税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

再振替仕訳

続・再振替仕訳とは何か(5)

再振替仕訳とはややニュアンスが異なりますが、翌期において、決算時の逆仕訳を行うケースが他にもあります。
期末の決算段階において有価証券について、時価評価を行った場合です。
有価証券について、決算時に時価評価を行った場合の翌期の処理には、切放方式と洗替方式とがありますが、この洗替方式をとった場合に、翌期首において、決算時の逆仕訳が行われることになります。
再振替仕訳と区別する意味で、振戻処理などと呼ばれることもあるようです。

有価証券は、その評価上、四種に区別されます。
会計基準のうえでは、売買目的有価証券が洗替方式と切放方式との選択、その他有価証券が洗替方式のみとなっています。
切放方式と洗替方式といった異なる処理方法については、会計学的な探求も必要でしょうが、ここでは、その処理に着目してみていきたいと思います。

まずはそのタイミングの話です。
もちろん、期首なのですが、考え方としては、その後の売却を考えれば、振戻しは、期首に行う必要があるでしょう。

原価100 時価90の場合
(取得時)有価証券    100 現金預金   100
(決算時)有価証券評価損益 10 有価証券    10
(翌期首)有価証券     10 有価証券評価損益10

仮に、この直後に時価90で売却した場合には、次の処理を行うことになります。

現金預金   90 有価証券100
有価証券売却損10

振戻処理を行わないとすれば、有価証券勘定は、貸方(マイナス)10となってしまい、このような処理を考えると、振戻処理は、期首に行う必要があることがわかると思います。

続・再振替仕訳とは何か(6)へ

再振替仕訳について書いている理由

今、再振替仕訳について書いています。
ほとんど趣味の領域ではありますが、若干、試験との関連もあります(若干なのね)。

思えば、実務指針における会計処理のうち従来的な論点で、「むむっ」と思った処理がいくつかあります(ちなみに新しい論点は、みんな「むむっ」でしたが)。
特に強く感じたのが、次の三点です。
(1)手形割引の処理
(2)貸倒引当金の処理
(3)経過勘定項目の処理

(1)は、以前、かなり長文の記事を書いています。

手形割引の会計処理(1)以下

(2)は、まだケリがついていませんが、初年度にキャッシュ・フロー見積法の出題があった関係もあって、本ブログでは、書いていません。

このうち、実は、柴先生の初年度の出題は、(1)と(2)とはかなりの関連を持っているといってよいと思います。
二年度目の出題は、新基準がメインでした。
三年目の今年の出題は、何らかの形でが絡むのではないかという思いがあります(実際はわかりませんが)。

でもどういう形かは分かりませんし、有価証券の振戻しなどとの関係もあって、結局、ダラダラになっております。
一つの視点(翌期の逆仕訳)から複数の会計処理を見つめるという作業もムダにはならないと思っています。
ぜひ、ご参照ください。

続・再振替仕訳とは何か(4)

一般的な簿記書では、「前払費用」等の処理科目は、経過勘定項目(注解5)に限定して使用される場合が多いようです。
ただし、実務指針では、経過勘定項目以外にも前払費用等の勘定科目を使用しています(為替予約、リースバックの場合)。

そもそも単に「前払費用」といった場合には、次の二つの意味で使われることがあります((1)がほとんどですが)。

(1)経過勘定項目を意味する項目(狭義)
(2)単に将来費用となるべき項目(広義)

(2)のように極めて広い意味(支出・未費用)で前払費用といえば、資産のうちのいわゆる費用性資産は、すべて前払費用ということになります。

実務指針における前払費用等の処理科目の使用方法は、ちょうどこの中間になっているといってよいでしょうか。
このような使用方法が、学習上の混乱の一因になるという指摘はあるでしょう。
ただし、また別個の新たな勘定科目を登場させることを考えるとどちらがよいのかは、微妙かもしれません。

実務指針という公的な書き物の中で記述されていることに対する影響は少なくはないでしょう。
いずれにせよ、このように実務指針では、再振替仕訳を行うか否か、また、使用する勘定科目についても必ずしも一般的な簿記書(特に学習簿記・検定簿記)における使用方法とでは異なっています。

試験的な話をしておけば、このような状況の中、再振替仕訳の時期のみを対象とした出題はやや考えにくいのではないかと思います。
ただ、決算整理前の試算表に経過勘定科目が残っている場合の処理を問う等、その時期を巧みに回避したり、資料から再振替仕訳が行われていることがあきらかというような出題は充分考えられるところかもしれません。

続・再振替仕訳とは何か(5)へ

続・再振替仕訳とは何か(3)

これまで、決算整理時の翌期首における逆仕訳として、経過勘定項目、消耗品及び商品の処理をみてきました。
一般的な処理としては、経過勘定項目及び消耗品の処理は、翌期首に行われ、商品勘定の処理は、翌期末に行われます。
このように考えると再振替仕訳を翌期首に行う根拠、そして再振替仕訳を行う項目自体が、必ずしも一義的に明確とはいえない点に気付かされます。
そもそも再振替仕訳については、極めて明確にそのルールが定まっているとはいいにくい面もあるといってよいのかもしれません。

ある種の混乱の一因は、実務指針における会計処理にあるといえるかもしれません。
実務指針では、経過勘定項目について、再振替仕訳を行っていないのです。
実務指針は、公認会計士監査(財務諸表監査)の指針であり、細かい簿記的な処理が正確に行われているかは、その対象の埒外にあるといってよいでしょう。
つまり、結果さえ異ならなければ(財務諸表さえ異ならなければ)手順(再振替仕訳を行うか)には、こだわっていないようなのです。

さらに指摘されるのは、(長期)前払費用といった経過勘定項目を連想させる勘定科目を必ずしも企業会計原則にいう経過勘定項目以外に使用している点です。
より具体的には、為替予約の振当処理とリースバックの会計処理があげられます。
これらは、企業会計原則の注解5にいう経過勘定項目とはやや趣きを異にしています。

為替予約の振当処理の場合には、いわば「繰延換算差額」であり、リースバックの場合には「繰延売却損益」なのです。
いずれも注解5に規定する経過勘定項目とはいえませんし、支払時に費用処理し、決算時に資産に振替えるために生ずる項目でもありません。
一定の理由から当期の損益計算から除外された部分という点においては確かに経過勘定項目と同じですが、その意味は異なっているといってよいでしょう。
したがって、これらの項目について、再振替仕訳がそのものが出てくることありません。

続・再振替仕訳とは何か(4)へ

続・再振替仕訳とは何か(2)

経過勘定項目や消耗品の例にみられるように翌期首における決算整理時の逆仕訳が行われるのは、支出が先行するケース(経過勘定項目でいえば前払費用)では、次のような仕訳の構造をもっているものということができると思います。

(支出時)費用××× ○○○×××
(決算時)資産××× 費 用×××

つまりは、支出時に費用処理し、決算時にその一部(未経過・未使用分)を資産に振替えるケースです。
また、この論理を突き詰めると、例えば、商品勘定の処理について三分割法をとった場合に行われる決算整理仕訳、

(1)仕  入××× 繰越商品××× ← 期首分
(2)繰越商品××× 仕  入××× ← 期末分

のうち、(1)(期首)分については、決算整理としてではなく、開始手続の段階で、行う必要があるということになるのかもしれません(このような処理は、もちろん、一般的ではありません)。

確かに、五区分の異動も、「費用」→「資産」といずれも同じであり、簿記の手続きだけを考えれば、経過勘定項目や消耗品の例と区別する必要はないともいえそうです。

ただし、現実には、そのような処理方法が紹介されることはありません。
商品勘定の期首と期末の整理を決算整理で行う通常の方法をとる場合には、仕入勘定は、決算整理前の段階で「当期純仕入高」を示し、決算整理を行うことで、「売上原価」が算出されることになります。
この当期純仕入高は、企業の一会計期間の仕入活動の総量を示すものとして損益計算書にも表示されます。
この当期純仕入高を勘定上、示しておくことにはそれなりの意味もあるといったところなのでしょう。

このように考えると簿記の一般的に行われる仕訳は、必ずしも単一の論理に全面的に従っている訳ではないことがわかります。

続・再振替仕訳とは何か(3)へく

続・再振替仕訳とは何か(1)

「続・再振替仕訳とは何か」では、必ずしも経過勘定項目にはとらわれず、これに類する会計処理、特に翌期首における決算整理時の逆仕訳について考えてみたいと思います。

まずは、消耗品(貯蔵品)に関する処理からです。
再振替仕訳を経過勘定項目に限定して説明する場合は少なくありませんが、少なくとも消耗品を購入時に費用処理し、決算において未使用部分を費用勘定(消耗品費)へ振替える処理を行っている場合には、翌期首における決算時の逆仕訳は必要になるでしょう。
そして、実際の出題でも決算段階で行われていなければ、決算修正で行う必要があります。

消耗品の処理に関しては、次の三法が考えられます(購入100、消費70)。
々愼時資産処理・使用時に使用部分を費用へ振替
(購入時)消耗品 100 現金預金100
(使用時)消耗品費 70 消耗品  70

購入時資産処理・決算時に使用部分を費用へ振替
(購入時)消耗品 100 現金預金100
(決算時)消耗品費 70 消耗品  70

9愼時費用処理・決算時に未使用部分を資産へ振替
(購入時)消耗品費100 現金預金100
(決算時)消耗品  30 消耗品費 30

もっとも,蓮△修糧兒┐議の効果を果たし得ず、現実的な採用は考えにくいといってよいでしょう。
現実的な利用が考えられるのは、△覆い靴廊です。

購入時に資産処理を行い決算時に使用部分を費用へ振替えているならば、翌期の処理は必要ありません。
これは、基本的な(購入時)の処理が資産処理(翌期に繰り越す科目での処理)だからです。

9愼時に費用処理を行い決算時に未使用部分を資産へ振替えている場合には、翌期の逆仕訳が必要ということなります。
これは、前払費用の例と同様に支払時(購入時)に「決算において繰り越す科目ではない費用科目」で先んじて処理を行うためといってよいでしょう。
この点では、経過勘定項目における前払費用のケースと何ら異なるところはありません。

再振替仕訳(2)へ

再振替仕訳とは何か(10)

経過勘定項目の翌期首における再振替仕訳を行う理由についてみてきました。
一つは、簿記の手続上の役割分担を重視する理論的立場からのものでした(直接整理法とのバランス)。
もう一つが、実践上の理由です(期中手続の簡略化)。

簿記の手続上の区分(開始・期中・決算)を重視するという立場もわからなくはありませんが、現実的に別の理由からこれらの手続が混交している場合は少なくないと思います。
また、実践上の理由についても、では、面倒ではないからちゃんとやるんだということでよいのかといわれると返答に窮するという面がないではありません。

それでも「再振替仕訳は翌期首に行う」と多くの書籍にも書いてありますし、もちろん、それに抗うだけの根拠も持ち合わせてはいませんので、「再振替仕訳は翌期首に行う」という指導を今でも行っています(←軟弱な)。

そんな中、より悩ましさを増幅させたのが、実務指針でした。
実務指針では、仕訳処理が例示されていますが、基本的に再振替仕訳を行っていないのです。
実務指針は、いわば財務諸表監査の指針であり、必ずしも簿記的な手続きを重視していないのかもしれません。
再振替仕訳を行う必要性を見出していないのかもしれません。
また、個々の場合においては再振替仕訳をしない方が合理的(自然)と考えているのかもしれません。
実務指針を作成された方のコメントをお待ちしたいと思います(←って、ないでしょ)。

いずれにせよ実務指針のこのような会計処理例がその後の簿記書に影響を与えたことに間違いはないでしょう。
このような会計処理に対して「再振替仕訳は翌期首に行う」との主張を繰り返すならば、本来は、明確な根拠を提示すべでしょうが、残念ながら今も果たせずにいます。

以上、長きに渡って経過勘定項目の再振替仕訳について書いてきました。
続・再振替仕訳とは何かでは、必ずしも注解5に規定する経過勘定項目に限定することなく、これに関連する項目について、みていきたいと思います。
(再振替仕訳とは何か・完)

続・再振替仕訳とは何か(1)へ

再振替仕訳とは何か(9)

再振替仕訳が翌期首に行われる理由としてあげられることがあるのが、実践的な理由です。
期中処理を行う段階で借方の科目は支払利息のみにしておいた方が楽チンだからというのがその理由といってよいでしょう。
もう少し、きちんと言うとするなら期中の処理科目を統一したいのです。

簡単な例で示しましょう。
決算時:(借)支払利息30 (貸)未払利息 30
支払時:(借)未払利息30 現金預金120
       支払利息90

経過勘定項目について再振替仕訳をしないとするとこんな感じになるでしょうか。
この支払時の借方を支払利息120にしたいというのがその理由です。
そうすれば期中処理は、前期末にどのような処理が行われたかどうかを考えることなく、いわば誰でも(前期の決算の事を知らない人でも)仕訳がきれることになります。
そうでなければいちいち借方・未払利息をいくらにするのかを確認しなければならなくて、とても面倒です。

借入の相手先が単一で、借入も一口であれば面倒ということもないでしょうが、たくさんあったら面倒なことこのうえありません。
これを避ける意味で、あらかじめ再振替仕訳を行っておき、期中における処理は、借方・支払利息で統一したい訳です。

見越項目(未払費用・未収収益)については、こんな感じですが、繰延項目(前払費用・前受収益)について、再振替仕訳を行わないとすれば、期間の経過時点において費用・収益科目に振替えるということになるのでしょうか。
いずれにせよ煩雑さは伴うことになります。

もっともこのような考え方を突き詰めれば、そもそも再振替仕訳を期首に行わず、期末に行えばよいのではないかという考えも出てきかねません。
経過勘定項目という実体のない資産・負債項目を期末まで放置するのですから、とても荒っぽい処理ということはいえるでしょう。

再振替仕訳とは何か(10)へ

再振替仕訳とは何か(8)

再振替仕訳を決算整理の行われた翌期首に行う理由の一つは、いわば簿記の理論上のものです。
このような立場によれば、開始・期中・決算という簿記一巡におけるそれぞれの手続きの役割分担を重視し、その混乱をきらいます。
前回ご紹介した直接整理法との整合を図る上からも、翌期首に再振替仕訳を行うこととされる訳です。

ただし、この直接整理法は、受験簿記で、触れられることはほとんどありません。
また、一般的な簿記の書物をご覧いただいてもわかるように、受験ではなく、一般的な学問としての簿記レベルでも触れられることは多くありません。
ほとんど触れられることのない方法との比較で説明されても多くの受験生は意味不明の状態ではないかと思います(それで構わないと思います)。

そして、もっとも大きな問題が、私自身が軽く納得していない点です。
開始・期中・決算という役割分担の意味はわかるのですが、例えば、もう一方の開始手続(開始仕訳・開始記入)のように、必然的とまでは言いがたいようにも思えるのです。
開始仕訳→転記や開始記入が行われなければ、帳簿上は、例えば、現金勘定の残高はゼロのままです。
このまま、期中の手続きを行うのは、どう考えてもおかしいでしょう。

また、決算整理→決算振替(損益振替→資本振替)という順序は納得がいきます。
決算整理が損益や財産を帳簿上、きちんと算出するための手続きとするなら、これを受けて初めて、損益振替を行うことができる訳ですし、損益振替を行わなければ、もちろん資本振替も行うことはできません。

しかし、再振替仕訳を「開始仕訳・開始記入の後」、「期中手続に入る前」というタイミングで行わなければならないという事が、理論的に自明の事とは必ずしも思えないのです。
事実、いくつかの期中取引の段階では、決算整理事項と考えられる処理を並行的に行うのが一般化している例があります(期中で売却した固定資産の減価償却費の計上を売却の処理と同時に行う処理は、割と一般化しているといってよいと思います)。
また、逆に、商品勘定の処理について、三分割法をとった場合の決算整理の一部(仕入××× 繰越商品×××)は、むしろ、期首に行うべきだといえることになるのではないでしょうか(このような処理は、むろん一般的ではありません)。

また、直接整理法は、ある種の簡便的な処理方法であると考えられますが、簡便的な処理方法とのバラスンを重視し、原則的な処理法を考えなければならないとすることには、多少の疑問を感じます。

次回以降は、簿記の純粋な理論的な側面ではなく、いわば実践に配慮した考え方をご紹介したいと思います。

再振替仕訳とはなにか(9)へ

再振替仕訳とは何か(7)

経過勘定項目の整理方法としては、「間接整理法」が一般的です。
間接整理法とは、「前払費用(利息)」等の具体的な勘定を用意して、決算整理を行う方法を意味します。
これに対して、直接に費用(収益)勘定で繰越処理を行い(英米式の場合)または残高勘定に振替える方法(大陸式の場合)は「直接整理法」や「直接控除法」などと呼ばれます。

受験簿記においてはほとんど触れられることのない直接整理法ですが、大陸式を例にとって考えておきましょう(本当に、受験では必要ありません)。

(間接整理法)
×1期
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算整理)前払利息 30 支払利息 30
(決算振替)損  益 90 支払利息 90
(決算振替)決算残高 30 前払利息 30
×2期
(開始仕訳)前払利息 30 開始残高 30
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算整理)前払利息 30 支払利息 30
(決算振替)損  益120 支払利息120
(決算振替)決算残高 30 前払利息 30

直接整理法
×1期
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算振替)損  益 90 支払利息 90
(決算振替)決算残高 30 支払利息 30
×2期
(開始仕訳)支払利息 30 開始残高 30
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算振替)損  益120 支払利息120
(決算振替)決算残高 30 支払利息 30

直接整理法では、経過勘定は設けられず、直接、費用(収益)科目で繰越の処理が行われることになります。
この直接整理法をとった場合の期中手続に入る前の支払利息勘定は30円となっており、この支払利息勘定の金額とのバランスをとるためには、前払費用(利息)勘定という経過勘定を用いる間接整理法においては、再振替仕訳が必要であることになります。

再振替仕訳とは何か(8)へ

再振替仕訳とは何か(6)

簿記一巡の手続は、(1)開始手続→(2)期中手続→(3)決算手続という順序で行われます。

このうち、ボリュームが最も多く、企業の日常的な活動を対象としているのが、(2)の期中手続です。
商品を売ったり、買ったり、給料やその他の経費を支払ったり。
期中手続の対象となるのは、大多数の日常的な「対外的」取引といってよいでしょう。
対外的な取引の記録は、その対外的な取引の客観的な事実(それは多くの場合、収支と言い換えてもよいでしょう)に基づいて、行われます。

(3)の決算手続は、決算整理と決算振替からなります。
(2)の対外的な期中取引をその事実に基づいて記録するだけでは、期中の正しい損益や財産の状況を示すとは限りません。
その期中における「収支」を「損益」に直す手続が決算整理といってよいでしょう(もちろん、決算整理は、損益に関わることだけではありませんが)。

決算整理が行われただけでは、「帳簿」上は、損益が算定されている訳ではありません。
損益を帳簿上、算定するための手続が「損益振替」です。
決算段階でも精算表を作成すること等により損益がいくらかを知ることはできます。
しかし、帳簿上に損益がいくらかを示すには、損益に関する項目を一箇所に集める必要があります。
そのための集合勘定が損益勘定であり、損益勘定で算定された損益を資本に振替えるための手続が「資本振替」です。

帳簿が締め切られ、翌期の初めに行われる手続が(1)の開始手続です。
開始手続で初めに行われる手続が、開始記入(英米式)又は開始仕訳(大陸式)です。
前期末の帳簿を締め切った段階で、元帳は、いわば白紙の状態になっており、期中の手続を記録する前に、期首の残高を記録しておく必要があります。
この後に行われるのが、再振替仕訳です。

上記のような簿記一巡の手続の流れの役割分担を重視する立場からは、再振替仕訳は期中手続に入る準備作業の一つとして、「期首」に行わなければならないと説明されることが多いようです。
また、このような簿記の手続を理論的に考える立場からは、経過勘定項目に関する一般的な処理方法(間接整理法)に対する直接整理法との対比で語られることもあります。
次回は、この(受験簿記においてはみかけることの少ない)直接整理法を簡単にご紹介したいと思います。

再振替仕訳とは何か(7)へ

再振替仕訳とは何か(5)

再振替仕訳とは、経過勘定項目の設定の翌期における逆仕訳を意味しています。
通常は、翌期首に行うこととされています。

再振替仕訳の行われるタイミングを、簿記一巡の手続の流れの中で確認しておきましょう。
簿記の手続は、その行われるタイミングから次のように区別することができるでしょう。

(1)期首 → (2)期中 → (3)期末

やや簿記的な言葉で補足しておきましょう。

(1)期首(開始手続) →(2)期中 → (3)期末(決算手続)

より細かい手続を加えてみましょう。

(1)開始手続……開始仕訳(開始記入) → 再振替仕訳
(2)期中手続
(3)決算手続……決算整理 → 決算振替(損益振替 → 資本振替)

再振替仕訳は、上記のように、大陸式の場合でいえば、開始仕訳の直後(期中手続に入る前)に行うこととされています。

さて、再振替仕訳は本当に、ここ(開始仕訳の直後)で行わなければならないのでしょうか。
(2)の期中手続や決算手続の段階で行うのではいけないのでしょうか。

再振替仕訳は翌期首に行われることとされますが、通常その理由としては、次の二点があげられることが多いようです。

(1)「直接整理法」とのバランスをとるため
(2)期中処理の簡略化

(1)が簿記の理論上の理由とするなら、(2)は簿記の実践上の理由といってよいと思いますが、次回以後は、それぞれの理由について検証してみたいと思います。

再振替仕訳とは何か(6)へ

再振替仕訳とは何か(4)

伝統的な意味での期間損益計算は、「収支の損益への修正」という形をとって行われます。
その意味で今日の企業会計の枠組みを「発生主義会計」と呼ぶ場合もあります。
その全体としての発生主義会計の中でももっとも発生主義らしいといってもよいのが経過勘定項目の設定であり、経過勘定項目の設定が「狭義の発生主義」によるものといわれる所以でしょう。

別に会計を学んだ人ではなくても、その計算の意味は理解できるといってよいのではないでしょうか。
当期の費用というとやっかいかもしれませんが、「当期分の家賃はいくらか」という問いに置き換えれば、簡単な条件を提示すれば、簿記的な知識がなくても解答は可能でしょう。
いいかえれば、それほど経過勘定項目の設定は、合理的なのです。
その合理的である理由は、時間(期間)を基礎としている点にあるといえるかもしれません。

経過勘定項目の基礎知識について整理してきましたが、これからが本題です(前置き長いっちゅうの)。

それは、

「なぜ再振替仕訳は翌期首に行われるのか?」

です。

実務指針では、実は、再振替仕訳を行っていなかったりします(ほへっ)。

再振替仕訳は行わなければならないのでしょうか?
行わなくてもよいものなのでしょうか?
そして行わなければならないとするならば、そのタイミングは翌期首でなければいけないのでしょうか?
翌期首でなければいけないとするとそれは何故なのでしょうか?

再振替仕訳とは何か(5)へ

再振替仕訳とは何か(2)

「再振替仕訳」とは、「前期末に行われた経過勘定項目設定時の翌期首における逆仕訳」を意味します。
決算整理前の「帳簿記録 → 試算表」は基本的に支出や収入をもとに計上されています。
前期の決算段階で支出(収入)を費用(収益)に修正する過程で生ずる暫定的、経過的な項目が「経過勘定項目」といってよいでしょう。

このような収支(収入と支出)の損益(費用と収益)への修正全般を規定したのが、企業会計原則の「損益計算書原則一A」です。

このような「収支の損益への修正」のうち経過勘定項目のみを取り上げているのが企業会計原則の注解5です。
いま、前払費用の部分を掲げておきましょう。

「前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。
従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。
また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。」

なんだか、わかったような、わからないような規定です。
対象が「継続的な役務提供」に係ることが特徴といってよいでしょうか。
前提として、継続的な役務提供契約がある。
その前提で「支出」を「費用」に修正する段階(決算整理)で生ずる項目がこの「前払費用」という経過勘定項目であるといってよいでしょう。

再振替仕訳とは何か(3)へ

再振替仕訳とは何か(1)

税理士試験簿記論で必要と思われる知識としては、「再振替仕訳」をご参照いただくとして、やや細かい点を考えておきたいと思います。
試験的な重要性は…………、ありません(私の趣味です。この時期にすいません。)。
もちろん全く関係ないという訳ではありませんが、問題を解いていた方がマシです。
興味のある方は、お付き合いください。

一般的に、「再振替仕訳」とは、前期末におこなわれた経過勘定項目(前払費用、未払費用、前受収益、未収収益)の設定時の逆仕訳を意味するといってよいでしょう(企業会計原則「注解5参照」)。

簿記の手続上、この再振替仕訳は、当期首(設定時からすれば翌期首)に行われることとされています(以下、記述の簡略化のために経過勘定項目のうち前払費用のみを対象とします)。
以下、借入金に対する利息の1年分(120)を前払、決算時は、3か月分(30)が前払いという例をもとに考えてみましょう。

(1)×1期
(支払時)支払利息120 現金預金120 ←1年分
(決算時)前払利息 30 支払利息 30 ←3月分
(損益計算書)支払利息90 ←9月分
(貸借対照表)前払利息30 ←3月分

(2)×2期
(翌期首)支払利息 30 前払利息 30
(支払時)支払利息120 現金預金120
(決算時)前払利息 30 支払利息 30
(損益計算書)支払利息120 ←1年分
(貸借対照表)前払利息 30 ←3月分

×2期の冒頭における仕訳、つまり、「前期末の経過勘定項目設定時の翌期における逆仕訳」が再振替仕訳です。

再振替仕訳とは何か(2)へ
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       <管理人の記事掲載号>  会計人コース2011年9月号-                  会計人コース2008年02月号                  会計人コース2008年01月号                  会計人コース2007年09月号 <管理人の本>
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