税理士試験　簿記論　講師日記

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2005年01月10日11:51

カテゴリ: 外貨建取引

外貨建有価証券

【外貨建有価証券の評価】

外貨建有価証券の換算の前に、もう一度、有価証券の評価に目を通しておきましょう。

有価証券の評価自体がしっかりしていれば、外貨建有価証券の換算はそれほど難しくありません（有価証券の数が多いと混乱しがちですが）。

まずは、基本的な貸借対照表価額（期末評価額）をみてみましょう。

（１）売　買　　時価（ＣＣ）×決算時（ＣＲ）
（２）満　期　　原価（ＨＣ）×決算時（ＣＲ）
（３）子会社　　原価（ＨＣ）×取得時（ＨＲ）
（３）その他　　時価（ＣＣ）×決算時（ＣＲ）

ちなみにＣＣは、カレントコスト、ＨＣは、ヒストリカルコスト、ＣＲは、カレントレート、ＨＲはヒストリカルレートで、スペルは各自確認してみてください（←しなくてもいいですが）。

カレントは、「今の」、ヒストリカルは、「歴史的な」（過去の）といった意味です。

【外貨建有価証券の換算】

評価がしっかりしていれば、レートだけをおさえればよいです。

レートは、子会社等が取得時（ＨＲ）で、その他が決算時（ＣＲ）です。

あるいは、左右を見比べて、「Ｃ」と「Ｒ」がずれている満期保有目的の債券に注目してもよいでしょう。

次に換算差額の処理科目ですが、基本的には、時価評価をしたもの（売買、その他）については、評価と同じ科目（有価証券評価損益等）を使用します。

そもそも評価と換算は、その区分が微妙な面があり、思い切って一緒にしたという感じでしょうか。

子会社は換算しないので、満期保有目的の債券だけに、為替差損益が登場します。

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コメント一覧 (12)

- 1. てつじ
- 2005年12月17日 11:50
- こんにちは。
  ２点質問をさせてください。
  
  ①外貨建満期保有目的債券について、以下の通り炉に認識していますが、間違っていないでしょうか？
  
  期末の評価について洗替法を採用している場合においても、外貨建満期保有目的債券の期末の評価は換算替えをするだけ(評価替えは無い)なので、翌期首に振り戻す必要は無い。
  
  ②説明にある「原価（ＨＲ）」は「原価（ＨＣ）」ではないでしょうか？（間違っていたらすいません）
  
  以上、よろしくお願いします。
- 2. 講師
- 2005年12月17日 22:57
- てつじさん、こんばんは。
  
  （１）は、そのとおりで結構です。
  
  ただの「換算」ということになりますので、他の資産、たとえば売掛金を換算したときに、翌期首に振戻さないのと同じと考えてよいと思います。
  
  （２）は、ご指摘のとおりです。
  訂正させていただきました。
  ご指摘ありがとうございます！！
- 3. ペンは剣より強し
- 2008年10月16日 23:26
- 先生こんにちは。
  また、指導をお願い致します。
  
  外貨建売買目的有価証券の期末処理についてです。
  評価損の場合は、以下の処理になります。
  
  有価証券ｘｘ｜有価証券評価損益ｘｘ
  
  ところで、貸方には、時価評価と決算日換算レートを区別せず一括で「有価証券評価損益」A／Cを使いますが、なぜでしょうか？
  なぜ、別仕訳にしないのでしょうか？
- 4. 講師
- 2008年10月16日 23:55
- ぺんは剣より強しさん、こんにちは（こんばんは）。
  
  売買目的有価証券は、時価の変動によって利益を得ることがネライです。
  最終的な時価と帳簿価額との差額が損益として把握できれば充分といったあたりではないかと思います。
- 5. ぺんは
- 2008年10月19日 13:30
- 分かりました。
  今度から仕訳するときに悩まずに出来そうです。
  ありがとうございます。
- 6. 講師
- 2008年10月19日 22:25
- 金融商品会計基準の「評価」を優先する感じなんですね。
  売買、その他は評価のときと同じ科目。
  満期は評価しないから為替差損益。
  私はそんな感じでおさえています。
  ご参考まで。
- 7. ぺんは剣より強し
- 2008年10月20日 21:24
- なるほど～～です。
  このようなこつを教えていただけると
  本当に理解しやすいです。
  今度から先生のこつを引き出せるような質問の仕方をできるようにしないと・・・。
  独学だと字面だけを追ってしまって理解してるつもりで、結局全く理解できていないということが、非常に多いです。
  得に論点が難しくなればなるほど、私の場合、このような傾向にあります。
  ありがとうございます。
- 8. 講師
- 2008年10月20日 22:34
- おっ、蛇足か思ったんですが、お役に立ててよかったです。
  実は私も回答しながらポイントが合っているのかは、いつもよくわかってません。
  今回は、直前の「悩まずに」というところから補足してみたら合っててよかったです。
  また、何かありましたら遠慮なくおっしゃってくださいね。
- 9. グミ
- 2011年09月14日 22:50
- 先生、こんばんは。
  
  少し、外貨建有価証券についての、質問、宜しくお願いします。
  当たり前のように流していたのですが、振り返ってみると疑問が２点ほど…
  
  ①外貨建有価証券を決算整理などで評価する場合、株式だと時価評価と決算日換算レートを区別せず一括で「有価証券評価損益」として計上して、為替差損益がでません。しかし、債権の場合、為替差損益を計上しています。
  何故、株だと、為替差損益を計上しないで債権だと計上するのでしょうか？
  
  ②外貨建有価証券を減損処理する場合、これもまた、時価評価と決算日換算レートを区別せず一括で「有価証券評価損」として計上しますが為替差損益と２つに分けて計上した方が合理的に思えます。何故、まとめて評価損としているのでしょうか？
  
  勉強していて意味無い暗記など、忘れるもとですので、考え方、意義など、できれば宜しくお願いします。
- 10. 暮木孝司
- 2011年09月15日 00:51
- グミさん、こんばんは。
  
  基本的には、①と②ともに同じ考え方を基礎にしているように思います。
  
  外貨建の項目の期末評価に関しては、いわば、換算という単位の変更と評価（狭義）という価値の変動の話が混在しています。
  最終の財務諸表には、もちろん円で表示することになりますので、両方を合わせてはじめて財務諸表の金額を決める（広義の評価）ことができるかと思います。
  日本人が外貨建の資産に投資した場合を考えても分かるように、特に外部目的から最終的に重要なのは広義の評価といえるように思います。
  外貨基準では、換算と狭義の評価が混じるものについては、最終的には、広義の評価の中に含めて考えているようです。
  
  これに対して、債権は時価評価をしていません。
  そもそもが為替の影響しか考慮していないわけです。
  この債権と同様の性格を有する債券に関しては、これとバランスをとっているということではないでしょうか。
  たとえば、５年間お金を貸し続けるというのと、５年間債券を持ち続けるという場合を比べるとニュアンスはほとんど同じですね。
  その他有価証券の保有目的は実際は雑多ですので、これに近いケースも想定して、為替差損益を分けることも認めているといった感じではないかと思います（外貨基準注１０）。
- 11. グミ
- 2011年09月15日 18:55
- 先生、回答ありがとうございます。
  わざわざ、株を外貨建で買ったということは為替レートによる変動でも儲けたい、と思って買ってるわけですから、まとめて評価損にするべきですよね。
  大変、助かりました。ありがとうございます。
- 12. 暮木孝司
- 2011年09月15日 22:43
- グミさん、こんばんは。
  
  > わざわざ、株を外貨建で買ったということは為替レートによる変動でも儲けたい、と思って買ってるわけですから、まとめて評価損にするべきですよね。
  
  とってもいい理解ですね。
  大変、結構だと思います。
  自分でしっくりくる説明を見つける努力をコツコツ続けられるととってもよいと思いました（うまくいくかは別かもしれませんが、また何かありましたらお声かけいただければ幸いです。）。