消費税の会計処理

【消費税の課税される取引】
簿記論は、消費税法の試験ではないので、消費税の課税・非課税の判断は必要ありません。
実際の問題では、何らかの形で、消費税を区別できる筈ですが、簡単に知っておくとよいでしょう。

（１）消費税の課税される取引
課税資産の譲渡・貸付、役務提供　→　対価のある場合

（２）消費税の課税されない取引
土地・債権（売掛金等）・有価証券の譲渡、税金・利息・配当金の受払い等


【会計処理】
※数字は、単なる例示です

（１）税込経理方式………損金となる租税と同様に取り扱う
　（売 　上　 時）現金預金　２１０　売　　上　２１０

　（仕 　入　 時）仕　　入　１０５　現金預金　１０５

　（資産購入時）固定資産　１０５　現金預金　１０５

　（貸 　倒　 時）貸倒損失等１０５　売掛金　　１０５

　（中間納付時）租税公課　１００　現金預金　１００

　（決 　算　 時）租税公課　　５０　未払消費税　５０

　（納 　付　 時）未払消費税　５０　現金預金　　５０

（２）税抜経理方式………預り金として処理する
　（売 　上　 時）現金預金　２１０　売　　上　２００
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仮受消費税　１０

　（仕 　入　 時）仕　　入　１００　現金預金　１０５
　　　　　　　　　仮払消費税　　５

　（資産購入時）固定資産　１００　現金預金　１０５
　　　　　　　　　仮払消費税　　５

　（貸 　倒　 時）貸倒損失等１００　売 掛 金　１０５
　　　　　　　　　仮受消費税　　５

　（中間納付時）仮払消費税１００　現金預金　１００

　（決 　算　 時）仮受消費税１００　仮払消費税　５０
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　未払消費税　５０

　（納 　付　 時）未払消費税　５０　現金預金　　５０

※仮払消費税は、仮払消費税等と「等」をつけることもあります。
仮払消費税等の「等」は、特別地方消費税を指しています。


【関連記事】
・租税公課
・法人税等
・過年度法人税等
・源泉所得税
・消費税の会計処理（固定資産の売却）
・消費税の会計処理（固定資産の買換え）
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Comments

[1. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ

固定資産に対する消費税について質問です。
固定資産取得時は、消費税を固定資産に含めないようですが、理由は何でしょうか？

指導よろしくお願い致します。

[2. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ
さっきの続きです
すいません
固定資産は、取得原価に固定資産取得税は、含めるんでしたよね。

固定資産取得税は、付随費用になるが
消費税は、付随費用に含めないのですか？

いまいちよく分かりません

指導よろしくお願い致します。

[3. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

消費税をどう取り扱うかは、消費税の経理方式（税込経理方式か、税抜経理方式）かによります。
税込では、消費税も含めて固定資産の取得原価を出し、その後の減価償却も行います。
税抜では、仮払消費税勘定で処理することになります。
これは固定資産の場合だけでなく、すべてに共通の取扱いです。

[4. 講師]

ペンは剣より強しさん、たびたびこんばんは。

固定資産取得税は、税法の取扱いは費用処理も可能ですので問題をよく読む必要があると思います。
理論的には、若干分岐もあるところですが、取得したことによってかかる租税を一時の費用とするのは問題があり、原則的には、原価算入ということでいいと思います。
ただ、あくまでも費用処理の可能性もある点は注意が必要かもしれません。

消費税の方は、個々の取引ごとに別個にその性格を考える感じではありません。
一期間の預かった消費税（仮受消費税）から支払った消費税（仮払消費税）を引いた金額の消費税を納める感じになりますので、会計処理も消費税の性格に応じたものになるハズです。
理論的には、税抜でしょうが、面倒な面もあるので、税込もみとめられているという感じではないかと思っています。

[5. ぺんは剣より強し]

先生こんにちは

今日は、消費税で一日終わりそうです。

やはり、税抜方式がイマイチ理解出来ていない様です。

ひとことで何が理解できていないかというと
「税抜方式の場合、どの勘定科目が税込みで、どの勘定科目が税抜きで仕訳すればよいのかが分かりません。」って感じです。

過去問等で消費税関連の問題をまとめると以下のようですが、自分の中では、なぜそうするのかが、分かったつもりでしたが、結局
分からずじまいです。
売掛金、買掛金＝＞税込で仕訳
売上、仕入　　　＝＞税抜で仕訳
固定資産　　　　＝＞税抜で仕訳
貸倒損失　　　　＝＞税抜で仕訳
貸倒引当金　　 ＝＞税抜で仕訳
貸引繰入　　　　＝＞税抜で仕訳

財表の理論を見てみましたが、特に触れていないようです。

指導よろしくお願いいたします。

[6. ぺんは剣より強し]

先生こんにちわ。

今、急に思いついたのですが、「税抜方式の場合、どの勘定科目が税込みで、どの勘定科目が税抜きで仕訳すればよいのかは」

結局、支払った（受け取った）お金に関する勘定科目は、税込みで仕訳するということではないでしょうか？

消費税は、支払う(回収する）金銭に含まれるものですよね。
現金・金銭債権債務は当然消費税を含めて支払う（回収する）ので税込みで仕訳する。

しかし、固定資産や売上・仕入は、消費税を含んだ価値を持たないので税抜きで仕訳する。といった感じですが、いかがでしょうか？

でも、やはり貸引関連は、どのように解釈していいのか分からなくなってしまいました。

指導よろしくお願いいたします。

[7. 講師]

ペンは剣よりつよしさん、こんばんは。

おっ。いいと思いますよ。
いったん信用取引部分（掛けや手形）を除いて考えるといいかもしれないですね。

現金１０５　売上１００
　　　　　　　仮受　５

消費税は、資産の譲渡やサービスにかかる税金です。
商品を売ったら消費税を預かる。
商品を仕入れたら消費税を立替える。
代金を現金でもらっても、掛けでも、手形でも消費税の関係は変りません。
現金部分が１００円がおかしいのはわかりやすいと思います。
売掛金や受取手形であっても、やはり１００円ではおかしいです。

仮払いの方は、ちょうど逆です。
資産の購入やサービスを受けたらかかっているハズです。
これはやはり現金か、掛けか、手形で異なりません。
固定資産を購入した場合も同様に消費税はかかっています。

[8. 講師]

わかりにくいのが貸倒ですね。

売掛金１０５　売上１００
　　　　　　　　仮受　５

当初の取引があって、その後に商品が貸倒た。

貸倒損失１０５　売掛金１０５

これではおかしいです。
実際には、まったく商品を売った意味がなくなってしまっているのに、仮受だけ残ります。
この分の消費税を払うだけでは納得もいかないでしょう。
この部分は消費税法では、税額控除という制度で対応しています（納める消費税から控除する制度です）。

貸倒損失１００　売掛金１０５
仮払（仮受）５

この分の消費税は、面倒を見てくれるので処理に反映すべきでしょう。
科目は、税額控除（仮受から控除してくれる）という意味では、仮払消費税でいい気もしますが、立てている仮受の分を払わなくていいんだから仮受消費税もアリな気がします（ここがどちらかを問う出題はないのではないかと思います）。

[9. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ
やっと分かりました
ありがとうございます

[10. なおゆう]

この貸倒のケースですが、前期の売上が貸倒れた時だとは、過年度の損益修正に繋がったりするのかと思いきや、

貸倒引当金　100　売掛金　105
仮払（仮受）　5

と、消費税の扱い自体は、貸倒れたのが過年度の売上げか当期の売上げかは関係ないようですね（どこかの市販問題集にのっていました）。消費税は基本的には損益に関係ないし、上記でご説明頂いている税額控除で対応できるから当期の消費税額で調整すればいいのでしょうね。

でも、貸倒引当金自体は、貸倒実績率法だとベースとなる売掛金には消費税が含まれており、少し整合性が取れていないなぁと思っています。だからといって、貸倒引当金の計算時に消費税額を控除しろと指示されると、面倒で困ってしまうのですが。

あと、あまり問題としてみたことはないのですが、不渡手形で消費税を含んでいたら、どうなるだろうとか、妄想が膨らんできました。これは、一旦全額を不渡手形として計上し、不渡手形の回収可能性がなくなったところで、上の売掛金の代わりに不渡手形がたつのかと思っていますが、どうでしょう？だんだん、分からなくなってきました。

[11. 講師]

なおゆうさん、こんばんは。

前半のところは、考えるとちょっとおもしろいですね。
ご考察のとおりで結構だと思います。

貸倒引当金関係の考察はちょっと面白いですね。
試験的な目はなさ気ですが、ちょっと考えてみました。
貸方の貸倒引当金は、売掛金等のマイナスの意味を持ちますので、税込みでなければバランスがとれない気がします。

借方の繰入については、おっしゃるとおり、本当は税抜きがよさ気に思えてきました。
もっとも収益が関連しない貸付金等ではなく、売掛金等ですが。
もちろん税抜きにしても、消費税の控除は受けられませんので、別勘定で繰越？
営業債権と営業外債権を一括してたてるときはどうするんだろう？
むずかしいですね。

不渡手形の基本的な考え方は売掛金と同じでよいのではないかと思います。
頭の体操も面白いですね。

[12. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ。
消費税の確定年税額とは何ですか？
専門学校の問題でありました。

消費税は、結局決算時に以下の仕訳をする
だけですよね？
仮受消費税、仮払消費税を求めて差分を未払消費税にする。
そして、この未払消費税をBSの負債に表示する。

仮受消費税xx ｜仮払消費税　xx
　　　　　　　　　　 ｜未払消費税　xx

たったこれだけなのに、わざわざ消費税の確定年税額なるキーワードが出てきたので
一体これは何？って感じでした。
指導よろしくお願いいたします。

[13. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

これは納付のしくみが同じ法人税等も共通です。

（１）年間の税額１００
（２）中間納付額　４０
（３）確定納付額　６０

（１）を確定年税額といってると思います。
「年」というのがポイントでしょうか。

確定納付額とか、確定申告納付、法人税等の未払額とかいったりします。

問題は（２）は支払額が出ているとして、（１）と（３）を取り違えてしまうと間違えちゃいますね。

と、ここまで書いてきて、こっちの可能性かもしれません。
会社計上の未払消費税は会社の計上した金額です。
それ以外に端数の関係や特例等との関係から消費税の実際の未払とが異なることもあります。
この場合は、差額を雑損（雑益）に計上する感じになるかと思います。

[14. ペンは剣より強し]

先生おはようございます
分かりました
ありがとうございます