仕訳を元帳に転記する以上、一つの取引が2回仕訳されてしまっては困ります。
【二重仕訳の考え方】
【具体例】
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仕訳帳を一つしか使っていなければ(単一仕訳帳制)、一つの取引を二度も仕訳するのは、単なるミスでしかありません。
しかし、特殊仕訳帳制を採用する場合は、ミスではなく、仕訳が二度行われることがあります。
特殊仕訳帳に記入するのは仕訳と同じ意味を持ちます。
一つの取引が、複数の特殊仕訳帳に記入されれば、それは、仕訳を二回行ったのと同じ意味があります。
これはでは元帳の記録がダブってしまいます。
このように複数の仕訳帳に同じ取引の仕訳(記入)が行われることを「二重仕訳」と呼びます。
この二重の仕訳を二重に転記(二重転記)しないための工夫が必要になります。
【具体例】
いま、現金出納帳と売上帳を特殊仕訳帳として採用するケースを考えましょう。
(現金売上の例)
【単一仕訳帳の場合】
仕訳帳……現金××× 売上×××
【特殊仕訳帳(現金出納帳と売上帳)】
特殊仕訳帳(現金出納帳)……入金欄の記入(現金×××売上×××の意味がある)
特殊仕訳帳(売上帳)…………通常の記入(現金×××売上×××の意味がある)
この場合に、特殊仕訳帳としての現金出納帳から借方・貸方の転記、同じく特殊仕訳帳としての売上帳から借方・貸方の転記を行えば、現金勘定と売上勘定の記録は、二度ずつ行われてしまうので、これは回避しなければなりません。
この回避の手段は、後回しにして、どんなケースで二重仕訳が生ずるかを考えておきましょう。
特殊仕訳帳として、現金出納帳、売上帳、仕入帳を採用している場合には、二重仕訳となる取引は、次のとおりです。
現金売上:(借)現 金××× (貸)売 上×××
現金仕入:(借)仕 入××× (貸)現 金×××
現金出納帳、売上帳、仕入帳以外に、受取手形記入帳、支払手形記入帳も特殊仕訳帳として利用している場合には、二重仕訳となる取引は次のとおりです。
現金売上:(借)現 金××× (貸)売 上×××
現金仕入:(借)仕 入××× (貸)現 金×××
手形売上:(借)受取手形××× (貸)売 上×××
手形仕入:(借)仕 入××× (貸)支払手形×××
二重仕訳になるかどうかは、実際に仕訳をきってみて、その仕訳が、補助簿に記録されるかどうかを考え、二つの補助簿に記録されるかで判断すればいいでしょう。
特殊仕訳帳として現金出納帳と当座預金出納帳が利用されている場合には、現金の当座預金への預入れは、二重仕訳となる取引に該当します。
現金の当座預入:(借)当座預金××× (貸)現 金×××
注意点は、手形記入帳です。
手形記入帳には、基本的には、増加記録しか行わないので、特殊仕訳帳として支払手形記入帳と当座預金出納帳を利用している場合でも、支払手形の当座決済取引は、二重仕訳となる取引に該当しません。
支払手形の当座決済:(借)支払手形××× (貸)当座預金×××
借方の支払手形(支払手形の減)は、手形記入帳には記入されないからです。
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