転換社債型新株予約権付社債

転換社債型新株予約権付社債については、区分法と一括法が認められています。
仕訳処理を示しておきましょう。


【区分法】
（新株予約権付社債の発行時）
（借）現金預金　　×××　（貸）社　　　債×××
　　　現金預金　　×××　新株予約権×××

（新株予約権付社債の権利行使時）
（借）社　　　　債×××　（貸）資本金等　　×××
　　　新株予約権　×××

社債………………額面金額（償却原価法適用時は償却原価）
新株予約権………発行価額
資本金等…………差額（２分の１もこの金額で考える）


【一括法】
（新株予約権付社債の発行時）
（借）現金預金　　×××　（貸）新株予約権付社債×××

（新株予約権付社債の権利行使時）
（借）新株予約権付社債×××　（貸）資本金等×××


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Comments

[1. ペンは剣より強し]

先生こんにちは。
新株予約権付転換社債について質問です。

区分法、一括法の仕訳も理解して問題も解けるのですが、少し気になっていることがあります。

というのも区分法と一括法で同じ問題中で同じ金額を設定されていても、仕訳を比較してみると最終的な増資金額が異なるのでしょうか？という点です。

つまり、額面発行をされていても「区分法」は、新株予約権の金額分だけ社債の償却原価を行う必要があるため、権利行使時に資本金額に上乗せされているように見えるためです。

うまく伝えるのが難しいのですが・・・。

指導よろしくお願い致します。

[2. ペンは剣より強し]

先生こんにちわ
新株予約権付転換社債について本日２つ目の質問です。

権利行使時における償却原価の計算期間についてです。

例えば期首４／１で権利行使が８／１とします。
この場合、償却原価の計算は、４／１〜７／３１で行い、期間は４ヶ月？
それとも４／１〜８／１で、期間は５ヶ月？

専門学校の問題でありました。
私は後者の５ヶ月で問題を解き、×でした。
正解は、前者の４ヶ月のようです。

しかし、昔、日商簿記２級の有価証券の端数利息計算で「前回利払いの翌日から売買当日までを計算する」と習ったような気がしたので（ただし、このときは、月割りではなく日割りでした。）自信をもって後者で解いたので
がっかりしてしまいました。

この辺りの疑問点を解決する論点や定義は、あるのでしょうか？

指導よろしくお願い致します

[3. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

一括法と区分法の関係ですが、増加する株主資本の金額は異なることになるかと思います。

一括法と区分法とでは、そもそも純資産の金額そのものが異なりますので、方法としての違いも見た目以上に大きいのかもしれません。

もう一点、区分法による場合でも、権利行使のタイミングでも異なることになると思います。

（１）発行
現金××　社　　債××
　　　　　　　予約権××

（２）償却原価法
社債利息××　社債××

（３）権利行使
社債　××　資本金等××
予約権××

社債部分だけを追ってみると、やはり（２）の償却原価法の適用の部分に若干の違和感のようなものを感じるかもしれないですね。
発行時点での社債は、発行時点での社債の実質的な金額です。
満期日まで、その実質的な金額を償却原価法でいわば増額している感じでしょうか。
その社債の実質的な金額（償却原価）で増加資本金を考えることになると思います。

[4. 講師]

２つめの御質問です。

期間計算は、案外と奥が深いです。
同じ期間といっても、事業年度の１年（４月１日から３月31日）と通常の×1年４月２日の１年後は、×２年４月２日という場合の１年の意味は違っていたりします。
深いがゆえに実際の税法の規定などでは、個々に期間計算をはっきりとさせている場合も多いです。

期間計算については、外部計算と内部計算ははっきりわけるべきだと思います。
相手がいるものは、その相手との話し合いできちんと決まっているハズです。
金銭がからむものであれば、１日でも後でモメてしまいます。

外部計算では、当事者間の取り決めが優先します。
取り決めがなければ、民法上は、初日を算入しません（初日不算入）。
有価証券の端数利息は、この考え方ですね。

[5. 講師]

これに対して内部計算についてきちんとしたルールがある訳ではありません。
もっとも日数計算については、民法の考え方に準ずべきだと思います。
ただし、内部計算であるがゆえにあまり細かい計算が要求されない場合も多いです。
税法でも月単位を基本にしています。
この影響か試験でも月割が多いです。
ただし、減価償却計算であっても、月割はおおざっぱだから日割でやることが悪いかといえばそんなことはないと思います（実際にやっている会社があるかは別として）。
たった１日の所有で１月分の償却費を計上するのはむしろ不自然ではないかとも思えます。

出題にあたっても１日や２日を１月と数える出題はしにくいと思っています。
月初めの内部計算の月割については、前月末で計算することを出題者が想定している可能性が高いと思います。
これは買換えの場合の償却費なんかも同じだと思います。
経験的には、出題者は、期間計算について、ひっかけようとは思っていないと思います。
出題をよく読んで合理的に計算することをこころがける感じがよいのではないかと思います（って、だいだいどの項目もそうですね）。

[6. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ。
了解しました。
非常に役に立ちました。
ありがとうございます。

ところで、内部計算・外部計算という言葉を初めて聞きました。
専門学校のテキストでこの言葉が出てきてたかなぁとちょっと不安になってしまいました。

指導していただければ幸いです。

[7. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

内部計算、外部計算という言い方は、一般的ではありません（適当に付けた名前です）。

外部計算というのは、いわば普通の他人との取引等の話ですから、あえて名前をつけるまでもないかもしれないですね。

これに対して、決算整理のような手続きを内部計算ということはあるかなあという程度ではないかと思います。

税理士試験は、１月でだいたい大丈夫ですので、ミニ知識程度で考えていただければと思います。

[8. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ。
了解しました。
ありがとうございます。