【会計基準変更時差異の意味】

「会計基準変更時差異」は、旧基準による「退職給与引当金」と新基準による「退職給付引当金(退職給付債務)」との差額です。

退職給付会計の導入は、平成12年です。

変更時の会計処理を問う出題は考えにくいですが、会計基準変更時差異が処理されずに残っていることは、考えられます。

具体的には、「会計基準変更時の期首退職給付債務から期首年金資産を控除した金額」(退職給付引当金)と「退職給与引当金」の差額が会計基準変更時差異になります。

会計基準変更時差異=期首退職給付引当金−期首退職給与引当金



【会計処理】

償却期間:当期一括償却、15年以内

償却方法:定額法のみ

振替処理:(借)退職給与引当金××× (貸)退職給付引当金×××

償却処理:(借)退職給付費用 ××× (貸)退職給付引当金×××

会計基準変更時差異は、新しい制度に移行する際の旧制度の名残です。

本来は、移行時に一括償却すべきでしょうが、15年以内での償却も認められています。

3つの未認識項目のうち具体的な年数(15)が出てくるのは、この会計基準変更時差異だけになります。

なお、償却方法は定額法のみです。



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