとられる訳です。

具体的な題材を考えたときに、その題材をみて余計わからなくなる感じかもしれません。

その意味では手形割引なんてのは、手ごろではないかと思います。

以前に手形割引の会計処理を題材に書いた長い記事があります(長いですよ〜)。

金融商品会計基準(特に金融資産の発生・消滅の認識)と本格的に取り組もうという方は、ぜひご一読ください。


記事そのものは、このブログにもありますが、下記で一覧できます(直接の記述は7からです)。

最後の問題へのリンクで社債の問題がありますが、改定してありませんので、ご承知おきください。

「続・手形割引の会計処理」



しかし、名前どうにかならないでしょうか。



そうだ、会計基準を読もう!!(今からでも名前、変更希望!!「リスク・経済価値アプローチと財務構成要素アプローチ」って、そりゃ殺生だす)



会計基準を読もう!!<目次>