(1)任意積立金の意味
「任意積立金」は、過去の留保利益に名前を付けて残したものです。

任意積立金も繰越利益剰余金や利益準備金と同様に資本の内訳を細分したものと考えるとよいでしょう。

積立てること自体が任意なので、それほど大きな意味は持ちません。

しかし、いったん積立てた積立金を取崩して、繰越利益剰余金とするには、ふたたび株主総会の決議等を経なければなりません。

その程度の拘束力はあります。


積立:(借)繰越利益剰余金××× (貸)任意積立金×××


「繰越利益剰余金という資本項目を減らして、任意積立金という資本項目を増やしています」。

「繰越利益剰余金を任意積立金に振替える」といっても同じです。


(2)任意積立金の種類

任意積立金は、文字どおり任意に積立てるものですから、どんなものでもかまいません。

その種類も新築積立金、配当平均積立金等さまざまです(覚えたりする必要はありません)。



(3)任意積立金の取崩

任意積立金の取崩(減少)の処理は、積立とまったく逆です。

株主総会の決議で取崩す場合は、任意積立金(資本)を減らして、その分、繰越利益剰余金(資本)を増やせばよいです。


取崩:(借)任意積立金××× (貸)繰越利益剰余金×××


任意積立金の取崩しは、基本的に株主総会の決議事項です。

なお、任意積立金のうち積立目的のある積立金(目的積立金)をその目的にしたがって取崩した場合等はこの限りではありません。



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