税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

利益

利益とは何か(5)

純利益は、損益法と財産法という二つの方法によって計算することができます。
損益法や財産法の計算要素である収益、費用、純資産をきちんと決めることができれば、純利益の意味もみえてくるでしょう。
収益と費用は、これを積極的に定義しようとすると曖昧になりがちで、純資産の方がすっきりといきそうです。

純資産は、資産と負債の差額です。
資産と負債がきちんと定義できれば、その差額としての純資産の意味も明確になります。
資産概念と負債概念は対照的ですので、資産概念をきちんと定義できれば、純資産の意味も明確になります。

かなりラフには、概念フレームワークは、このような選択をしました(おおっ、概念フレームワークが登場ですな。ちなみにすでに(5)ですが)。
つまり、曖昧になりがちな収益や費用を直接的に定義する事は避け、「純資産の変動額」として利益を捉えたのです。
純資産は、「資産と負債の差額」ですので、概念フレームワークで独立した定義が与えられているのは、この資産と負債だけになります。
負債は、資産と対照的ですから概念フレームワークの諸概念の理解には、資産の定義が大きな意味を持ちそうです。

それでは、概念フレームワークでは、資産をどのように捉えているのでしょうか。
ここでは、それ以前の資産概念との比較で簡単にみておきましょう。

概念フレームワークで資産は、「経済的資源」と定義されています(もっと長いですが)。
経済的資源というと石油とか、石炭を思い浮かべてしまいそうですが、概念フレームワークの資産概念はちと違うようです。
経済的資源は、「将来のキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」とされています(ちと、厳しいですな)。

概念フレームワークでは、誤解をおそれずにいえば、「現金収入の獲得に役立つもの」を資産と考えたのです。
決算日に売却したと考えた場合の収入をもたらすものだけではありません。
「将来の」現金収入に役立つものも資産と考えたのです。

現金やこれに準ずるもの、直ちに現金収入をもたらすものはもちろん資産でしょう。
「将来の」現金収入に貢献するものも資産です。
えーっと、この事が何を意味するのかは、直ちにはわかりませんが(←わからないのね)、概念フレームワークの資産概念の中枢に、現金(キャッシュ)があることは間違いないようです。

概念フレームワークで唯一の独立した定義を与えられている資産は、現金と関連づけされています。
それは、偶然にも簿記の学習をはじめた当初、借方と貸方がゴチャゴチャになっていた初学者の私と同じようです。
しかし、単なる偶然とは言い切れない面もあるのかもしれません。
現金というとても明確でわかりやすいものにいずれもが向かったと考えることもできるのではないでしょうか。
その意味では、概念フレームワークは私です(←そ、それは違うでしょ。たぶん)。

ただ、大きな違いがあります(←やっぱり違うのね)。
それは、私は目に見える現金、そこにある現金を想像していました。
概念フレームワークで想定されているのは、あくまでも現金の流れという点です。
「将来の現金収入」に「現時点」で貢献しているであろう資産の姿が、浮かび上がって………こないか?

利益とは何か(6)

利益とは何か(4)

簿記を学習した当初に仕訳がゴチャゴチャになった記憶があります。
借方と貸方って、どっちがどっち?
金を貸して、何で借方に貸付金?
資産と収益って、どっちも有利っぽいけどなんで増減の関係が逆?

今では、五区分の増減を間違えることはあまりありません(←ちょっとはあるのね)。
しかし、学習をはじめた当初は、ゴチャゴチャでした。
そのゴチャゴチャも時間とともに解消していきました。
仕訳を数多くこなすことで自然と解消していった面もあるでしょう。
五区分の増減のルールーが頭に入ってきたということもあるのかもしれません。
しかし、私自身が最もゴチャゴチャの解消に貢献したと思えるのは、別のルートでした。
それは、現金に注目することです。

現金は資産。
資産の増加は借方。

この二つの事実だけにとても着目しました。
たぶん講師に促されたのだとは思いますが、残念ながらきっかけについてのはっきりした記憶はありません。
現金という一つの資産に着目するだけで、相手科目がわかれば、多くの仕訳をきることができます。
それは、現金がなじみもあり、とてもわかりやすく、明確だったからなのでしょう。
具体的で明確なものを元に仕訳の仕組みを考えたので記憶にも定着しやすかったのだと思います。

そのうち、対象は具体的な現金以外の資産(預金や備品等)に広がりました。
そしてその延長に貸付金や売掛金といった他の資産を考えました。
さらにその反対として借入金や買掛金といった負債を想定することで、きれる仕訳も増えていったように思います。
資産と負債が反対の性格を持っていて、その増減の記録も逆になるということが明確に意識できてからは、仕訳の貸借を間違えることは極端に減ったと思います。
五区分で最後に残ったのは、やはり費用や収益ではなかったかと思います(資本もですが)。

自らの実体験のみに照らして五区分のわかりやすさを判断する訳にはいかないかもしれません。
しかし、資産や負債、そしてその差額としての純資産(当時は資本)よりも費用や収益の方が捉えどころのない概念であることは間違いないのではないでしょうか。

純利益は、収益と費用の差額として算定されますが、収益や費用を直接的に定義することはどうも難しそうです。
その事は、収益や費用がわかりにくいことと同様かもしれません。
どうやら、「資産と負債の差額」として純資産を定義する方が近道のようです。

利益とは何か(5)

利益とは何か(3)

損益法によれば、純利益は収益と費用の差額として算定されます。
財産法によれば、純利益は、期末純資産と期首純資産の差額、つまり、「純資産の変動額」として算定されます。
そして両方法による純利益は一致します。
両方式の計算要素である収益や費用、純資産が明確であれば、何も問題はありません。
しかし、それぞれの概念(収益、費用、純資産)は、それほど明確なのでしょうか?

もちろん、収益、費用、純資産は、簿記会計で一般的に使用されている用語です。
皆目検討がつかないということはないでしょう。
しかし、例えば、「収益とは何か?」という問いに置き換えて考えてみてください。
案外とやっかいな問題であることに気づくのではないでしょうか。

損益法では、純利益は収益と費用の差額として算定されます。
純利益を仮に、「収益と費用の差額」と定義するなら、収益や費用がきちんと定まっていないと意味がありません。

それでは、収益とは一体何なのでしょうか?
費用とは一体何なのでしょうか?

極めて抽象的には、収益は「成果」であるとはいえそうです。
100円の商品を仕入れて、その商品が150円で売れれば、150円の成果があがったとはいえるでしょう。
150円の売上という成果を獲得するためには、100円の売上原価という犠牲は不可欠です。
このように考えると費用は「犠牲」だといってよいかもしれません。

売上という価値の獲得=成果が収益で、売上原価という価値の消費(喪失)=犠牲が費用ととりあえずはいえそうです。
しかし、どうも判然としないとの印象を抱くのは私だけでしょうか。
もう少しいえば、すっきりしないのです。
経験的には、すっきりとしているかいないかということは案外と大事なように思います。
誰もが言っている事であったとしても、それが正しい事であったとしても、自分ですっきりしていないことを元にして、その先を語ることはできません。

おぼろげながらも成果や犠牲という語を使えば、収益や費用の性格を何らかの形であらわしていることにはなりそうです。
しかし、もっと明確な考え方をとることはできないのでしょうか?
すっきりすることはできないのでしょうか?

利益とは何か(4)

「利益とは何か」予告

今、純利益について少し考えていますが、イマイチまとまりません。

何がまとまらないかわからない程まとまっていませんが、何とかまとめます。

まとめます、と言い切ってしまわないとたぶん流れてしまうので、まとめます。

微妙ながらも「利益とは何か」、近日公開予定。

っていうか、需要はあるのか?。

まあ、なくても書きますが。



ランキングは、皆様のおかげで2位まで上昇いたしました。

ありがとうございます。

いや〜。一時は、2位どころか2頁(51位以下)まで下落していましたので、ビックリです。

皆さんも、気を抜かずにがんばってまいりましょう!!(←クリックでつか?)


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「資本と利益」とクリーンサープラス

近時、企業会計の目的は、「投資意思決定」に向けられて語られる事が多くなりました。
もちろん、企業をとりまく利害関係者は、投資家だけではありません。
このような傾向が進んだとしても、投資家以外の利害関係者を全く無視した制度ができあがるという事にもならないでしょう。

また、このような傾向に対しては、会計が投資家にとっての手先(言い過ぎか)になっているとの批判もあります。
しかし、大事なのは、このような傾向は、進みこそすれ、逆戻りすることはないのではないかと思える点です。
その事は、会計以外の異なる価値判断とは、かかわりがないと思います。

投資家は、企業に資金を投下し、企業がその資金を運用して、どれだけの成果、すなわち、利益を獲得したのかに関心を持ちます。
「投資」と「利益」の関係に興味がある訳です。

「投資」と「利益」の関係を企業の側で考えると「資本」と「利益」と置き換えることができるでしょう。
どれだけの「資本」で、どれだけの「利益」を獲得したのか。
その関係にこそ投資家の興味があるといってよい訳です。

「クリーンサープラス関係」などと呼ばれる損益計算書と貸借対照表の関係が求められるのもこのような観点からのものといってよいでしょう。

新しい財務諸表の体系の変化の背後には、このような企業会計の目的(投資意思決定支援)と大きなかかわりをもっていることがわかると思います。

オススメ
税理士財務諸表論穂坂式つながる会計理論【第2版】
穂坂治宏
ネットスクール出版
2021-09-16

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暮木孝司

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