【期中処理】

原価80円、試用品売価120円の例を、手許商品区分法で示すと、次のとおりです。

(試  送  時)試用品 80 仕   入   80
(意思表示時)売掛金120 試用品売上120
          仕  入 80 試用品    80

試送段階では、一般の仕入と区別するために、仕入勘定から試用品勘定への振替えを行います(仕入勘定を減らして、試用品勘定を増やす)。

仕入の振替えなので、金額は、「原価」です。

なお、試用品勘定は、試送品勘定を用いる場合もあります。


買取意思表示時点(又は試用期間経過時点)では、通常の売上(ただし、試用販売の売上であることを示すために試用品売上、試用売上等の勘定を用いる場合が多い)をたてます。

借方の売掛金については、試用販売は、お試し販売であることが特徴的なのであえて一般の売掛金とわける必要性は乏しいでしょう。



【決算整理の考え方】

上記の例で、決算整理前の残高試算表はどうなっているでしょうか。

仕   入 80
試用品売上120

仕入(勘定に含まれる試用売上原価)、試用品売上ともに適正であり、決算整理は必要ありません。

ただ、ここで注意を促しておきたいのは、この時点での仕入勘定は、

当期の総仕入(0)−当期試送分原価(80)+試用品売上原価(80)

となっていることです。

つまり、仕入勘定に反映されているのは、当期の試送高ではなくて、試送品の売上原価なのです。



【総合問題への対処】
上記が実感できていないと応用的な総合問題はつらいかもしれません。

簡単な数字で自ら整理していれば、ゆっくりとでも頭の中で納得できるようになると思います。

いきなり決算整理前の試算表の問題の解き方から入るのは、本当は感心しません。

問題の景色が変るとまるで歯がたたなくなるのです。

長い目でみた場合には、地味に、期中処理と決算整理を自分の頭で納得することがポイントでしょう。

それを問題を解く力に転換できるかが勝負といえるでしょう。



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