【総記法(※)】

分記法は、固定資産と同様の処理であり、まだアプローチしやすい気がします。

しかし、総記法となると思い切り首をかしげてしまいます。

会計士試験での比重は今でもやや高いかもしれませんが、日商簿記検定あたりでは、ほとんど出ていないようです(範囲外ではないでしょうが)。

税理士試験での出題可能性も低いと思います(平成22年に出題されました)。

そもそもこの総記法って、使ってる人が、いるんでしょうか。


一般的な理解としては、簿記の基本原理に照らせば、分記法が自然でしょう。

なにしろ商品という資産が増えた段階で、借方・商品、減った(売れた)段階で貸方・商品とやる訳ですから、簿記の基本的な仕組みに忠実といってよいでしょう。

しかし、商品販売の都度、その売れた商品の仕入原価(売上原価)を把握するのは著しく困難です。

一日に数個しか商品が売れないならともかく、ある程度の量の商品を扱うとするとその売れた商品の原価(売上原価)をいちいち把握するのは面倒でやってられません。

それなら思い切って、売れた段階で、売価で貸方・商品でどうだというのが総記法です。

売れた段階で原価と利益を分けずに、総額で記録するから総記法といったところでしょうか。


仕入時:(借)商  品100 (貸)現金預金100

販売時:(借)現金預金150 (貸)商  品150



【総記法の決算整理】

いま、期首、期末の商品がないとすれば、商品勘定の残は、貸方50です。

売れた段階で貸方・売価で商品とやったことで、商品勘定は、とんでもないことになっています。

これを適正な記録(商品販売益と商品)に戻すためには、当期の商品販売益をもって次の仕訳を行えばよいことになります。


決算時:(借)商  品50 (貸)商品販売益50


こう考えると分記法と総記法の違いは、商品販売益を販売の都度に計上するか、決算で一括して立てるかの違いにあることがわかります。



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