【当座借越】
企業は、金融機関と「当座借越契約」を結び、当座預金の残高ナシでも、その契約上の限度額まで引出ができます。

当座預金勘定は、マイナス残ですが、「(短期)借入金」です。

なお、当座借越契約を結んだだけでは簿記上の取引(資産・負債・資本の増減を生む出来事)ではなく、仕訳は不要です。



【一勘定制と二勘定制】
当座借越の処理方法には、一勘定制(当座勘定)と二勘定制(当座預金勘定と当座借越勘定)があります。

例をあげましょう(当座預金残高100、200の当座借越契約)

(1)一勘定制
契約:仕訳なし
引出:(借)買掛金150 (貸)当  座150
預入:(借)当 座200 (貸)売 掛 金200

(2)二勘定制
契約:仕訳なし
引出:(借)買 掛 金150 (貸)当座預金100
                 当座借越 50
預入:(借)当座預金150 (貸)売 掛 金200   
      当座借越 50



【当座預金のマイナス残がある場合】
複数の当座預金口座がある場合に、一勘定制を採用していると、当座預金勘定がプラスでも、個別の口座がマイナス残のときに注意が必要です。

マイナス残は、(短期)借入金勘定に振り替える必要があります。

修正仕訳:(借)当  座××× (貸)借 入 金×××

実務的には、ほとんど一勘定制ではないかと思います。

単純に二勘定制が面倒だという理由でしょう。

しかし、プラス(資産)とマイナス(負債)が一つの勘定に混在するのは、理論上、好ましくありません。

二勘定制が理論的で、一勘定制が実践的(実務的)といえます。

検定試験などの出題では、理論的な二勘定制の出題も少なくありません。

仮に一勘定制を採用する場合でも、勘定科目は、当座勘定を用いる場合が多いのは、「当座預金」という明らかに資産に属する勘定科目で、マイナス残高はまずいという理由だろうと思います。

実務的には、「当座預金勘定」を用いた一勘定制が多いように思います。



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