直接減額方式

【直接減額方式】
今、国庫補助金の圧縮記帳の一連の会計処理（直接減額方式）を具体的事例をもって示すと、次のようになります。

（事例）国庫補助金１００で、機械３００（耐用年数５年、残存価額なし、定額法）を取得
（１）国庫補助金の交付時
（借）現金預金１００（貸）国庫補助金収入１００

（２）固定資産の取得
（借）機械装置３００（貸）現金預金３００

（３）決算
（借）機械圧縮損１００（貸）機械装置　　　１００
　　　減価償却費　４０　　　減価償却累計額　４０


国庫補助金収入は、制度会計上は、あくまでも収益（特別利益）です。
この国庫補助金をもって、固定資産を取得した場合には、圧縮記帳を行うことができます。
圧縮記帳のそもそもの意味合いは、取得原価の圧縮（減額）記帳ということになりますが、この場合の相手科目は、機械圧縮損等（特別損失）を使用します。
また、貸方の機械装置に関しては、機械圧縮額等の間接控除科目を設ける場合もあります。
取得原価を圧縮（減額）した以上、事後の減価償却費の計算は、圧縮後の金額が基礎とされます。


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Comments

[1. 会計学勉強中]

先生、こんばんは、何度も質問してしまい恐縮します。
面白いように疑問が氷解してしまうので調子
にのって御免なさい。

圧縮記帳については、釈然としない部分が多々ありましたが、
ここの記事に、解答がありました。

そこで、出てきた新たな疑問なのですが、圧
縮記帳は課税の繰延べの作用があると言わ
れますが、直接減額方式の場合には配当の
繰延べの作用もあると考えてよいのでしょう
か？
つまり、減価償却費が過少となる分だけ利益
の膨らみが株主に配当される。
これに対して積立方式の場合には益金に影
響があるだけで、純利益には影響しないので
あれば、配当の繰延べはない。

宜しくお願いいたします。

[2. 講師]

会計学勉強中さん、こんばんは。
いえいえ、わかる範囲という限定付ですが、ご質問は大歓迎です。

ここはちょっと難しいですね。
社法上の分配可能限度額はおっしゃるとおり純利益が増える分だけ積立金方式の方がおおきくはなります。

ただ、任意積立金を積立てる訳ですから、その分、繰越利益剰余金は減ります。
ごく一般的には、繰越利益剰余金を配当の財源に考えるでしょうから、影響は同じといってもよいのかもしれません。
という訳で、はじめて考えたのですが、直接減額方式に配当を繰り延べるという作用があると考えるのはちょっと難しいのではないでしょうか（たぶん）。

[3. 会計学勉強中]

先生、こんにちは。
私の愚問・珍問？にお付き合いいただきましてありがとうございます。、

会社法をよくしりませんので、私の理解できる範囲を超えてしまいました。
そこで質問の内容を変えさえていただきます。

贈与等があった場合にそのままでは、利益として計上されてしまい、税金として
又は配当（？）として、社外に流出してしまい、贈与等の目的を達成することが
出来なくなってしまうので、圧縮記帳をするものと思います。

圧縮記帳（直接減額）した場合には、次期以降の減価償却費が過少となり、その分利
益が繰延べられたことになり、これについて課税の繰延べの効果が言われると思うの
ですが、配当についても同様に「配当の繰延べ？」とは言えないのかということが疑
問の発端でした。

ただ、配当の場合には、
１．税金と異なり、会社側が独自に配当額を決めることが出来ること。
２．配当されるにしても、内部留保される場合でも株主持分であることは変わり
　　がないこと。
３．圧縮記帳が税法上の制度であることから、税金についての効果のみが議論の
　　対象となる。
などの理由により、「配当の繰延べ？」については議論の実益がないということでしょ
うか？

[4. 講師]

会計学勉強中さん、はじめまして。

１．が大きいのではないかと思います。
そもそも補助金等で固定資産を取得する場合等する場合のように、ヒモ付に近い形なのに仮にそれが利益だとしても配当するという感じにはならないのではという気がします。
利益だから課税はされるかもしれないけど、配当する感じにはならない。
だから課税の繰延べの話は出てきても、配当の繰延べの議論は出てこない。
そんなところかもしれないですね。

[5. 会計学勉強中]

先生、こんばんは。
回答ありがとうございます。
つまらないことが気になったしまう私の質問に
まじめに答えていただきありがとうございます。
私自体、この悪癖はもてあましているのですが、回答をいただくと嘘のようにスッキリします。

[6. 講師]

会計学勉強中さん、こんばんは。

いえいえどういたしまして。
なにかありましたら遠慮なくおっしゃってくださいね。

[7. ちん]

先生こんにちは
またまた圧縮について質問ですが、

質問１
上記の記事について
「繰延税金負債」や「法人税等調整額」が、なぜでてこないのですか？


質問２
上記の記事について
３）決算
借）機械圧縮損100／貸）機械装置100
・・という仕訳がありますが、

積立金方式では、
借）繰越利益剰余金／貸）圧縮積立金
という仕訳をして、貸借対照表の中の項目が動くだけなのに

直接減額方式で
借）機械圧縮損100／貸）機械装置100
という仕訳をした場合、積立金方式のように貸借対照表の中の項目が動くだけではない・・
これって、なぜですか？

[8. ちん]

なかなか・・
圧縮会計がイメージしづらいです

質問３
圧縮会計＝課税の繰延で、
機械圧縮損＝損失なのに課税の繰延になってるのですか？

[9. 暮木孝司]

ちんさん、こんばんは。

圧縮記帳は、ちょっとわかりにくいですね。
まずは、直接減額法にしぼって、一連の仕訳を考えてみるといいかなあという気がします。
積立金方式は、ちょっと特殊でわかりにくいかとは思います。

質問１
税効果会計は、会計上の費用が税務上の損金（経費）として認められなかったりした場合に適用があります。
圧縮損（費用）が税務上も認められるなら税効果会計の適用はありませんので、繰延税金資産等の科目は登場しません。

質問２
税法で想定しているのは、たぶん直接減額法です。
資産を減らして、費用をたてる。
これがある意味ではわかりやすいです（いっぺんに減価償却した感じに近いでしょうか）。

ただ、会社法や企業会計上は、資産を減らすのはまずいだろうということで、同額の剰余金の処分経理をすることで、税金の計算上は特例を認めているにすぎません。
剰余金の処分は、純資産内の組み換えに過ぎませんので、おっしゃるような違いが出てくるということでしょうか。

[10. 暮木孝司]

質問３

現金預金１００　国庫補助金収入（収益）１００

機械装置１００　現金預金１００

機械圧縮損（費用）１００　機械装置１００


本来課税するしないの話は当初の国庫補助金収入の話です。
これに機械圧縮損（費用）を併せれば、差し引きで利益はゼロになります。
この場合、当初段階では税金はかかりません。
じゃあそれが減免かというとこれは違います。

圧縮記帳がなければ、その後の減価償却は例えば１０年、残存価額ゼロでは、毎年１０円ずつの減価償却費が計上されます。
でも、圧縮記帳を行うと減価償却費はゼロです。
結局、毎年１０円ずつ利益は、大きくなってしまいますので、その分の課税が取り戻される。
つまりは、課税の延期制度だという感じになるかと思います。

[11. ちん]

今まで直接減額方式が特殊な方法と思ってましたが、積立金方式が特殊だったんですね

市販のTAC税理士受験簿記論総合計算問題集基礎編を先月購入したのですが
この問題だけ今日までチンプンカンプンでした。なんとか圧縮会計の突破口が開けそうです。

先生ありがとうございます