【売価還元法の意義と種類】

「売価還元法」とは、期末棚卸を商品の売価で行い、これに原価率を乗じて期末棚卸高を算出する方法です。

期末商品棚卸高(原価)=期末商品棚卸高(売価)×原価率

この場合の原価率の算出方法には、二つの種類があります。

一つが、「連続意見書方式」または「インプット法」と呼ばれる方法で、もう一つが「税法方式」または「アウトプット法」と呼ばれる方法です。

(1)連続意見書方式(インプット方式)

(2)税法方式(アウトプット方式)



【原価率の算出】

連続意見書方式では、帳簿棚卸売価を算定でき、棚卸減耗を把握できます。

もっとも、きちんとした値入(原価にいくら利益を加算するか)の管理をしていないと連続意見書方式は採用できません。

いずれの方法でも、期末棚卸売価×原価率=期末原価 ですが、この原価率の算出方法が違います。

(1)連続意見書方式

分子 → 期首商品原価+当期仕入商品原価
分母 → 期首商品売価+当期仕入商品原価+原始値入額+値上額−値上取消額−値下額+値下取消額


(2)税法方式

分子 → 期首商品原価 + 当期仕入商品原価
分母 → 当期純売上高 + 期末商品売価

「ボックス図」を思い出しましょう。

連続意見書方式では、商品(仕入)の借方・原価/借方・売価という計算をし、税法方式では、商品(仕入)の借方・原価/貸方・売価という計算をしているだけです。

できるだけ式は覚えない方がよいと思います。

これは売価還元法に限りませんが、単に覚えただけの式は、実践ではあまり使えません。

「覚えてはいないが、解ける」がベストに近いのではないでしょうか。



【売価還元低価法】

連続意見書方式における原価率の分母の値下額を取り除いたものが、売価還元低価法の原価率です。



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