やはり簿記で重要なのは仕訳をきる力、「仕訳力」ではないかと思う。

瞬時に仕訳が思い浮かぶか否かが、問題を解く上でも極めて重要だろう。

ただ、やみくもに仕訳がきれればいいのかというと必ずしもそうではない。

5区分(資産・負債・資本・費用・収益)を自然に意識し、一体、何が行われているのかの意識があって仕訳をきる習慣が身についていれば、見たことのない取引でもそれなりのアプローチができるのではないかと思う。

「何か」があった。

それを一定のルールで記録するのが簿記なのだ。

その「何か」を簿記的に捉えられているかどうかが重要なのであって、必ずしも勘定科目名や仕訳そのものが重要なのではない。


とはいうものの入口(簿記の初歩、初めて学習する項目)の段階では、ある程度は勘定科目や仕訳を覚えるという感じにはならざるを得ないかとは思う。

しかし、勘定科目を覚えて、仕訳をきれることのみでよしとする学習のみを続けていけばいずれは急減速してしまう。

これを避けるためには、仕訳を単に覚えるのではなく、仕訳を行う力、仕訳力をつけるようにこころがける必要があるのではないだろうか。


簿記の学習の上で仕訳力が重要であると言うのは簡単だが、件の簿記講師に、受講生に仕訳力をしっかりと身につけてもらうだけの指導力があるのかは、甚だ疑問である。