【特殊仕訳帳の考え方(個別転記)】

特殊仕訳帳は、「仕訳帳の役目も果たす補助簿」です。

このことを強烈に意識していないと特殊仕訳帳の意味がぼやけ、総合問題を解く時にも何をしているのかわからなくなる可能性があります。


今、このことを簡単な例で示しておきましょう。

(取引例)買掛金100を現金で支払った。

(1)単一仕訳帳の場合

(仕訳帳)(借)買 掛 金100 現  金100

(2)特殊仕訳帳=現金出納帳の場合

(特殊仕訳帳としての現金出納帳)出金欄100

今、言いたいのは、

(1)単一仕訳帳に記録を行うことと、

(2)特殊仕訳帳としての現金出納帳の出金欄に記入すること

は、仕訳として「同じ意味を持つ」ということです。

どのような意味で同じなのかといえば、「仕訳をしたら元帳に転記を行う」という点です。

仕訳→元帳というルールは、当然のことながら特殊仕訳帳制のもとでも生きています。



【特殊仕訳帳の考え方(合計転記)】

特殊仕訳帳として現金出納帳を用いた場合、その記入は、基本的に、現金勘定の記入と同じです。

簿記の基本的仕組からいって元帳としての現金勘定が不要という訳ではありませんが、別に元帳に現金出納帳よりも大雑把な記録を重ねてする必要もありません。

そこで、いちいち現金勘定に転記(個別転記)することなく、一定期間末(月末)等に合計額を一度だけ転記(合計転記)することが行われます。


このことを簡単な例をもって示しておきましょう。

(取引例)現金増資50 を期中に二回

(1)単一仕訳帳制の場合

(仕訳帳)現金50 資本金50 → 現金勘定の借方にその都度転記(個別転記)
     現金50 資本金50 → 同上

(元 帳)現金勘定→借方に「それぞれの日付」で、50ずつの記録
   
(2)特殊仕訳帳制の場合

(特殊仕訳帳=現金出納帳)入金欄に50の記録を2回(そのつど転記はしない)

(元 帳)現金勘定→借方に「月末の日付」で、合計100の記録(合計転記)

個別転記と合計転記の違いは重要です。

「個別転記」は、取引が行われ、仕訳が行われた都度、元帳に転記することをいい、「合計転記」は、一定期間末(月末)等に、まとめて合計額(この場合は、借方合計及び貸方合計)を転記することをいいます。

合計転記が行われる場合は、個々の取引が仕訳帳(特殊仕訳帳を含む)に記録されたとしてもその都度の転記(個別転記)は行われません。



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