「財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表を作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。
後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。
重要な後発事象を開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用である。」

「後発事象」とは、文字どおり、「貸借対照表日」後に発生した事象です。
貸借対照表日とは、貸借対照表の作成の基準となる日、つまり期末日をいいます。
貸借対照表日(期末日)が、3月31日であれば、翌日の4月1日以後に発生した出来事が後発事象です。
貸借対照表日後に大きな災害や企業にとって不利益をもたらすような事実が発生した場合には、これらの情報を開示することは、利害関係者にとって有益でしょう。
後発事象のうち注記を要するのは、重要なものに限られますが、後発事象の開示は、将来の財政状態及び経営成績の理解に有用です。

(まとめ)
財務諸表には、財務諸表作成日までに発生した重要な後発事象(貸借対照表日後に発生した次期以後に影響を及ぼす事項)を注記しなければならない。
(財務諸表の修正との関係)
貸借対象表日後に発生した事象によって、財務諸表の修正を要する場合があります。
このことを踏まえると後発事象には次の2類型があるといってよいでしょう。
(1)財務諸表の修正を要するもの
(2)財務諸表の修正を要しないもの

もっとも企業会計原則における後発事象の定義からは、このことを読み取ることはできません。
後発事象が「次期以降」の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものと規定されている以上、財務諸表の修正を要する事項は、企業会計原則上の後発事象とは言いにくいでしょう。
この点も含めて、なぜ、貸借対照表日後に発生した事象で財務諸表の修正を要する場合があるのかを考えておく必要があるかもしれません。
この点については、引当金の学習時に取り上げたいと思います。