試用販売の会計処理

【試用販売の収益認識基準】

試用販売の収益認識時点は、相手方が買取の意思表示をした時点です。

試用販売は、お試し販売に他ならないから、商品を引渡した（発送した）だけで、「売上」とはいえません。

買う側からしても気にいらなければ、返品してしまえばよいのです。

試用販売の収益認識（貸方・売上）時点は、相手方（顧客）が、その商品の買取の意思表示をした時点です。



【試用期間がある場合】

一般的には、販売する側で、一定の期間（試用期間）を設け、その期間内なら返品ＯＫ、それを過ぎても返品がなければ、買ったことにするというスタイルが多いです。

そこでこのような場合には、買取の意思表示時点ではなく、試用期間の経過（例えば２週間を過ぎたら）をもって、売上を計上することも認められます。



【試用販売の会計処理】
試用販売の会計処理には、割賦販売と同様に「対照勘定法」があります。

また、試用販売は、割賦販売と異なり、商品引渡時点では、まだ、販売すらされておらず、その商品は、顧客のものではなく、まだ、当社の所有にあります。

そこで、一般的な在庫商品と区別するために、「手許商品区分法」が採用されることが多いです。

手許商品区分法には、売上原価を販売ごとに仕入勘定に振替える「その都度法」と期末において一括して振替える「期末一括法」とがあります。



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Comments

[1. ペンは剣より強し]

先生こんにちわ。

試用販売の認識基準について質問です。

割賦販売の認識基準は、「販売基準」「回収基準」「回収期限到来基準」を学習しました。

試用販売については、割賦販売のときのように一言で示せるような認識基準名は無いのですか？
「試用販売の収益認識（貸方・売上）時点は、相手方（顧客）が、その商品の買取の意思表示をした時点。」と文章で示されています。
内容は理解していますが、文章より一言の方が頭が整理され定着しやすいので・・・。

指導よろしくお願いいたします。

[2. ペンは剣より強し]

先生こんにちわ。

試用販売の記帳方法について追加質問です。

”試用販売”の記帳方法は、「対照勘定法」「手元商品区分法」の２つを学習しました。
”試用販売”の「修正販売基準法」は無いのですか？
また、”割賦販売”の場合、「手元商品区分法」は無いのですか？

つまらないところでつまづいてますが、指導よろしくお願いいたします。

[3. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

商品販売の収益の認識は、実現主義で、これを商品販売でいうと、販売基準です。
そのもう少し具体的なのが引渡基準という感じでしょうか。
割賦の場合は、引渡で売れたと考えていいのですが、試用の場合にはただのお試し送付ですから、相手の買取意思表示が販売ということになる感じでしょうか。

（割賦）販売基準＝引渡基準
（試用）販売基準＝買取意思表示基準

割賦に認められている回収基準（現金基準）、回収期限到来基準（権利確定基準）は、回収形態が特殊な割賦販売に固有の方法といってよいと思います。

[4. 講師]

修正販売基準は、いったん全部の売上をたてて、そのうちの一部を利益で調整する方法です。
割賦の場合には、「一部回収」が当然にありえますが、試用は買うか買わないかの判断なので一部を利益調整する必要がないので考えにくいかもしれません。

割賦についても手元商品区分法は方法としてはありえるかもしれません（処理としては普通に可能です）。
ただ、割賦の特徴はあくまでも、回収にあって、商品が売れたことに関しては実は問題がある訳ではありません。
あくまでも回収に難点があることがあるので、収益の認識を回収まで遅らせる処理も認められているだけです。
その点を考えると割賦販売に手元商品区分法はなじみにくい（販売形態と整合性がない）のではないかと思います。

[5. ペンは剣より強し]

先生こんにちは。
試用販売の前T/B、BSの表示に関する質問です。

専門学校の簿記論の問題で前T/Bに試用未収金AC、試用品AC、試用仮売上AC、試用売上ACの金額が表示されていました。

・対照勘定法では、試用品ACの表示がない　はずでは・・・？

・「対照勘定法」／「手元区分法」の混在も
　ありえるのでしょうか・・・？

・前T/Bの試用品ACの金額が、PLの期首商　品棚卸高を求める際に組み込まれていた　
　のも、奇異に感じました。
　というのも、期中に　試用品ｘｘ｜仕入ｘｘ
　と処理するため、前T/Bの試用品ACは、期　首分と異なるからです。

指導よろしくお願い致します。

[6. 講師]

ペンは剣より強しさん、こんばんは。

このケースでは、「試用品」は、「繰越試用品」の意味で使われているのではないでしょうか。
つまりは、決算整理前の「試用品」は、前期末試用品をあらわしているのではないかと思います。
その分、繰越商品は一般商品販売分だけになっているのではないでしょうか。

そのほかに、繰越商品の中に一般分と試用分を含んで使用している場合があると思います。
枝分かれが多くて大変ですが、整理前の試算表の金額の意味を上手に読み取りたいですね。

[7. ペンは剣より強し]

先生こんばんわ。
分かりました。
ありがとうございます。