【質問】キャッシュ・フロー見積法の計算で端数が解答とずれるのですが？
【回答】
キャッシュ・フロー見積法については、（１）割引計算のうえで生ずる端数の話と（２）会計処理の相違に基づく端数の話があります。
（１）割引計算上で生ずる１円の端数は、指示がない限り許容範囲と考えてよいと思います。
（２）会計処理の相違による端数もそれほど気にする必要はないと考えてよいと思います。
って、どっちもか。

以下にやや細かく補足しておきます。
興味のある方はどうぞ。

（１）割引計算上の端数
キャッシュ・フロー見積法には、割引価値の計算があります。
しかし、会計基準では、詳細な具体的計算方法を示している訳ではありません。

会計基準での計算方法は、シンプルには次のように示すことができます。

債権金額−割引価値＝貸倒見積額

割引価値は、「キャッシュ・フローを当初の利子率で割引いた金額の総額」です。
この「金額」の部分で端数処理をするか、「総額」の部分で端数処理をするかでも結果が異なる場合があります。
この規定をみる限り、現金収入ごとに割引計算（端数処理）→これを合計というのが、正しいといえるでしょう。

割引計算の過程で、その都度、端数処理をするのはおかしいでしょう。

例えば、１，０００÷１．１（２）←２乗

という計算をする場合に、

１、０００÷１．１＝９０９．０９０９……←ここの端数処理はおかしい
１，０００÷１．１（２）８２６．４４６……←ここの端数処理はいいです。

この場合、２年後の割引価値を聞いている想定ですが、１年後のことは何も聞いてません。


（２）会計処理の相違に基づく端数
キャッシュ･フロー見積法の翌年（戻入）の会計処理には、仕訳で示すと次の二つが考えられます。
実務指針では、受取利息に含める方法が原則的処理方法とされています。
１．貸倒引当金戻入で処理する方法
（借）貸倒引当金×××　（貸）貸倒引当金戻入×××
２．受取利息に含める処理
（借）貸倒引当金×××　（貸）受取利息　　　×××

１．貸倒引当金戻入で処理する方法
キャッシュ･フロー見積法は、次のように貸倒見積額を計算します。

�ヽ箘�価値−��帳簿価額＝貸倒引当金戻入

初年度にはいくらかの貸倒引当金が設定されています。
もちろんこの金額は端数処理の済んだ金額です。
�，粒箘�価値については、（１）での端数処理と同様の問題があります。
端数処理を行うのは、�，涼奮�で、ここから債権の帳簿価額（債権金額−初年度の貸倒引当金）を控除して、貸倒引当金戻入を算出します。

２．受取利息に含める処理
初年度に貸倒引当金の金額はすでに計算されています。
決算日と利払日が同じであるなら債権の金額に利率を乗じた段階での端数処理でかまわないでしょう。

債権金額×利率＝×××（←この段階です）