【級数法の意義と計算方法】
(1)級数法の意義

級数法は、減価償却方法の一種です。

「耐用年数にわたってその償却費を級数的に逓減するように計算する減価償却方法」を級数法といいます。

級数法によると減価償却費の額が、徐々に減っていくので、定率法とともに「逓減法」とも呼ばれます。

例えば、耐用年数が3年なら、減価償却費の割合が、3、2、1と徐々に減っていくように計算するのが級数法です。

1年目 3(の割合)
2年目 2(の割合)
3年目 1(の割合)
 合計 6

結局は、減価償却すべき金額(取得価額から残存価額を控除した要償却額)にそれぞれの年分の割合を掛け、その合計(総項数)で割ればよいことになります。


級数法の償却額=(取得原価−残存価額)×当期項数/総項数


(2)具体的計算

「総項数」の計算は、「耐用年数まで1から順に足した数字」です。

耐用年数×(耐用年数+1)÷2でも算出できます。

耐用年数が2年であれば、(2×3)÷2=3 が総項数です。

初年度は2、二年度目は1を分子にして計算すればよいです。

残存価額を控除する(0.9をかける)のは、定額法と同様です(←忘れやすいので注意しましょう)。



【級数法の月割計算】

級数法の場合の月割計算がやや複雑です。

例えば、取得原価60 残存価額0 耐用年数3年の資産の場合、
固定資産を期首に取得していれば、減価償却費は次のように計算します。

総項数(分母)は、1+2+3=6 又は (3+4)÷2=6 です。

第1期 60×3/6=30
第2期 60×2/6=20
第3期 60×1/6=10

しかし、期中で取得した場合が、ちょっと面倒です。

決算期を1月1日から12月31日で、7月1日に取得した場合を考えてみましょう。

第1期(60×3/6×6月/12月)=15
第2期(60×3/6×6月/12月)+(60×2/6×6月/12月)=25
第3期(60×2/6×6月/12月)+(60×1/6×6月/12月)=15
第4期(60×1/6×6月/12月)=5

うーん。黒板が欲しい。

なんとか階段状に四角を3個書いて、事業年度とあわせて、って文章じゃなあ。



【関連記事】
有形固定資産と減価償却
定額法の償却率
直接法と間接法
減価償却関連の推定の意味
有形固定資産の取得原価
高額下取
火災損失
臨時償却
償却方法の変更
資本的支出と修繕費



税理士試験 簿記論 講師日記 全テキスト記事一覧