【独立処理とは】

「独立処理」とは、外貨建債権債務(売掛金等)と為替予約を別々に換算する方法をいいます。

考え方はいくつかありますが、ややわかりにくい箇所でもあり、とりあえず処理からでもこなして欲しいと思います(考え方は、本ブログで、デリバティブを取り扱ってからにします)。



【独立処理−事例】

処理そのものは、外貨建金銭債権債務(売掛金等)は、その時の相場(直物相場)で通常どおりに換算し、為替予約を先物相場で換算すればよいことになります。

今、(1)取引→(2)予約→(3)決算→(4)決済という流れを想定しましょう。

それぞれの相場が、次のように推移したものとします。
        (直物相場) (先物相場)
(1)取引時 100    95
(2)予約時 102    98
(3)決算時 105    103
(4)決済時 110   (110)

1ドルの輸入取引(仕入)が掛けで行われた場合の独立処理による会計処理を考えてみましょう。



【独立処理−外貨建金銭債権債務】

まずは、買掛金です。

買掛金(外貨建金銭債務)は、為替予約がなかった場合と同様に処理します。

つまり、その時々の相場(現物相場)で換算すればよい訳です。

(1)取引時
(借)仕  入100 (貸)買掛金100

(2)予約時
仕訳なし

(3)決算時
(借)為替差損益5 (貸)買掛金5

(4)決済時
(借)買 掛 金105 現金預金110
   為替差損益  5



【独立処理−為替予約】

次に為替予約です。

最初のうちは、為替差損益が買掛金(外貨建金銭債務)と逆側に出るとでも考えてみてはどうでしょうか。

もともと為替予約は外貨建債務の為替リスクを回避するために行われる事が多く、元の外貨建金銭債権債務とは、逆側に損益(為替差損益)が出るのが通常だからです。

(1)取引時
仕訳なし

(2)予約時
仕訳なし

(3)決算時
(借)為替予約5 (貸)為替差損益5 ←予約時98から決算時103の先物相場の変動

(4)決済時
(借)現金預金12 (貸)為替予約5
        為替差損益7 ←決算時103から決済時110の先物相場の変動

最後は、次の仕訳でもよい(私は、こっちのがわかりやすいです)。
(借)為替予約 7 (貸)為替差損益 7
   現金預金12    為替予約 12



【まとめ】
★独立処理は、「外貨建債権債務は現物相場」、「為替予約は先物相場」で換算。
★外貨建債権債務と為替予約では、為替差損益が逆にでる。



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