「企業会計」や「財務会計」とは別に、「制度会計」という語が用いられることがあります。
「制度会計」とは、法律や規則等に準拠した会計をいい、そうでない会計は、非制度会計と呼ばれます。
「制度会計」を単に「財務会計」と同様の意味で用いる場合も少なくありません。

制度会計には、「金融商品取引法会計」、「会社法会計」、「税務会計」があります。
「税務会計」は、報告する相手先が国に限定されるため、以下の記述では基本的に触れることは多くありません。
制度会計のうち税理士試験の財務諸表論で重要性が高いのは、「会社法会計」です。

もっとも最近の一連の会計基準の変革を受けて、「会社法会計」と「証券取引法会計」は接近してきています。
逆に「税務会計」との距離は広がったといえるかもしれません。

(まとめ)
法律等に準拠した会計を「制度会計」といい、「会社法会計」、「証券取引法会計」、「税務会計」がある。
(非制度会計)
非制度会計には、例えば貨幣価値変動会計などがあります。
貨幣価値変動会計は、貨幣価値の変動を考慮した会計で、我国で全面的に制度化されたことはありません。
現在でも一部の国では、制度として行われているようです。
このような国では、貨幣価値変動会計も「制度会計」になります。

(トライアングル体制)
かつて、「商法会計」(「会社法会計」の前身)、「証券取引法会計」(「金融商品取引法会計」の前身)、「税務会計」の三種の制度会計のあり方は、トライアングル体制と呼ばれました。
これら三つの制度会計の関係がトライアングルのごとくに均衡を保っていた事からそう呼ばれていたのです。
しかし、いわゆる新会計基準の創設にみられる会計制度改革は、このような均衡とは距離を置いて進行しました。
むしろ、国際的な均衡をとることに重点が置かれていたといった方がよいでしょう。
会計制度改革は、「証券取引法会計」のトライアングル体制からの離脱をもたらしました。
逆に会計制度改革は、「商法会計」の「証券取引法会計」への近接をもたらしました。
その後の「税務会計」の他の二領域からの乖離は、激しく、現在では、トライアングル体制は崩壊しているというべきでしょう。