【売価還元原価法の適用業種】

連続意見書方式による売価還元原価法の原価率は、借方・原価/借方売価です。

分子の借方・原価はいいとしても、分母の借方・売価が、式にすると長いです。

でも、実はそれほど難しい話ではありません。

売価還元法は、典型的には、デパートやスーパーなどの小売業や卸売業に対して適用される方法です。

その前提には、商品の種類や数が多くて、原価での棚卸が面倒ということがあります。




【値下と値上】

連続意見書方式で算出している原価率は、いわば想定される平均原価率です。

通常、単に原価率といえば、当期の売上と売上原価の比率を意味します。

売価還元原価法における原価率は、いわば当期に仕入れた商品が全部売れたものと仮定した場合に想定される原価率である点が異なります。


借方(インプット側)から売価を把握するときには、値入(どれだけ利益をオンしたか)の把握ができていなければなりません。

ある仕入商品が100円で、その種類の商品の値入率(付加率)が50%だとすれば、値入額は、50円になります。

当初の値札には、150円と表示されます。

もしこれで売れなければ、これを赤い線で消したりして、120円で売ろうとしたりします。

この場合の30円が値下額です。

逆に当初設定した売価を上げた場合の金額が値上額です。

値上というのは、値下に対して少ないでしょう。

また、その場合は、値札そのものを取り替えることになるでしょう(赤字で値上された商品を買う気にはなれません)。




【値引との違い】

売価還元原価法の原価率算出時の「値下」や「値上」は、実際に商品を販売する以前の話です。

この点が、商品を販売した以後の話である「値引」や「割戻」とは異なります。

つまり、商品販売以前の値段の引下げ(引上げ)が、「値下」や「値上」であり、商品販売後の値段の引下げが、「値引」や「割戻」になります。




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