社債の一連の処理

【社債の一連の処理】
社債に関する処理で難解なのは、買入償還でしょう。
しかし、具体的な買入償還の問題の解き方から入るより、地味に社債の一連の処理をこなして、社債の仕組みを理解するのが先決でしょう。

どうも見ていると解き方にこだわるあまりに単なる数字合わせに終わってしまう場合も少なくないようです。
類似問題ではなんとかなるかもしれません。
しかし、極めてオリジナル度の高い問題に対処できない可能性が高いです。
その意味でも一連の処理をしっかりとおさえておきましょう。

社債は負債です。
社債→借入金、社債利息→支払利息と置き換えた場合の考え方は、全く同一です。
「社債の償却」と「社債発行費の償却」は全く別個に考えた方がよいでしょう。


【仕訳処理】
一連の処理を示しておきます。

（１）発行日
（借）現金預金×××　（貸）社　　債×××

（２）利払日
（借）社債利息×××　（貸）現金預金×××

（３）決算日
（借）社債利息×××　（貸）社　　　債×××　→償還期限・月割
　　　社債発行費償却　×××　　　　社債発行費　×××　→償還期限・利息法・定額法
　　　社債利息　　　　　×××　　　　未払社債利息×××　→利払日（の翌日）から決算日

（４）翌期首
（借）未払社債利息　　×××　（貸）社債利息　　×××


【関連記事】
・社債の発行形態
・買入償還

Comments

[1. ことら]

先生おはようございます。
社債の金利調整差額の利息法による償却について、質問させてください。

クーポン利息の支払日が決算日と異なる場合には、決算日にクーポン利息の未払いと償却による社債の帳簿価額の加減を行い、翌期首にクーポン利息の再振替えを行うと思いますが、償却による帳簿価額の加減部分は再振替を行わないのですか？

では、翌期になって最初の利払日に償却するときに、決算で増額または減額する前の帳簿価額に実行利子率を乗じて社債利息の計算をするのですか。
増額または減額後の金額を基に計算して月数按分し、既に加減算した金額を加算するという方法ではないですよね？

そうすると翌期クーポン利払前に買入償還したときの社債の帳簿価額はどのように考えるのでしょうか？

満期保有目的の有価証券についても同じことがいえるのだと思いますが、宜しくおねがいします。

[2. 講師]

ことらさん、こんばんは。

ここはどうもちょっとよくわからなくなっています。
クーポン部分の未払は、通常の借入金利息の未払と同じだと思いますので、通常の再振替仕訳を「期首にするなら」同じく期首にすべきだとは今でも思っています。

ただ、適用指針の処理は利息法、定額法ともに再振替仕訳を行っていません（満期の処理ですが）。
適用指針の処理をベースに考えた方が少なくとも試験的にはよいかもしれません。

＞翌期になって最初の利払日に償却するときに、決算で増額または減額する前の帳簿価額に実行利子率を乗じて社債利息の計算をする

[3. 講師]

適用指針はこっちですね。
最初の利払日前に償還した場合は、決算で増減額する前の帳簿価額に実効利子率をかけた金額を期間按分して、決算での償却額を調整する形になるのではないかと思います。

償却額に関しての期首の反対仕訳は行われていません。
これについてもいったん戻す的な考え方もそれほど不合理にも思えないですが、適用指針では行っていません。

ここのところは簿記的な処理がちょっと納得がいっていないのですが、適用指針の処理を中心でいった方がいいかなあと思います。

[4. ことら]

先生、おはようございます。
ご回答ありがとうございます。
適用指針にあるのですね。

＞クーポン部分の未払は、通常の借入金利息の未払と同じだと思いますので、通常の再振替仕訳を「期首にするなら」同じく期首にすべきだとは今でも思っています。

＞ただ、適用指針の処理は利息法、定額法ともに再振替仕訳を行っていません（満期の処理ですが）。

この部分の意味の確認ですが、クーポン部分の再振替仕訳もやらないという意味ですか？？？
利払日に未払利息を精算する処理をするのですか？

宜しくお願いします。

[5. 講師]

ことらさん、こんばんは。

そうですね。
クーポン部分の再振替仕訳はやらずに、利払日に精算する処理です。
一般的な簿記の本でも再振替仕訳は、期首でも期首にやらなくてもどっちでもよいってことだとそれはそれでバランスがよい気はするのですが………。