税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

再振替仕訳

続・再振替仕訳とは何か(5)

再振替仕訳とはややニュアンスが異なりますが、翌期において、決算時の逆仕訳を行うケースが他にもあります。
期末の決算段階において有価証券について、時価評価を行った場合です。
有価証券について、決算時に時価評価を行った場合の翌期の処理には、切放方式と洗替方式とがありますが、この洗替方式をとった場合に、翌期首において、決算時の逆仕訳が行われることになります。
再振替仕訳と区別する意味で、振戻処理などと呼ばれることもあるようです。

有価証券は、その評価上、四種に区別されます。
会計基準のうえでは、売買目的有価証券が洗替方式と切放方式との選択、その他有価証券が洗替方式のみとなっています。
切放方式と洗替方式といった異なる処理方法については、会計学的な探求も必要でしょうが、ここでは、その処理に着目してみていきたいと思います。

まずはそのタイミングの話です。
もちろん、期首なのですが、考え方としては、その後の売却を考えれば、振戻しは、期首に行う必要があるでしょう。

原価100 時価90の場合
(取得時)有価証券    100 現金預金   100
(決算時)有価証券評価損益 10 有価証券    10
(翌期首)有価証券     10 有価証券評価損益10

仮に、この直後に時価90で売却した場合には、次の処理を行うことになります。

現金預金   90 有価証券100
有価証券売却損10

振戻処理を行わないとすれば、有価証券勘定は、貸方(マイナス)10となってしまい、このような処理を考えると、振戻処理は、期首に行う必要があることがわかると思います。

続・再振替仕訳とは何か(6)へ

再振替仕訳について書いている理由

今、再振替仕訳について書いています。
ほとんど趣味の領域ではありますが、若干、試験との関連もあります(若干なのね)。

思えば、実務指針における会計処理のうち従来的な論点で、「むむっ」と思った処理がいくつかあります(ちなみに新しい論点は、みんな「むむっ」でしたが)。
特に強く感じたのが、次の三点です。
(1)手形割引の処理
(2)貸倒引当金の処理
(3)経過勘定項目の処理

(1)は、以前、かなり長文の記事を書いています。

手形割引の会計処理(1)以下

(2)は、まだケリがついていませんが、初年度にキャッシュ・フロー見積法の出題があった関係もあって、本ブログでは、書いていません。

このうち、実は、柴先生の初年度の出題は、(1)と(2)とはかなりの関連を持っているといってよいと思います。
二年度目の出題は、新基準がメインでした。
三年目の今年の出題は、何らかの形でが絡むのではないかという思いがあります(実際はわかりませんが)。

でもどういう形かは分かりませんし、有価証券の振戻しなどとの関係もあって、結局、ダラダラになっております。
一つの視点(翌期の逆仕訳)から複数の会計処理を見つめるという作業もムダにはならないと思っています。
ぜひ、ご参照ください。

続・再振替仕訳とは何か(4)

一般的な簿記書では、「前払費用」等の処理科目は、経過勘定項目(注解5)に限定して使用される場合が多いようです。
ただし、実務指針では、経過勘定項目以外にも前払費用等の勘定科目を使用しています(為替予約、リースバックの場合)。

そもそも単に「前払費用」といった場合には、次の二つの意味で使われることがあります((1)がほとんどですが)。

(1)経過勘定項目を意味する項目(狭義)
(2)単に将来費用となるべき項目(広義)

(2)のように極めて広い意味(支出・未費用)で前払費用といえば、資産のうちのいわゆる費用性資産は、すべて前払費用ということになります。

実務指針における前払費用等の処理科目の使用方法は、ちょうどこの中間になっているといってよいでしょうか。
このような使用方法が、学習上の混乱の一因になるという指摘はあるでしょう。
ただし、また別個の新たな勘定科目を登場させることを考えるとどちらがよいのかは、微妙かもしれません。

実務指針という公的な書き物の中で記述されていることに対する影響は少なくはないでしょう。
いずれにせよ、このように実務指針では、再振替仕訳を行うか否か、また、使用する勘定科目についても必ずしも一般的な簿記書(特に学習簿記・検定簿記)における使用方法とでは異なっています。

試験的な話をしておけば、このような状況の中、再振替仕訳の時期のみを対象とした出題はやや考えにくいのではないかと思います。
ただ、決算整理前の試算表に経過勘定科目が残っている場合の処理を問う等、その時期を巧みに回避したり、資料から再振替仕訳が行われていることがあきらかというような出題は充分考えられるところかもしれません。

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続・再振替仕訳とは何か(3)

これまで、決算整理時の翌期首における逆仕訳として、経過勘定項目、消耗品及び商品の処理をみてきました。
一般的な処理としては、経過勘定項目及び消耗品の処理は、翌期首に行われ、商品勘定の処理は、翌期末に行われます。
このように考えると再振替仕訳を翌期首に行う根拠、そして再振替仕訳を行う項目自体が、必ずしも一義的に明確とはいえない点に気付かされます。
そもそも再振替仕訳については、極めて明確にそのルールが定まっているとはいいにくい面もあるといってよいのかもしれません。

ある種の混乱の一因は、実務指針における会計処理にあるといえるかもしれません。
実務指針では、経過勘定項目について、再振替仕訳を行っていないのです。
実務指針は、公認会計士監査(財務諸表監査)の指針であり、細かい簿記的な処理が正確に行われているかは、その対象の埒外にあるといってよいでしょう。
つまり、結果さえ異ならなければ(財務諸表さえ異ならなければ)手順(再振替仕訳を行うか)には、こだわっていないようなのです。

さらに指摘されるのは、(長期)前払費用といった経過勘定項目を連想させる勘定科目を必ずしも企業会計原則にいう経過勘定項目以外に使用している点です。
より具体的には、為替予約の振当処理とリースバックの会計処理があげられます。
これらは、企業会計原則の注解5にいう経過勘定項目とはやや趣きを異にしています。

為替予約の振当処理の場合には、いわば「繰延換算差額」であり、リースバックの場合には「繰延売却損益」なのです。
いずれも注解5に規定する経過勘定項目とはいえませんし、支払時に費用処理し、決算時に資産に振替えるために生ずる項目でもありません。
一定の理由から当期の損益計算から除外された部分という点においては確かに経過勘定項目と同じですが、その意味は異なっているといってよいでしょう。
したがって、これらの項目について、再振替仕訳がそのものが出てくることありません。

続・再振替仕訳とは何か(4)へ

続・再振替仕訳とは何か(2)

経過勘定項目や消耗品の例にみられるように翌期首における決算整理時の逆仕訳が行われるのは、支出が先行するケース(経過勘定項目でいえば前払費用)では、次のような仕訳の構造をもっているものということができると思います。

(支出時)費用××× ○○○×××
(決算時)資産××× 費 用×××

つまりは、支出時に費用処理し、決算時にその一部(未経過・未使用分)を資産に振替えるケースです。
また、この論理を突き詰めると、例えば、商品勘定の処理について三分割法をとった場合に行われる決算整理仕訳、

(1)仕  入××× 繰越商品××× ← 期首分
(2)繰越商品××× 仕  入××× ← 期末分

のうち、(1)(期首)分については、決算整理としてではなく、開始手続の段階で、行う必要があるということになるのかもしれません(このような処理は、もちろん、一般的ではありません)。

確かに、五区分の異動も、「費用」→「資産」といずれも同じであり、簿記の手続きだけを考えれば、経過勘定項目や消耗品の例と区別する必要はないともいえそうです。

ただし、現実には、そのような処理方法が紹介されることはありません。
商品勘定の期首と期末の整理を決算整理で行う通常の方法をとる場合には、仕入勘定は、決算整理前の段階で「当期純仕入高」を示し、決算整理を行うことで、「売上原価」が算出されることになります。
この当期純仕入高は、企業の一会計期間の仕入活動の総量を示すものとして損益計算書にも表示されます。
この当期純仕入高を勘定上、示しておくことにはそれなりの意味もあるといったところなのでしょう。

このように考えると簿記の一般的に行われる仕訳は、必ずしも単一の論理に全面的に従っている訳ではないことがわかります。

続・再振替仕訳とは何か(3)へく

続・再振替仕訳とは何か(1)

「続・再振替仕訳とは何か」では、必ずしも経過勘定項目にはとらわれず、これに類する会計処理、特に翌期首における決算整理時の逆仕訳について考えてみたいと思います。

まずは、消耗品(貯蔵品)に関する処理からです。
再振替仕訳を経過勘定項目に限定して説明する場合は少なくありませんが、少なくとも消耗品を購入時に費用処理し、決算において未使用部分を費用勘定(消耗品費)へ振替える処理を行っている場合には、翌期首における決算時の逆仕訳は必要になるでしょう。
そして、実際の出題でも決算段階で行われていなければ、決算修正で行う必要があります。

消耗品の処理に関しては、次の三法が考えられます(購入100、消費70)。
々愼時資産処理・使用時に使用部分を費用へ振替
(購入時)消耗品 100 現金預金100
(使用時)消耗品費 70 消耗品  70

購入時資産処理・決算時に使用部分を費用へ振替
(購入時)消耗品 100 現金預金100
(決算時)消耗品費 70 消耗品  70

9愼時費用処理・決算時に未使用部分を資産へ振替
(購入時)消耗品費100 現金預金100
(決算時)消耗品  30 消耗品費 30

もっとも,蓮△修糧兒┐議の効果を果たし得ず、現実的な採用は考えにくいといってよいでしょう。
現実的な利用が考えられるのは、△覆い靴廊です。

購入時に資産処理を行い決算時に使用部分を費用へ振替えているならば、翌期の処理は必要ありません。
これは、基本的な(購入時)の処理が資産処理(翌期に繰り越す科目での処理)だからです。

9愼時に費用処理を行い決算時に未使用部分を資産へ振替えている場合には、翌期の逆仕訳が必要ということなります。
これは、前払費用の例と同様に支払時(購入時)に「決算において繰り越す科目ではない費用科目」で先んじて処理を行うためといってよいでしょう。
この点では、経過勘定項目における前払費用のケースと何ら異なるところはありません。

再振替仕訳(2)へ

再振替仕訳とは何か(10)

経過勘定項目の翌期首における再振替仕訳を行う理由についてみてきました。

一つは、簿記の手続上の役割分担を重視する理論的立場からのものでした(直接整理法とのバランス)。

もう一つが、実践上の理由です(期中手続の簡略化)。
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再振替仕訳とは何か(9)

再振替仕訳が翌期首に行われる理由としてあげられることがあるのが、実践的な理由です。

期中処理を行う段階で借方の科目は支払利息のみにしておいた方が楽チンだからというのがその理由といってよいでしょう。

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再振替仕訳とは何か(8)

再振替仕訳を決算整理の行われた翌期首に行う理由の一つは、いわば簿記の理論上のものです。

このような立場によれば、開始・期中・決算という簿記一巡におけるそれぞれの手続きの役割分担を重視し、その混乱をきらいます。

前回ご紹介した直接整理法との整合を図る上からも、翌期首に再振替仕訳を行うこととされる訳です。

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再振替仕訳とは何か(7)

経過勘定項目の整理方法としては、「間接整理法」が一般的です。
間接整理法とは、「前払費用(利息)」等の具体的な勘定を用意して、決算整理を行う方法を意味します。
これに対して、直接に費用(収益)勘定で繰越処理を行い(英米式の場合)または残高勘定に振替える方法(大陸式の場合)は「直接整理法」や「直接控除法」などと呼ばれます。

受験簿記においてはほとんど触れられることのない直接整理法ですが、大陸式を例にとって考えておきましょう(本当に、受験では必要ありません)。

(間接整理法)
×1期
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算整理)前払利息 30 支払利息 30
(決算振替)損  益 90 支払利息 90
(決算振替)決算残高 30 前払利息 30
×2期
(開始仕訳)前払利息 30 開始残高 30
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算整理)前払利息 30 支払利息 30
(決算振替)損  益120 支払利息120
(決算振替)決算残高 30 前払利息 30

直接整理法
×1期
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算振替)損  益 90 支払利息 90
(決算振替)決算残高 30 支払利息 30
×2期
(開始仕訳)支払利息 30 開始残高 30
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算振替)損  益120 支払利息120
(決算振替)決算残高 30 支払利息 30

直接整理法では、経過勘定は設けられず、直接、費用(収益)科目で繰越の処理が行われることになります。
この直接整理法をとった場合の期中手続に入る前の支払利息勘定は30円となっており、この支払利息勘定の金額とのバランスをとるためには、前払費用(利息)勘定という経過勘定を用いる間接整理法においては、再振替仕訳が必要であることになります。

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再振替仕訳とは何か(6)

簿記一巡の手続は、(1)開始手続→(2)期中手続→(3)決算手続という順序で行われます。
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再振替仕訳とは何か(5)

再振替仕訳とは、経過勘定項目の設定の翌期における逆仕訳を意味しています。

通常は、翌期首に行うこととされています。
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再振替仕訳とは何か(4)

伝統的な意味での期間損益計算は、「収支の損益への修正」という形で行われます。

その意味で今日の企業会計の枠組みを「発生主義会計」と呼ぶ場合もあります。

その全体としての発生主義会計の中でももっとも発生主義らしいといってもよいのが経過勘定項目の設定であり、経過勘定項目の設定が「狭義の発生主義」によるものといわれる所以でしょう。


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再振替仕訳とは何か(2)

「再振替仕訳」は、「前期末に行われた経過勘定項目設定時の翌期首における逆仕訳」です。

決算整理前の「帳簿記録 → 試算表」は基本的に支出や収入をもとに計上されます。

前期の決算段階で支出(収入)を費用(収益)に修正する過程で生ずる暫定的、経過的な項目が「経過勘定項目」といえます。

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再振替仕訳とは何か(1)

税理士試験簿記論で必要な知識としては、「再振替仕訳」をご参照いただくとして、やや細かい点を考えておきたいと思います。

試験的な重要性は…………、ありません(私の趣味です。)。

もちろん全く関係ないことはありませんが、問題を解いていた方がマシです。

興味のある方は、お付き合いください。

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暮木孝司

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