税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

ヘッジ会計

スワップ取引

【スワップ取引の意義】
スワップ取引は、「将来の現金収支の交換」です。
典型的には、固定金利と変動金利による現金収支の交換があります。
スワップ取引はこのような利子率、通貨、有価証券の相場や指数等によって決定される将来キャッシュ・フローの交換を意味しています。


【基本的会計処理】
(1)契約時
仕訳なし
(2)決算時
評価益………スワップ資産     ××× スワップ利益(評価益)×××
評価損………スワップ損失(評価損)××× スワップ負債     ×××
(3)交換時
利益の場合……現金預金  ××× スワップ資産×××
                        スワップ利益×××
損失の場合……スワップ負債××× 現金預金×××
           スワップ損失

※仕訳の勘定科目には、さほど気にする必要はないと思います。
スワップ取引では、キャッシュ・フローの交換が差金決済で行われます。
そのためスワップ損益については、例えば金利を対象としたスワップ取引(金利取引)の場合、(スワップ)受取利息、支払利息といったその取引に係る勘定が用いられることが多いです。

オプション取引

【オプション取引の意義】
オプションは、付帯するといった意味で、一般的には、本体の附属品をオプションといいます。
デリバティブ取引の一種であるオプション取引も本体(この場合は売買)があってはじめて成り立つ取引です。

オプション取引は、「売買する権利の売買」取引です。
オプション取引は、取引所で行われる取引(取引所取引)です。
「将来において、有価証券等を一定の価格(行使価格)で売買する権利を売買する取引」がオプション取引です。

オプション取引における「売買する権利」には、買う権利(コール・オプション)と売る権利(プット・オプション)とがあります。
コール・オプションでは、買い手は売り手に手数料(オプション料)を支払い、将来においてある商品を一定の行使価格で売り手から「買う権利」を取得します。
プット・オプションでは、買い手は売り手に手数料(オプション料)を支払い、将来において、ある商品を一定の行使価格で売り手に「売る権利」を取得します。

オプション料を無視した場合、コール・オプションでは、行使価格<市場価格で、プット・オプションでは、行使価格>市場価格なら行使されることになります(利益がでる)。


【オプション取引の会計処理】
(1)コール・オプション
(契約時)オプション資産××× 現金預金    ×××
(転売時)現金預金   ××× オプション資産 ×××
               オプション売却益×××
(決算時)オプション資産××× オプション利益 ×××
(決済時)現金預金   ××× オプション資産 ×××
                オプション利益 ×××
(放棄時)オプション損失××× オプション資産 ×××

(2)プット・オプション
(契約時)現金預金   ××× オプション負債 ×××
(決算時)オプション損失××× オプション負債 ×××
(決済時)オプション負債××× 現金預金    ×××
     オプション損失 ×××
(放棄時)オプション負債××× オプション利益 ×××

※オプション取引においても、勘定科目そのものにこだわる必要はないでしょう。

先渡取引

【先渡取引の意義と種類】
先渡取引とは、「将来の特定の期日に、特定の価格で売買することを約束した取引」です。
先渡物取引は、「将来の売買の約束」であり、その本質は、先物取引と異なりません。
先に紹介した先物取引(狭義)と先渡取引をあわせて、先物取引(広義)という場合もあります。
先物取引との一般的な違いは、先物取引が取引所取引であるのに対して、先渡取引が相対取引である点があげられます。
先渡取引は、取引所取引ではないため、先物取引のように委託証拠金は必ずしも必要ではありません。
先渡取引は、相対取引であり、当事者間において自由に契約条件を定めることができます。
先渡取引の原資産としては、金利や為替が多いです。


【先渡取引の会計処理】
(1)取引開始時
 仕訳なし

(2)決算時
 (評価益)先渡(取引)資産××× 先渡利益  ×××
 (評価損)先渡損失  ××× 先渡(取引)負債×××

(3)決済時
(利益)現金預金  ××× 先渡(取引)資産   ×××
              先渡利益     ×××
(損失)先渡損失  ××× 現金預金×××
    先渡(取引)負債×××

※先物取引同様、勘定科目にさほどこだわる必要はないでしょう。
 取引開始時に仕訳がないのは、先物取引とは異なり、相対取引であるため、委託証拠金を要しないためです。

先物取引

【先物取引の意義と種類】
先物取引は、「将来の売買の約束」です。
「将来の特定の日に、特定の価格で売買することを約束した取引」が、「先物取引」と呼ばれます。

先物取引の対象となる資産は、取引所で取り扱われる有価証券等です。
その他にも特定の商品や特定の指標(日経平均等)を対象としたものがあります。

先物取引は、取引所で行われる取引で、代金決済も期日までに反対の取引を行って、差額のみのやりとりをする「差金決済」が一般的です。

例えば、ある株式を1月後に110円で買う先物取引を行った場合を考えてみましょう。
実際に1月後のその株式の時価が100円であったとします。
1月後にその株式を売り、その差額をこの場合であれば、支払うことのみを行うのが差金決済です。

(実際の購入の場合)
取引時:(借)有価証券100 (貸)未払金100

決済時:(借)有価証券110 (貸)現金預金110
    (借)現金預金100 (貸)有価証券110
       ○○損  10

(先物取引の場合)
取引時:仕訳なし

決済時:(借)○○損 10 (貸)現金預金10 ←ここが10が差金決済です。


【売建てと買建て】
先物取引が、現物取引と大きく異なるのは、売りの先行が可能な点でしょう。
現物の取引(通常の取引)である限り、無いものを売ることはできません。
しかし、先物取引の場合には、先行して売ることが可能です。
買いが先行することを「買建て」、売りが先行することを「売建て」といいます。

買い立てのケースだと、時価(先物価格等)が上昇すれば、利益が出て、逆に下落すれば、損失がでます。
これは通常の取引でも同様ですので、いいでしょう。
問題は、売建てのケースです。
売建てのケースは全く逆で、時価が上昇すれば、損失が出て、下落すれば、利益がでることになります。


【先物取引の会計処理】
(1)取引開始時
(借)先物取引差入証拠金××× (貸)現金預金×××

(2)決算時
評価益:(借)先物取引差金××× (貸)先物利益  ×××
評価損:(借)先物損失  ××× (貸)先物取引差金×××

(3)決済時
利益:(借)現金預金  ××× (貸)先物取引差入証拠金×××
                    先物取引差金   ×××
                    先物利益     ×××
損失:(借)先物損失  ××× (貸)先物取引差入証拠金×××
      先物取引差金×××

※なお、勘定科目にさほどこだわる必要はないと思います。
例えば、先物取引差金は、借方であれば、先物取引資産、貸方であれば、先物取引負債でもよいでしょう。
 以前に意見書で、会計処理が例示されており、上記勘定科目で紹介されている例が多いようです。


【先物取引差入証拠金】
通常、デリバティブ取引を開始した段階では仕訳は不要です。
デリバティブ取引は、純額で把握することとされています。
取引は、通常は、等価で行われますので、取引段階では仕訳なしです。

ただし、先物取引に関しては、取引所で行われる取引で、取引開始時に証拠金(保証金)が要求されます。
この分については、先物取引差入証拠金という勘定科目を使用するのが一般的です。
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