【対象=簿記論、制限時間10分、難易度B】
(問題)
F社は、×7年4月1日に発行された額面金額100,000千円の普通社債(発行価額総額92,000千円、償還期限5年)の元利支払について、×9年4月1日にG銀行との間で債務履行引受(デット・アサンプション)契約を締結した。
すなわち、F社はG銀行に預託金98,760千円を支払うことにより、当該社債の将来における元利支払いをG銀行に肩代わりしてもらうことにしたのである。
この取引について、社債を実質的に償還したとみなす立場(償還説)からの仕訳と、償還したとみなさない立場(非償還説)からの仕訳を示しなさい。
なお、F社は、社債発行差金については償還期限までの期間にわたり月割償却しており、償還差損益相当額については引受契約締結時に計上する方法を採用している。
(解答欄)【単位:千円】
償還説 (借) (貸)現金預金
非償還説(借) (貸)現金預金
(解答)【単位:千円】
(問題)
F社は、×7年4月1日に発行された額面金額100,000千円の普通社債(発行価額総額92,000千円、償還期限5年)の元利支払について、×9年4月1日にG銀行との間で債務履行引受(デット・アサンプション)契約を締結した。
すなわち、F社はG銀行に預託金98,760千円を支払うことにより、当該社債の将来における元利支払いをG銀行に肩代わりしてもらうことにしたのである。
この取引について、社債を実質的に償還したとみなす立場(償還説)からの仕訳と、償還したとみなさない立場(非償還説)からの仕訳を示しなさい。
なお、F社は、社債発行差金については償還期限までの期間にわたり月割償却しており、償還差損益相当額については引受契約締結時に計上する方法を採用している。
(解答欄)【単位:千円】
償還説 (借) (貸)現金預金
非償還説(借) (貸)現金預金
(解答)【単位:千円】
償還説 (借)社 債 95,200 (貸)現金預金 98,760
社債償還損 3,560
非償還説(借)預託金 98,760 (貸)現金預金 98,760
(解説)
平成9年度第一問 問2 3 の出題です。
デット・アサンプション自体は、一般的なテキストや講座等では学習していないと思います。
このような項目が、実際の試験で出題された場合に、肝心なのは、未学習だからといって「諦めないこと」と、諦めないうえで、「時間をかけないこと」ではないかと思います。
本問では、償還説の処理は、通常の社債の償還の処理と何ら異なりません。
また、非償還説の処理も、負債(社債)の消滅を認識しないのですから、借方を何らかの資産科目(預け金等)で処理していれば、正答の可能性は高いと思います。
学習していない項目だからといって諦めてはいけない例でしょうか。
しかし、(本番は)時間をかけるのは、もっといけません(って、これがすごく難しいですが)。
※償還説における計算
社債の償却原価 100,000−(100,000−92,000)×36月/60月=95,200
社債償還損……貸借差額
(参考)
デット・アサンプションとは、債務履行引受または債務譲渡と訳されるスワップ(デリバティブの一種)の一形態です。
具体的には、企業が金融機関に預託金を支払い、企業が発行している社債等の元金及び利息支払の肩代りをしてもらうことをいいます。
この場合の会計処理に、償還説と非償還説の二つの考え方があります。
償還説では、デット・アサンプションにより元利支払債務を実質的に免除されたものとみなし、社債等を帳簿から除外します。
社債償還損は、デット・アサンプション契約締結時(社債償還時)に計上されます。
非償還説では、企業の社債等の債務は依然として残るという法的関係を重視し、預託金(資産)と社債(負債)を両建計上します。
この場合、社債償還損は、社債償還時に計上されます。
金融商品会計基準によれば、(1)金融負債の契約上の義務を履行したとき、(2)義務が消滅したとき又は(3)第一次債務者の地位から消滅したときに金融負債の消滅を認識しなければならないこととされています。
デット・アサンプション契約を締結しても、法的に債務者であることに変わりはなく、金融商品会計基準における金融負債の消滅の認識の要件を満たしている訳ではありません。
すなわち、負債の消滅は認識しないのです(借方・負債としない)。
しかし、一定要件、すなわち、(1)取消不能、(2)社債の元利金の支払いに充てる信託等の設定、(3)信用格付の高い金融資産(一定の国債等)の拠出があった場合には、社債の消滅の認識を認めることとされています(借方・負債とする。意見書・経過措置参照)。
本問では、このような細かい条件が付されている訳ではないので、いずれ(償還説・非償還説)の会計処理も考えられますが、いずれかの判断を行うことなく、両者の会計処理を問う出題となっています。
社債償還損 3,560
非償還説(借)預託金 98,760 (貸)現金預金 98,760
(解説)
平成9年度第一問 問2 3 の出題です。
デット・アサンプション自体は、一般的なテキストや講座等では学習していないと思います。
このような項目が、実際の試験で出題された場合に、肝心なのは、未学習だからといって「諦めないこと」と、諦めないうえで、「時間をかけないこと」ではないかと思います。
本問では、償還説の処理は、通常の社債の償還の処理と何ら異なりません。
また、非償還説の処理も、負債(社債)の消滅を認識しないのですから、借方を何らかの資産科目(預け金等)で処理していれば、正答の可能性は高いと思います。
学習していない項目だからといって諦めてはいけない例でしょうか。
しかし、(本番は)時間をかけるのは、もっといけません(って、これがすごく難しいですが)。
※償還説における計算
社債の償却原価 100,000−(100,000−92,000)×36月/60月=95,200
社債償還損……貸借差額
(参考)
デット・アサンプションとは、債務履行引受または債務譲渡と訳されるスワップ(デリバティブの一種)の一形態です。
具体的には、企業が金融機関に預託金を支払い、企業が発行している社債等の元金及び利息支払の肩代りをしてもらうことをいいます。
この場合の会計処理に、償還説と非償還説の二つの考え方があります。
償還説では、デット・アサンプションにより元利支払債務を実質的に免除されたものとみなし、社債等を帳簿から除外します。
社債償還損は、デット・アサンプション契約締結時(社債償還時)に計上されます。
非償還説では、企業の社債等の債務は依然として残るという法的関係を重視し、預託金(資産)と社債(負債)を両建計上します。
この場合、社債償還損は、社債償還時に計上されます。
金融商品会計基準によれば、(1)金融負債の契約上の義務を履行したとき、(2)義務が消滅したとき又は(3)第一次債務者の地位から消滅したときに金融負債の消滅を認識しなければならないこととされています。
デット・アサンプション契約を締結しても、法的に債務者であることに変わりはなく、金融商品会計基準における金融負債の消滅の認識の要件を満たしている訳ではありません。
すなわち、負債の消滅は認識しないのです(借方・負債としない)。
しかし、一定要件、すなわち、(1)取消不能、(2)社債の元利金の支払いに充てる信託等の設定、(3)信用格付の高い金融資産(一定の国債等)の拠出があった場合には、社債の消滅の認識を認めることとされています(借方・負債とする。意見書・経過措置参照)。
本問では、このような細かい条件が付されている訳ではないので、いずれ(償還説・非償還説)の会計処理も考えられますが、いずれかの判断を行うことなく、両者の会計処理を問う出題となっています。



今回のデット・アサンプションについて
枝葉の論点であったようではありますが、
これは現在も指針等で示されているような生きた会計処理方法なのでしょうか??
また、
>償還説では(ry
社債償還損は、デット・アサンプション契約締結時(社債償還時)に計上されます。
非償還説では、(ry
社債償還損は、社債償還時に計上されます。
とあり、社債償還損の計上時期が償還説と非償還説で一緒のようなのですが、後者について仕訳上では示されないため、なんだか疑問です。