前渡金・前受金と経過勘定項目の換算

【前渡金・前受金の換算】

前渡金と前受金は、「非貨幣項目」であり、換算は行われません。

前渡金のケースで一連の処理をみておきましょう。

（前渡時）１ドル、１ドル＝１００円

（借）前 渡 金１００　（貸）現金預金１００

（仕入＝輸入時）２ドル、１ドル＝１１０円
仕入２１０　前渡金　１００
　　　　　　現金預金１１０

仕入時に仕入の金額が、２ドル×１１０円＝２２０円にならない点に注意しましょう。



【経過勘定項目の換算】
経過勘定項目のうち繰延項目（前払費用・前受収益）は、発生時の為替相場により換算します。

見越項目（未払費用・未収収益）は、決算時の為替相場で換算します。

換算差額（為替差損益）が生じません。

なお、経過勘定項目は、再振替仕訳が行われますが、これを加味しなければ、「貨幣・非貨幣法」の考え方がそのままあてはまります。



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Comments

[1. ゆっけ]

先生、こんにちわ。
質問です！

『売買目的有価証券及び投資有価証券なら期末に時価評価をして、
期首に振替（洗替法）』をしますが、

外貨の取引って、期末に前払・前受以外の資産を時価評価をしますけど
期首に振替ってしないんでしょうか？

[2. 講師]

ゆっけさん、こんばんは。

結論的には、外貨建の売買目的有価証券、その他有価証券は、洗替を行う感じだと思います。
あと、外貨建の未払費用・未収収益は、外貨ベースで計上しますが、これは翌期首での再振替仕訳が必要になると思います。

余談ですが、洗替えが問題になるのは、本来は、外貨でいうとそのもののドル建ての値段の変動の方なんです。
相場の変動の方は、あまり関係がありません。
でも、売買やその他の期末段階では、両者をごっちゃにして「評価」しますので、洗替が必要という感じになるんだと思います。

[3. 講師]

取得１００ドル（取得時の相場１００円）
決算９０ドル（決算時の相場９０円）
というケースでは、評価損（評価差額）は１９円です。

この中には、
（１）価値の下落（１００ドル→９０ドル）
（２）相場の変動（１００円→９０円）
が混じっています。

（２）の相場の変動部分については、別に洗替の必要はないんですが、そもそもは一緒に（評価損等として）△１０とやってしまうので、洗替える必要があるのだと思います。

って、ズレてきましたので、このへんで。

[4. ゆっけ]

なかなかお返事してなくて申し訳ありません。


外貨建の有価証券については、満期目的保有債権以外は、為替差損益を計上しませんよね。
有価証券について洗替をするのは理解できます♪

外貨建の売掛金や買掛金は期末では取引日レートではなく、決算日レートで換算しますが、

例えば

1$=120（取引日レート）
1$=130（決算日レート）

1$商品を掛で売り、売掛金の回収が翌期になった場合は

取り崩す売掛金は130円ではないのでしょうか？先生の上記の文章を拝見すると、振替仕訳が必要なのかしら、と思うのですが・・。

[5. 講師]

おりょりょ。
最初の文章が、ちと変な方向にいってしまったかもしれません。

売掛金については、130円で、結構です。
基本的に、期末で「純粋な換算」をした項目については、翌期の逆仕訳（振戻し）は行いません。

有価証券についても、満期保有目的の債券は、「純粋な換算」しかしませんので、翌期首の逆仕訳は行いません。
この点は、売掛金の場合と同じだと思います。

換算と評価がゴッチャになっている「売買目的有価証券」と「その他有価証券」について、翌期首の逆仕訳（振戻し）が必要ということになるかと思います。

[6. ゆりりん]

先生はじめまして

お忙しいところ申し訳ありません。
昨年度の簿記論第3問1（3）でどうしてもわからない点がありましたので教えてください。

外貨建預金です。
外貨建預金の場合は前受金でも期末換算替するのでしょうか？

まず前受金を受け入れます。
このときの仕訳が
直物為替相場92円×40ドルで3680となり
現金預金3680／前受金3680

期末に換算替えして
期末直物為替相場90円なので
90×40ドルで3600
よって
為替損80／現金預金80

これは前受金が期末に残っていたら
換算替えをしなくてはならないということでしょうか？
私は前受金は非貨幣項目なので期末の
為替損80／現金預金80
という仕訳はしませんでした。

確かに前受金の3680という数字は変わっていませんが間接的に期末換算をしたように感じますがどうでしょうか？
この問題により今まで前受金、前払いの外貨建は換算しないという風に思っていたのがくずれてしまいすごく頭がごちゃごちゃしています。

お忙しいところ申し訳ございませんが教えください。お願いします。

[7. 暮木孝司]

ゆりりんさん、はじめまして。
よろしくお願いします。

あくまでも換算しないというのは貸方の前受金ではないでしょうか。
借方の現金預金は、貸方には影響されません。

現金預金×××　前受金×××

現金預金×××　売　上×××

同じ外貨の預金等であれば、受け取ったときの貸方に関係なく、換算をする必要があれば換算をするということになるのではないかと思います。