「貨幣的評価の公準」とは、会計が貨幣をその測定単位として行われるという前提をいいます。
企業会計では、企業活動の結果を財務諸表という手段を用いて利害関係者に開示します。
財務諸表上の数値は、簿記的な記録を基礎としますが、その記録は主として貨幣数値(我国では円)によって行われます。
貨幣数値以外の数値(例えば物の数量等)が用いられることもありますが、あくまでも補助的に使用されるに過ぎません。

簿記上の記録、そして、財務諸表上の数値の単位を統一していなければ、数値の加減は意味を持ちません。
100円と100個を足して、200という数値を出しても、その200という数字は、何の意味も持っていません。
統一的な測定尺度として貨幣数値を用いることは、当然のことといえるでしょう。
貨幣数値が測定尺度として用いられる以上、貨幣数値に置き換えることの出来ないものや出来事は、会計記録の対象とはなることはありません。

(まとめ)
「貨幣的評価の公準」とは、会計が貨幣をその測定単位として行われる前提をいう。
(貨幣価値安定の公準)
我国の企業会計は、貨幣価値が安定しているとの前提のもとに行われています。
このような前提は、「貨幣価値安定の公準」と呼ばれることがあります。
もっとも現実的に貨幣価値は必ずしも安定していません。
貨幣価値の安定が、会計情報の信頼性を著しく歪めると判断されるならば、貨幣価値の変動を考慮した会計(貨幣価値変動会計)が導入されるということになるのかもしれません。