(※)社債には、償却原価法が適用されることになりましたので、社債発行差金という繰延資産はなくなりました。

下記記事の内容は現在では古くなっています。



【貸方の社債発行差金】
現実の出題としてはやや考えにくいですが、貸方に生ずる社債発行差金、つまり、打歩発行時(額面金額<発行価額)の社債発行差金について考えてみましょう。

第三問での出題は、事実上、考えられないと思いますが、第一問・第二問では、ありえないことではないと思います(可能性は高くはありませんが)。

社債発行差金の本来の性格は、利息です。

借方にこようと、貸方にこようと利息であることに変りはありません。

その意味でいうと借方・貸方にとらわれない社債発行差金の理解が、会計学的には正しい筈ですが、旧商法は、借方差額の社債発行差金を繰延資産としていました(もっとも計上は任意ですが)。

貸借対照表を眺めてみても借方の繰延資産に対応する貸方項目はありません。

繰延資産の本質が繰延べられた費用(繰延費用)であるとすれば、貸方にくる社債発行差金の性格は、繰延べられた収益(繰延収益)と考える以外にないでしょう。

これがわかりにくいのではないかと思います。

我国では、この繰延収益に相当する項目がないのです。

あえていえば長期前受収益といったところでしょうか。

借方・社債発行差金に整合する貸方・社債発行差金の性格は、長期前受収益といってよいでしょう。



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