【有価証券利息とは】
有価証券利息は、社債その他の債券から生ずる受取利息を処理する勘定科目です。

有価証券利息は当初、借方に生じます(割引取得時)。

そのせいか、これを費用と混同しがちですが、あくまでも収益です。

(受取)有価証券利息、(支払)社債利息と考えるとよいでしょう。
社債利息は、費用です。


【借方の有価証券利息】
では、なぜ社債を利息の支払期間の中途で買った者が、それまでの期間の利息(経過利息)を払うのか、です。

それは、利払期の最後にその社債の所有者が利息を総取りするからです。

つまりは、経過利息は、最後にもらう利息の一部先払いです。

最後にもらう利息が多いに決まっているので、有価証券利息が決算整理の後に借方に残ることはありません。

社債本体には、相場のあるものでも、この利息部分は加味されていません。
これを「裸相場」といいます。

利息も加味されている場合は、「利付相場」といいいます。

問題での資料の出方に注意しましょう。


【一連の会計処理】
利払年2回、前回の利払から1月後に購入した場合の一連の会計処理を示しておきます。

社債の購入時:
(借)投資有価証券××× (貸)現金預金×××
   有価証券利息100            → 1月分

利払時:
(借)現金預金 600 (貸)有価証券利息600  → 半年分

半年分の利息が600円だとすると、すでに経過している期間にみあう利息(100円)は、前の所有者(売り手)に支払います。

その代わり、利払日には、全額(半年分)の利息600円の支払いを受けるのです。

600円−100円=500円 の有価証券利息(収益)が残りますが、これが、所有期間5月に対応する収益になります。


【株式と社債の違い】
余談ですが、株式の場合は、その性格上、株式の価格から配当分を別途にはできません。

配当に日割りで清算する考え方がないからです。

そのため、市場で形成される価格(相場)には、配当金の期待値も織り込まれます。

したがって、配当金がもらえる日(基準日)が過ぎると配当分に近い金額の株価がガクンと下がったりします。

これを権利落ち(配当落ち)といいます。


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