有価証券の翌期の処理には、洗替処理と切放処理があります。

【有価証券の翌期の処理】

期末に評価した有価証券の翌期の処理方法には、「洗替処理」と「切放処理」があります。

仕訳に着目すれば、翌期に逆仕訳を行うか(洗替)行わないか(切放)の違いです。

洗替処理では、当初の取得原価(原始取得原価)に戻ることを知っているとグットです。

取扱いを簡単に整理しておきましょう。

売買目的有価証券 → 選択
その他有価証券  → 洗替
減損処理の場合  → 切放




【売買目的有価証券】
売買目的有価証券は、評価差額を損益とします。

この点を考えれば、本来的には、切放処理が合理性を有するでしょう。

しかし、実務指針では、洗替処理を好ましい処理と考えているようです。

実務上は、切放処理は面倒というのが、隠れたる理由かもしれません。

金融商品会計基準では、どちらが原則的か、ではなく、いずれかの選択となっています。



【その他有価証券】
その他有価証券に一般的に適用される純資産直入法は、純資産直入そのものが、やや暫定的との感が拭えません。

洗替処理は、むしろ当然というべきでしょう。



【減損処理があった場合】
減損処理は、時価による評価というより、取得原価(帳簿価額)の修正に近いといえます。

原価の修正である以上、切放処理は、当然です。

評価を切り下げた金額が「原価」なのですから、当初の原価(原始取得原価)に戻す処理は行われません。

なお、売買目的有価証券に、減損処理の取扱いはありません。

いつでも通常の時価評価が行われるだけです。

選択している処理方法に基づいて処理されます(洗替処理もありうるので注意が必要です)。



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