「資本取引と損益取引とを明確に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」
一般原則の第三原則は、「資本と利益の区別の原則」(資本取引・損益取引区別の原則、剰余金区別の原則)です。

「資本と利益の区別の原則」は、「もとで」としての資本と「もうけ」としての利益の明確な区別を要求する原則です。
企業は出資者から受け入れた資金(「もとで」)をもとに活動を行い、「もうけ」を獲得することを目指しています。
この「もとで」と「もうけ」を明確に区別することは、とても重要です。
同じく純資産(例えば現金)が増えたといっても、出資者から資金を受入れたのと利益があがったのでは、状況は全く異なります。
出資者から受入れた「もとで」(の追加)を「もうけ」としたのでは、正しい財政状態や経営成績を示すことはできません。

「資本と利益の区別の原則」の前段では、取引に着目して、資本取引と損益取引を明確に区別することを要求しています。
後段では、取引の結果に生ずる剰余金に着目して資本剰余金と利益剰余金を混同してはならないことが指摘されています。

(まとめ)
「資本と利益の区別の原則」は、「もとで」としての資本と「もうけ」としての利益の明確な区別を要求する原則である。
(資本)
資本の語は、様々な意味を持って使用されます。
(1)自己資本(純資産・純財産)
(2)他人資本(負債)
(3)総資本(自己資本と他人資本の合計)
(4)資本金
(5)もとで

資本と利益区別の原則にいう資本は、(5)のもとでとしての資本を意味しています。
このもとでとしての資本とその間接的な増分である利益との峻別を要求するのが、資本と利益の区別の原則です。