新株予約権

【新株予約権とは】
新株予約権とは、ややラフにいうと、「新株を買う権利」です。
ただ、株の場合は、発行会社から株を「買う」のではなく、「引受ける」ことになるので、「新株を引受けることができる権利」という方が正確でしょうか。
また、会社は、新しい株の発行ではなく、保有する自己株式を交付することもできます。
「新株を引受けるか、自己株式の移転を受けることができる権利」が新株予約権です。

新株予約権を発行した会社は、ちょうどその逆で、新株予約権者が新株予約権の権利を使うと、新株を発行するか、自己株式を移転する義務を負うことになります。

新株予約権を発行した会社は、その対価として、新株予約権を取得した者から現金等を取得します。
取得者側からいえば、現金等を支払うことによって、新株予約権を取得する訳です。

新株予約権の行使時には、発行会社は、さらなる対価を取得し、株式を発行するか、自己株式を移転することになります。
取得者側からいえば、対価を支払って、新株の発行を受けるか、自己株式の移転を受ける訳です。
まずは、簡単な仕組みをおさておきましょう。


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Comments

[1. ペンは剣より強し]

先生こんにちは。
新株予約権の仕訳は、理解出来たのですが、根本となる取得者側／発行者側の
メリットが分かりません。

指導よろしくお願い致します。

[2. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

やっぱり一番多いのはストック・オプションでしょうね。
従業員はそれでがんばる。
会社は、現金を出さないでいい。
もともと想定されているのは、これが一番大きいのではないでしょうか。

あとは、はやりの買収防衛策として発行されたり、社債と組み合わせて、投資家の目をごまかすため（←いいすぎです）に発行されたりするみたいですね。

[3. ペンは剣より強し]

先生こんにちは。
ストックオプションで新株予約権ですか？
ストックオプションで株式をもらえるなら換金できますけど、新株予約権をもらってもさらに自腹切って株式を購入する必要ありますよね？
社員はだまされたような気分にならないでしょうかね？
（実際、私は勤める会社の持株会に参加したことないです。）

僕なら「新株予約権くれるんやったら現金くれ！」って思っちゃいますよ。

会社にとれば、「現金出さなくていい」「ロイヤリティのある社員なら投資目的で株式を買って保有し続けてくれる。」と思われるのでいいことずくめのような・・・。

そんなにストックオプションで社員がんばりますかね？

[4. ペンは剣より強し]

先生こんにちは。
私のテキストでは、新株予約権のほかに
「自己新株予約権」というのもあります。

仕訳パターンは、分かるのですが、
なぜこのようなものがあるのかが
よく分かりません。

指導よろしくお願い致します。

[5. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

そうですね。
現金じゃなきゃイヤという人も多いかもしれません。
ただ、景気のよかった時代には、ストック・オプションの権利行使→売却でかなりの利益を出した人もいるみたいですね。
前提は株価が上がること。
将来的に株価が上がれば、安い権利行使価格で株式が手に入ることになりますので。

会社にとっては現金が出て行かないのでうまく機能すると便利な制度かもしれません。


自己新株予約権の実際はよく知りませんが、発行したものを買い戻すこともあるようで、会社法でそれを認めたということのようです。
全株主に新株予約権を発行して、敵対的な買収者から現金でこれを買い上げて、消却するなんてこともあったようです。

[6. ペンは剣より強し]

なるほどです
分かりました
株価が上がることを使うなんて、いろいろな方法があるもんですね
ありがとうございます

[7. ごんべい]

　
　先生、お疲れ様です。
　
　先日は、C/F計算書の現金の範囲の注記の必要性について質問させていただきました。お答えいただき、ありがとうございました。
　
　精神論の記事を読みました。（7/16受からない国家資格はない）
　
　実に合理的な事で、大変に励まされました。
　己を信じて、日々やり続ける。それが無駄な事なら、生きる意味はないですよ。
　　
　また質問させて下さい。
　
　自己新株予約権の取得が、新株予約権者との損益取引である。
　
　と某専門学校の答練でありました。（O/H）
　これはどう考えたらいいのでしょうか。損益取引とは？
　新株予約権は純資産の末尾にあり、それは株主資本以外の純資産で、それを取得したらなぜ損益取引なのでしょうか。
　

[8. 講師]

ごんべいさん、こんばんは。

自己新株予約権の取扱いは、新株予約権からの控除です。
ただ、消却及び処分時は、自己株式の場合と異なり、消却損・処分損益は、損益項目として処理されます。
新株予約権の全般的な会計処理を考えるとそもそもが損益取引と考えていることがわかります。
自己新株予約権を消却すると決まっているなら、自己新株予約権の帳簿価額（←通常は発行価額）との差額を損益としてもよさそうです。
発行した金額よりも高く（低く）買い戻した損益です。
ただ、自己新株予約権をその後に消却するか、処分するかは、取得段階ではわかりません。
そこで、どちらかというと暫定的に自己新株予約権として新株予約権の控除として処理することとされています。
後々の消却または処分の際には損益を出すわけですから、自己新株予約権の付随費用は、その時点での取得価額に加算します。
これはその後の消却・処分段階で、正しい消却損・処分損を算出するためといってよいかと思います。

[9. ごん]

先生こんばんわ。
　お答えありがとうございました。
　
そもそもが消却・処分を予定したもの。
　消却・処分の際の差額は損益とする。
　よって取得そのものも損益取引である。
　
　という事でしょうか。
　ピンとは来ませんが、論理の流れがあり、一応理解しました。

[10. 講師]

ごんさん、こんにちは。

自己新株予約権は、自分で行使する訳にはいきません。
結局は取得してもなくす以外に方法はありません。
なくすときには、通常は損益も生じますので、本質的には、取得そのものが損益取引という感じでしょうか。

ただ、制度上はなくす手段として、消却と処分があって、いずれがいつ行われるかは取得段階ではわかりません。
そこで付随費用も含めて、とりあえず自己新株予約権として、とりあえず新株予約権の控除項目として処理しているという感じではないかと思います。
なかなか難しいですね。

[11. ごんべい]

　
　先生おはようございます。
　再度ありがとうございます。

　「名前」、前回打ち間違えました。「ごんべい」です。
　　
　
　自己新株予約権は、自分で行使する訳にはいかない。結局は取得してもなくす以外に方法はない。
　
　この知識、感謝します。
　
　前回でもご指摘の「付随費用」。
　これがむしろ危ないというのは、私も分かっています。本番で滑らないようにしたいです。
　
　自己株の付随費用→支払手数料
　自己新株予約権の付随費用→原価参入
　

[12. 講師]

ごんべいさん、こんばんは。

お役に立てたようでよかったです。
試験まであと２週間。
がんばっていきましょう！！