簿記論では、原価率を算出させる場合が少なくありません。

この原価率の算出上の売上値引・割戻について考えてみました。

この場合の原価率は、財務諸表の数値で計算したものではありません。

販売の時点で想定される原価率、いわば「予定原価率」です。

当初、企業が予定した原価率です。

例えば、企業が原価率80%と想定するなら、80円で仕入れた商品は、100円で販売します。

ただ、商品にキズがあれば、5円値引くこともあります。

これが、「売上値引」です。


一連の処理は次のとおりです。

(借)売 掛 金100 (貸)売  上100
   売  上  5    売 掛 金  5


この時点で、試算表を作成すれば、売上勘定は、95円になります。

この95円の売上と80円の仕入(売上原価)から「当初の」原価率80%を算出するなら次のようになります。

売上原価80÷(売上95+売上値引5)=80%

売上値引5円を正しい純売上(損益計算書の売上高)95円に加算して原価率を算定しないと当初の原価率は算出できません。

当初の原価率の算定上、売上値引・割戻を控除しないのは、このような理由からです。

「当初の」原価率の算出の際の売上値引・割戻の取扱いには、充分注意しましょう。


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