【対象=簿記論】

(問題)
個人商店であるA商店の前期末の勘定残高は次のとおりである。
以下の資料をもとに下記の問に答えなさい。
会計期間は1月1日から12月31日である。
現  金100
前払費用 10
売 掛 金200
買 掛 金 60
資 本 金250
大陸式簿記法には、いわゆる準大陸式簿記法(開始手続時に集合勘定を用いない方法)と純大陸式簿記法(開始手続時に集合勘定を用いる方法)とがあります。

問1
仮にA商店が準大陸式簿記法を採用していた場合の翌期首の営業手続記入以前の普通仕訳帳に記入される仕訳金額の合計額を示しなさい。

問2
仮にA商店が純大陸式簿記法を採用していた場合の翌期首の営業手続記入以前の普通仕訳帳に記入される仕訳金額の合計額を示しなさい。

(解答)
問1 320円
問2 630円


(解説)
普通仕訳帳の記入を仕訳形式で示すと次のとおりです。
(1)準大陸式簿記法:
(借)現  金100 (貸)買 掛 金 60
   前払費用 10    資 本 金250
   売 掛 金200
   費用科目 10    前払費用 10

(2)純大陸式簿記法:
(借)現  金100 (貸)開始残高310
   前払費用 10
   売 掛 金200
   開始残高310 買 掛 金 60
           資 本 金250
   費用科目 10 前払費用 10

簿記一巡の手続で、営業手続以前に行われるのが、開始手続です。
開始手続は、開始記入(開始仕訳)と再振替仕訳とからなります。
準大陸式簿記法は開始残高勘定を設けず、直接、資産、負債、資本の各勘定の残高で開始仕訳を行ないます。
準大陸式簿記法では、残高勘定は、決算手続においてのみ生ずるので、この場合の残高勘定は、単に残高勘定とされる場合が多いようです。

これに対し、純大陸式簿記法は、開始残高勘定を設けるので、これと区別する意味で、決算手続の段階で設けられる残高勘定は決算残高勘定または閉鎖残高勘定と呼ばれます。
純大陸式簿記法では、開始残高勘定を設け、開始残高勘定を相手勘定として、資産、負債・資本の各勘定の残高で開始仕訳を行なうことになります。

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