【本店勘定と支店勘定】
本支店勘定が何を意味するのかを簡単に説明するのは、難しいです。

それは本支店勘定が、簿記上の五区分(資産、負債、資本、費用、収益)で簡単に説明できないからです。

支店の開設当初には次のような仕訳が行われます。

(本店)
(借)支  店××× (貸)現  金×××
              建  物×××
(支店)
(借)現   金××× (貸)本  店×××
   建   物×××

本店は、支店に現金と建物を出しています。

この場合の支店勘定は、投資勘定(有価証券や貸付金)に近いです。

支店は、本店から現金と建物を受け入れていますが、この場合の支店勘定は、資本(資本金)に近いです。

このような関係は、現金と建物を現物出資して子会社を設立した場合を考えるとわかりやすいかもしれません(って、その例がわかりにくいですが)。

(本社)
(借)子会社株式××× (貸)現  金×××
               建  物×××
(子会社)
(借)現  金 ××× (貸)資 本 金×××
   建  物 ×××

支店開設時の支店勘定が投資勘定に、本店勘定が資本金勘定に近いことがわかります。

しかし、例えば、支店が本店に現金を送付した場合はどうでしょうか。

(本店)
(借)現  金××× (貸)支  店×××
(支店)
(借)本  店××× (貸)現  金×××

この場合の支店勘定は、債務(借入金や預り金等)に近いです。

本店勘定は、債権(貸付金や立替金等)に近いです。

日常的な本支店間取引では、本支店勘定は、むしろ債権・債務をあらわす科目に近いといってよいでしょう。

このように本支店勘定が、いわばカメレオンのような性格を有するのは、本来は単一の会計単位をあえて二つ(以上)にわけるために生ずる科目だからです。


実際の本支店間取引の多くは、後者(債権債務の関係)ですから、この理解があると本支店間取引がてがけやすくなるのではないでしょうか。



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