自己株式の消却は、従来よりもシンプルになりました。
所有する自己株式は、取締役会の決議等により消却できます。
自己株式の消却が行われた場合は、その他資本剰余金から減額します(←この取扱いのみです)。

(1)自己株式の取得
(借)自己株式××× (貸)現金預金×××

(2)自己株式の消却
(借)その他資本金剰余金 ××× (貸)自己株式×××

(3)その他資本剰余金が会計期間末にマイナス(借方残)になる場合
(借)繰越利益剰余金××× (貸)その他資本剰余金×××

(2)の処理を行った結果その他資本剰余金がマイナス残(借方残)になる場合は、これを繰越利益剰余金から減額します。
この結果、繰越利益剰余金がマイナス(借方残)になっても、そのままです
で、この取扱いがあるので、その他資本剰余金は、個別に内訳(自己株式処分差益等)を示すよりも、勘定科目としても「その他資本剰余金」の方が好ましいと思います。
会社法の規定からは必ずしも明確という感じではありません。
しかし、会計基準では、「会計期間末において」その他資本剰余金をゼロにして、マイナスを繰越利益剰余金から減額することが明示されています(自己株式基準12項、45項等参照)。

自己株式の消却を行った段階でその他資本剰余金の残高が消却を行った自己株式の帳簿価額よりも少ない場合は、会計処理が微妙です。
というかできない?
普段は、自己株式処分差益等で、この場合だけ、その他資本剰余金というのも変です。
繰越利益剰余金から減らすのは、その後にその他資本剰余金が増える可能性があるので変です。
はじめから、自己株式処分差益等を使わず、単に「その他資本剰余金」にしておけば、期中はその他資本剰余金のマイナス残(借方残)になっているだけの話です。
で、期末に最終的にマイナスなら繰越利益剰余金から控除でいいです。
この方が会計処理としてもシンプルでわかりやすいと思います。

会計基準を素直に読む限り、このような会計処理を想定していると考えるのが自然でしょう。
この点、強く感じるのは、企業会計基準委員会からの会計基準等は、簿記処理も念頭に置いていてくれているらしい点です。
会社法施行以前にちょっと私的に???だった処理でシンプル、かつ、明確になったものがいくつかあります。
企業会計基準委員会の皆さん、どうもありがとうございます!!。

という訳で、「その他資本剰余金」という勘定科目が定着することを希望します(←希望なのね)。
というか「その他資本剰余金」ということでよろしくお願いいたします。
というか、私の都合もありますので(←あなたの都合なのね)。

最初の段階でその他資本剰余金に自己株式処分差益と資本金及び資本準備金減少差益がある。
でも勘定科目は、その他資本剰余金がベスト。
自己株式処分差益でも間違いじゃないけど、その他資本剰余金のがいい。
うん、これでいきましょう!!
約束だよ♪(←誰?)

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税理士試験 簿記論 年度別変更点