「会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。」

企業会計は、企業活動の記録・測定・報告です。
その方針が、「会計方針」です。
記録と測定を「処理」とまとめるなら、会計処理と報告の方針が「会計方針」といえるでしょう。
財務会計では、報告は、財務諸表の開示という手段をとりますので、会計方針は、会計処理と表示の方針と短くはいえるでしょう。
企業会計原則では、会計方針として、(1)会計処理の原則、(2)会計処理の手続、(3)表示の原則があげられています。

やや具体的に見ておくと、例えば、棚卸資産の評価は、原価(正味売却価額が原価を下回る場合には、正味売却価額)によります。
さらに細かくみていくと、同様に原価といっても、先入先出法をとるのか、平均法をとるのかでも、財務諸表の数値は異なってきます。
このためどのような会計処理の原則(原価基準)や会計処理の手続(先入先出法か、平均法か)を採用したかを利害関係者に開示する必要があるのです。

(まとめ)
「会計方針」とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。

(「及び」と「並びに」)
本文では、「会計方針」を次のように分解しました。
「(1)会計処理の原則 及び (2)手続 並びに (3)表示の方法」

(1)会計処理の原則
(2)会計処理の手続
(3)表示の原則

言葉の問題としては、小さいくくりに「及び」が使われ、大きいくくりに「並びに」が使われるのが一般的です。
次のように整理する方が正確かもしれません。
「(1)ア 会計処理の原則 及び(1)イ 手続 並びに (2)表示の方法」

(1)ア 会計処理の原則
   イ 会計処理の手続
(2)表示の方法

会計方針の定義は、とても大事なので、細かな接続詞にも気を配りたいところです。