今回は他勘定振替高についてです。

【他勘定振替高の意味】

自家消費(自分で使ってしまう場合)、火災、盗難、見本品の提供等の販売以外の事由で商品が減少する事があります。

この時に用いられるのが、他勘定振替高です。

例えば、火災により商品が燃えてなくなったときの仕訳は、次のとおりです。

(借)火災損失100(貸)仕  入100

当期商品仕入高が1,000円で、期首商品棚卸高、期末商品棚卸高がゼロだとすると、仕入勘定の残高は、900円です。

これを損益計算書にそのまま表示すると、次のとおりです。

売上原価
 期首商品棚卸高  0
 当期商品仕入高900
      計 900
 期末商品棚卸高  0  900


売上原価は、900円でいいでしょう。

売上原価は、売れてなくなってしまった商品を買った値段なので900円のままでいいです。

しかし、当期の純粋な仕入高は900ではなく、1,000円のハズです。

このままでは、当期の純仕入高は、その企業が実際にどれだけ仕入活動を行ったかを示していません。

このような不合理を解消するのに用いられるのが、他勘定振替高です。

売上原価
 期首商品棚卸高    0
 当期商品仕入高1,000
      計 1,000
 他勘定振替高   100
 期末商品棚卸高    0  900


こうすることで損益計算書上の当期商品仕入高は、当期の純仕入高を示すことができます。

損益計算書上の当期商品仕入高(純仕入高)を100円増やし、他勘定振替高も100円増やします。

算式で示すと次のとおりです。

売上原価900=期首0+当期900−期末0

売上原価900=期首0+当期1,000−(他勘定振替高100+期末0)

他勘定振替高の分(100円)売上原価の計算要素の足す部分(当期)が増えて、引く部分(他勘定振替高)も同額が増えていることを確認してください。

他勘定振替高は、あくまでも損益計算書の表示上の問題であり、仕訳処理には影響しません。



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