【資本とは何か】
(1)資本とは

資本とは何かと問われると案外と返答に困ります。

簿記をかじった人なら、「資産−負債」と答えるでしょうか。

この場合の資本は、純資産、純財産などとも呼ばれます。

純粋にもっている財産といった感じでしょうか。



(2)2つの等式

これを式であらわすと、

資産−負債=資本(純資産)

ですが、この等式は、「資本等式」と呼ばれます。

同様の計算要素を利用した式に、

資産=負債+資本(純資産)

があります。

この式は「貸借対照表等式」と呼ばれます。

ここでの「資本」は、他人資本と呼ばれます。

式の左側が資本の運用形態を示し、右側がその調達源泉を示しています。



(3)個人企業と株式会社

個人企業における資本勘定は、基本的には資本金勘定のみです(引出金勘定が使用される場合もあります)。

株式会社企業の資本金は、会社法上のもので、株式会社における資本(純資産)は、個人企業の場合とは異なり、細分されています。

株式会社企業における資本(純資産)の諸勘定は、その内訳を示したものです。
実態はありません。

ただの内訳です。

資本金も、繰越利益剰余金も、任意積立金も、ただ金額だけがある「内訳」です。

この理解が極めて重要です。

株式会社企業の資本に属する勘定科目に「経済実質的な意味」はありません。

ただの内訳、ただの明細に過ぎないのです。


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