簿記と財表の話

2008年04月30日

配当可能額はない(19)会計基準の対応

配当可能額に言及した会計基準は、ありません。

この点に関して会計基準に対応はありません。

そもそも分配可能額が会社法(会社計算規則)に細かく規定されている訳ですから、特段の事情がなければ、それを会計基準にする必要もないでしょう。

いや、それじゃ終わっちゃうか。

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2008年04月29日

配当可能額はない(18)このブログでの反響

分配可能額と区別される配当可能額はない。

そう書き出してからのこのブログの反響は少なかったです。

いや、モン吉くんシリーズをはじめたときの方が反響は大きかったです。

このブログの影響力のなさを痛感しました。

がんばれ、モン吉!!(←そっちかい)

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2008年04月28日

配当可能額はない(17)それぞれの対応

分配可能額と区別される配当可能額はありません。

でも、あるとの記述はあきらかに増えています。

そんななか、受験界はどのような対応をとったのでしょうか。

知り得る範囲で検証してみましょう。

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2008年04月26日

配当可能額はない(16)会社計算規則178条

会社法を解釈する限り、分配可能額の計算上、準備金の要計上額を加味する必要はありません。

今回は、会社計算規則を読む上で誤解の生じやすそうな178条について考えておきます。

というか私がどう読めばよいのかわからなかった条文です。

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2008年04月25日

配当可能額はない(15)平成19年の法人税法の出題

平成19年の税理試験の法人税で面白い出題がありました。

期中に減資を行い、その全額を配当しているという前提での出題です。

期中に資本金を減らして、その他資本剰余金(資本金減少差益)にする。

その全額を期中に配当する。

そんな前提の出題でした。

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2008年04月23日

配当可能額はない(14)ヨーロッパの分配規制

いや、アメリカの次は、ヨーロッパでしょ。

いや、ただ並べたかっただけです。

ヨーロッパの分配規制は、わかんないです。

でも、なぜか書いたりしてみます。

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2008年04月20日

配当可能額はない(13)アメリカの分配規制

配当可能額はない。

そう結論づける過程で会社法や会社計算規則(やその解説の本)をずいぶん読みました。

会社法や会社計算規則がどう考えているか。

そんな視点で会社法や会社計算規則を眺めていると会社法は、分配規制で以前よりもアメリカの制度を参考にしているように思えます。

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2008年04月19日

配当可能額はない(12)会社計算規則の選んだ道

会社法は、株主資本の資本金、準備金、剰余金の区分けに厳格です。

でも、準備金や剰余金の中身(資本か、利益か)にはさほど関心をもっていないようです。

事情がちょっと変わる感じなのが会社計算規則です。

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2008年04月17日

配当可能額はない(11)会社法の選んだ道

配当可能額なんてないんだよ企画。

いや、そろそろネタ切れやろと思われた方。

ある意味、正解です。

でも、続きます。

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2008年04月16日

配当可能額はない(10)期首自己資本と利益

企業会計原則の一般原則の第三原則は、資本と利益の区別を要求する原則です。

前段で資本取引と損益取引の区別を要求しています。

後段の意味の解釈は、わかれるようです。

伝統的に考えられていたのは、もとで(払込資本)ともうけ(留保利益)の区別です。

しかし、第三原則の後段をめぐっては、もう一つの考え方があります。

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2008年04月15日

配当可能額はない(9)「もとで」と「もうけ」の区別

配当可能額なんてないんだよ企画。

いよいよ本題です(←マジ?)。

資本と利益の区別に関しては議論があります。

今回はもしかするとこの議論が間接的に間違いを誘発する原因になったかもしれません。

いや、私の中で間違いと言い切れなかった原因はここにありました。

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2008年04月14日

配当可能額はない(8)会社計算規則が長い?

私の裏(?)の専門である税法は年々条文の量が増えていきます。

会計基準の量も増えました。

会社法はどうでしょうか?

税法や会計基準ほどではないでしょうが、特に会社計算規則がお世辞にも読みやすい長さとはいえないように思います。

配当可能額に関する誤った記述が広まった理由のひとつに会社法と会社計算規則が長い(←失礼)ことがあったかもしれません。

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2008年04月13日

配当可能額はない(7)会社法で変わらない?

分配可能額と区別された配当可能額はありません。

しかし、あるとの記述は明らかに増えています。

なぜそのような間違えた記述が増えてしまったのでしょうか。

その原因の一つに「会社法は変わっていない」という誤った認識や印象があるのではないかと感じます。

会社法は、変わっています。

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2008年04月12日

配当可能額はない(6)取締役の責任

分配可能額を超える配当は、「違法配当」と呼ばれます。

違法配当については、有効説と無効説の対立があるようです。

これは純然たる会社法の問題といってよいでしょう。

違法配当とは別に取締役は、分配可能額の範囲内で配当を行っても責任を負う場合があります。

それが「欠損てん補責任」です。

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2008年04月11日

配当可能額はない(5)計上と積立て

配当可能額はないんだよ企画。

これはちょっとわき道の話です。

でも、言葉に敏感な方は、この面から追いかけてみるとおもしろいです。

旧商法時代は、利益準備金の「積立て」でした。

会社法(445条4項)では、準備金の「計上」です。

会社法での「積立て」と「計上」の使い分けを考えてみました。

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2008年04月10日

配当可能額はない(4)剰余金の額と分配可能額

配当可能額があるとする記述の多くが陥っているであろう誤り。

それが、「分配可能額」と「剰余金の額」との混同ではないでしょうか。

混同がいいすぎなら違いを明確に意識していない。

そういっていいでしょう。

そのことが結果としての誤りにつながっているようです。

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2008年04月09日

配当可能額はない(3)解釈論と立法論

配当可能額なんてないんだよ企画。

第3弾です。

法律の専門家ではないので(いや、税法は?)本当は微妙ですが、解釈論と立法論の話です。

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2008年04月08日

配当可能額はない(2)その理由

分配可能額以外の「いわゆる配当可能額」はありません。

あるとする記述は、ただのミスです。

しかし、なぜあるとの記述が多いのか。

検証企画第2弾。

詳しい根拠等は、トップページの記事をご覧ください。

その他の記事も含めた記事の一覧は次の記事をどうぞ。

「会社法であそぼ」がうらやましい


配当可能額が分配可能額と別個に存在しない理由。

それは、「会社法で規定していないから」です。

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2008年04月07日

配当可能額はない(1)はじめての経験

ちょっと春なので(なのに?)また配当可能額の話です。

配当可能額を問題にしはじめてそろそろ1年。

会社法の施行からそろそろ2年。

もうケリをつけるべき時期です。

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2008年03月06日

配当可能額がないことにこだわる理由

会計関連の書籍では、会社法における分配可能額とは別に配当ができない金額があるとの記述が多くなっています。

しかし、それは誤りだという指摘をしつこくしています(「会社法であそぼがうらやましい」参照)。

自分でもしつこいと思いますが、私はしつこいです。

ええ、どうせしつこいですよ(←何か変わってますが)。

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2007年08月13日

マイナスのその他資本剰余金

今回は、会社法と企業会計といえばこの方、弥永真生先生の著作からのご紹介です。

弥永先生は、研究者でありながら、司法試験、公認会計士試験、不動産鑑定士試験(いずれも二次)に合格していらっしゃいます(すごすぎ)。

弥永先生には、「リーガルマインド会社法」という著作がありますが、こちらには配当可能額に関する記述はありません。

ご紹介するのは、「コンメンタール会社計算規則・改正商法施行規則」です。

剰余金の配当の場合において、会社が剰余金の配当にあたってその他資本剰余金から減ずべき額として定めた額が配当時のその他資本剰余金の額と一致するような場合であって、会社法445条4項および会社計算規則45条に基づいて準備金の計上が要求されるときには、45条および46条の規定の趣旨(資本剰余金と利益剰余金との峻別)に照らせば、資本準備金として計上すべき額だけその他資本剰余金の額が負となることもやむを得ないと考えられる(この場合には、資本剰余金全体としては負の額となるわけではない)。


内容としてほしい所は、その他資本剰余金の全額を配当した場合で、資本準備金の計上が要求されるときは、その分だけその他資本剰余金がマイナスになるという記述です。

繰越利益剰余金は、通常でもマイナスになります。

でも、その他資本剰余金はどうなの?という部分です。

結論的には、少なくとも期中は「アリ」です。

この後、自己株式基準12項の規定によりその負の値は繰越利益剰余金から控除される。

その他資本剰余金そのものの負の値を認めないことに関する若干の疑義が述べられています。

詳しくは同書276頁以後を参照ください。

これで決まりと思ってますが、まだダメですか。

これ以上、分配可能額以外に配当可能額が存在するとの記述はご遠慮いただくか、このブログにその理由を書いていただきますようよろしくお願い申し上げます。


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2007年08月12日

分配可能額と配当可能額

以前に分配可能額以外の配当可能額は存在しないとの結論の記事を書きました。

分配可能額と剰余金の配当(1)

ちなみに(8)と(9)部分は、本年の財務諸表論の第一問の(3)と(4)の問題意識と同一です。


その後、試験が近かったこともあって記事としては書いていませんでした。

まだ、会計系の試験としては会計士試験の論文試験がありますが、試験傾向からいってほとんど関係ないでしょう。

で、ちょっと復活です。

今回は、会社計算規則の解説書からの引用をご紹介します。

分配可能額全額の配当は、違法ではないとの記述です。

秋坂朝則著「設例と仕訳でわかる会社計算規則」税務研究会出版局 355頁

平成17年(2005年)改正商法では、剰余金の配当をした際に準備金に計上しなければならない額を、分配可能額の計算において純資産の額から控除しなければならないと規定されていたが、会社計算規則は、分配可能額の算定において控除するものとはせずに、剰余金の配当した後の剰余金の額を算定する際に減ずるものとしている……。つまり、会社法においては、剰余金の配当時に準備金に計上しなければならない額を見越して分配可能額を算定する必要はなく、分配可能額の範囲内で剰余金の配当をした際に準備金を計上したことにより分配可能額がマイナスとなったとしても、その剰余金の配当は違法ではないことになる。
(太字は私)

このまま剰余金の配当限度額が分配可能額とは別に存在するという記述が広まるのは、どうしても納得がいきません。

というよりも、なぜ分配可能額と別に配当限度額が存在するのかまるでわかりません。

会社法と企業会計にお詳しい方のコメントをお待ちしております。


配当可能額関連の記事一覧

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2006年01月03日

資本とは何か(2)

資本の語は実に様々な意味で用いられています。

ごく一般的には、資本とは、企業会計でいうなら「資産」と同じ意味で用いられる場合が多いかもしれません。
単に財産という意味と同義で資本という語が使用される場合も少なくありません。
これに対して、企業会計上、単に「資本」といった場合には、上記のような意味での財産を意味して使用される訳ではありません。
純資産ないしは純財産、つまり、「資産−負債」を指していることが多いといってよいでしょう。
このような意味での資本は、自己資本などとも呼ばれます。

また、自己資本に対して負債をとくに他人資本ということがあります。
また、この両者をあわせて総資本ということもります。
自己資本及び他人資本のいずれも具体的な運用形態としてではなく、資金の調達源泉という側面に着目しているといってよいでしょう。
簿記の勘定記録に則していうならば、借方(資産)ではなく、貸方(資本ないしは負債)項目として理解されているといえるでしょう。

企業会計上、きわめて重要な意味を持つのが、「もとで」としての「資本」です。

これ以外に商法(会社法)上の資本(資本金)があります。

以上を整理すると次のような感じになると思います。

(1)総資本……………資産又は負債+資本
(2)他人資本…………負債
(3)自己資本…………資産−負債
(4)もとで……………資本金+資本剰余金
(5)商法上の資本……資本金

このような資本概念の多義性が資本をわかりにくくしている原因の一つといってよいでしょう。
「資本」の語が、上記のいずれを指して使用されているのかに注意を払う必要があります。

この資本とは何かでは、主として(3)〜(5)の資本概念に着目したいと思います。

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2006年01月01日

資本とは何か(1)

企業会計上とてもわかりにくいのではないか?と思える概念の一つに「資本」があります。
資産と負債の差額が資本だといってしまえばそれまでなのかもしれません。
しかし、そもそも「差額です」と言われて、「はい、そうですか」とはなかなか言いにくいように思えます。
ただの差額なのですから。

わかりにくさの原因の一つは、資本そのものが極めて抽象的なことにあると思います。
資本といっても別に目に見える訳ではありません。
資産の多くは、現実に目に見えるものです。
目に見えないでも例えば貸付金などは、普段の生活等の延長で考えやすいとでしょう。
負債も資産ほどではないにせよ想定しやすいように思います。
しかし、資本は、目に見えず、また、私達の生活等から思い浮かべるも難しいです。

そして、きわめて多義的に資本という語が用いられることにも資本概念をみえにくくしている原因があるように思います。
特に、商法上の資本概念が、いわば別枠で存在していることがこれに輪をかけているといってよいでしょう。
そしてこの商法(会社法)上の資本に対する考え方は大きく変りつつあるようです。

資本とは何かというおおげさなタイトルをつけました。
しかし、私の力量では、企業会計上の資本とは何かについて、きちっとした答えを出すことはできそうにありません。
しかし、「資本とは何か」を考えることできっと何かの役に立つのではないかと思います(って、何かって何だ?)。

例によって多少(?)長丁場になると思いますが、お付き合いの程、よろしくお願いいたします。

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2005年07月28日

続・再振替仕訳とは何か(7)

有価証券のうち債券には、償却原価法の適用があります(取得差額が金利調整時)。
より具体的には、満期保有目的の債券とその他有価証券のうちの債券に適用の可能性があります。

簡単な例で考えてみましょう。

原価950 額面1,000 期間5年(発行+期首に取得)

(取得時)投資有価証券950 現金預金950
(決算時)投資有価証券10 有価証券利息10

950+10=960が、償却原価です。
振戻処理は、時価を原価に戻すための処理ですから、翌期首の処理は必要ありません。

その他有価証券に償却原価法を適用した場合の取り扱いについてもみておきましょう。
償却原価を通常の原価と同様に考えればよいでしょう。
原価950 額面1,000 時価950 期間5年(発行+期首に取得)

【全部資本直入法】
(決算)
投資有価証券10 有価証券利息10
その他有価証券評価差額金6 投資有価証券10
繰延税金資産      4
(翌期首)
投資有価証券10 その他有価証券評価差額金6
         繰延税金資産      4

【部分資本直入法】
(決算)
投資有価証券10 有価証券利息10
投資有価証券評価損益10 投資有価証券10
繰延税金資産4 法人税等調整額4
(翌期首)
投資有価証券10 投資有価証券評価損益10

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2005年07月27日

続・再振替仕訳とは何か(6)

売買目的有価証券について、振戻処理という会計処理そのものは特に問題ないでしょう。
決算時の逆仕訳を翌期首に行うだけです。
ここでは、その他有価証券について、考えておきましょう。

その他有価証券の評価方法には、全部資本直入法と部分資本直入法があります。
全部資本直入法を採用した場合は、決算時の逆仕訳を翌期首に行う必要があります。
これは洗替処理が、当初の原価に戻すために行われる以上、当然のことといってよいと思います。

例:原価100 時価90 法定実効税率40%

【全部資本直入法】
(期末)
その他有価証券評価差額金6 投資有価証券10
繰延税金資産      4
(翌期首)
投資有価証券10 その他有価証券評価差額金6
         繰延税金資産      4

【部分資本直入法】
(期末)
投資有価証券評価損益10 投資有価証券 10
繰延税金資産     4 法人税等調整額 4
(翌期首)
投資有価証券10 投資有価証券評価損益10

全部資本直入法を採用した場合に期末評価の逆仕訳を翌期首に行う必要はあります。
そうしないと投資有価証券の金額は、原価100に戻らないからです。
しかし、期末の下段部分の仕訳、つまり、部分資本直入法を採用した場合の税効果については、「翌期首」において逆仕訳を行う必要はありません。
他の税効果会計の適用がある項目と一緒に決算で行えばよいことになります。

続・再振替仕訳とは何か(7)へ


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2005年07月26日

続・再振替仕訳とは何か(5)

再振替仕訳とはややニュアンスが異なりますが、翌期において、決算時の逆仕訳を行うケースが他にもあります。
期末の決算段階において有価証券について、時価評価を行った場合です。
有価証券について、決算時に時価評価を行った場合の翌期の処理には、切放方式と洗替方式とがありますが、この洗替方式をとった場合に、翌期首において、決算時の逆仕訳が行われることになります。
再振替仕訳と区別する意味で、振戻処理などと呼ばれることもあるようです。

有価証券は、その評価上、四種に区別されます。
会計基準のうえでは、売買目的有価証券が洗替方式と切放方式との選択、その他有価証券が洗替方式のみとなっています。
切放方式と洗替方式といった異なる処理方法については、会計学的な探求も必要でしょうが、ここでは、その処理に着目してみていきたいと思います。

まずはそのタイミングの話です。
もちろん、期首なのですが、考え方としては、その後の売却を考えれば、振戻しは、期首に行う必要があるでしょう。

原価100 時価90の場合
(取得時)有価証券    100 現金預金   100
(決算時)有価証券評価損益 10 有価証券    10
(翌期首)有価証券     10 有価証券評価損益10

仮に、この直後に時価90で売却した場合には、次の処理を行うことになります。

現金預金   90 有価証券100
有価証券売却損10

振戻処理を行わないとすれば、有価証券勘定は、貸方(マイナス)10となってしまい、このような処理を考えると、振戻処理は、期首に行う必要があることがわかると思います。

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2005年07月24日

続・再振替仕訳とは何か(4)

一般的な簿記書では、「前払費用」等の処理科目は、経過勘定項目(注解5)に限定して使用される場合が多いようです。
ただし、実務指針では、経過勘定項目以外にも前払費用等の勘定科目を使用しています(為替予約、リースバックの場合)。

そもそも単に「前払費用」といった場合には、次の二つの意味で使われることがあります((1)がほとんどですが)。

(1)経過勘定項目を意味する項目(狭義)
(2)単に将来費用となるべき項目(広義)

(2)のように極めて広い意味(支出・未費用)で前払費用といえば、資産のうちのいわゆる費用性資産は、すべて前払費用ということになります。

実務指針における前払費用等の処理科目の使用方法は、ちょうどこの中間になっているといってよいでしょうか。
このような使用方法が、学習上の混乱の一因になるという指摘はあるでしょう。
ただし、また別個の新たな勘定科目を登場させることを考えるとどちらがよいのかは、微妙かもしれません。

実務指針という公的な書き物の中で記述されていることに対する影響は少なくはないでしょう。
いずれにせよ、このように実務指針では、再振替仕訳を行うか否か、また、使用する勘定科目についても必ずしも一般的な簿記書(特に学習簿記・検定簿記)における使用方法とでは異なっています。

試験的な話をしておけば、このような状況の中、再振替仕訳の時期のみを対象とした出題はやや考えにくいのではないかと思います。
ただ、決算整理前の試算表に経過勘定科目が残っている場合の処理を問う等、その時期を巧みに回避したり、資料から再振替仕訳が行われていることがあきらかというような出題は充分考えられるところかもしれません。

続・再振替仕訳とは何か(5)へ


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2005年07月23日

続・再振替仕訳とは何か(3)

これまで、決算整理時の翌期首における逆仕訳として、経過勘定項目、消耗品及び商品の処理をみてきました。
一般的な処理としては、経過勘定項目及び消耗品の処理は、翌期首に行われ、商品勘定の処理は、翌期末に行われます。
このように考えると再振替仕訳を翌期首に行う根拠、そして再振替仕訳を行う項目自体が、必ずしも一義的に明確とはいえない点に気付かされます。
そもそも再振替仕訳については、極めて明確にそのルールが定まっているとはいいにくい面もあるといってよいのかもしれません。

ある種の混乱の一因は、実務指針における会計処理にあるといえるかもしれません。
実務指針では、経過勘定項目について、再振替仕訳を行っていないのです。
実務指針は、公認会計士監査(財務諸表監査)の指針であり、細かい簿記的な処理が正確に行われているかは、その対象の埒外にあるといってよいでしょう。
つまり、結果さえ異ならなければ(財務諸表さえ異ならなければ)手順(再振替仕訳を行うか)には、こだわっていないようなのです。

さらに指摘されるのは、(長期)前払費用といった経過勘定項目を連想させる勘定科目を必ずしも企業会計原則にいう経過勘定項目以外に使用している点です。
より具体的には、為替予約の振当処理とリースバックの会計処理があげられます。
これらは、企業会計原則の注解5にいう経過勘定項目とはやや趣きを異にしています。

為替予約の振当処理の場合には、いわば「繰延換算差額」であり、リースバックの場合には「繰延売却損益」なのです。
いずれも注解5に規定する経過勘定項目とはいえませんし、支払時に費用処理し、決算時に資産に振替えるために生ずる項目でもありません。
一定の理由から当期の損益計算から除外された部分という点においては確かに経過勘定項目と同じですが、その意味は異なっているといってよいでしょう。
したがって、これらの項目について、再振替仕訳がそのものが出てくることありません。

続・再振替仕訳とは何か(4)へ


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2005年07月21日

続・再振替仕訳とは何か(2)

経過勘定項目や消耗品の例にみられるように翌期首における決算整理時の逆仕訳が行われるのは、支出が先行するケース(経過勘定項目でいえば前払費用)では、次のような仕訳の構造をもっているものということができると思います。

(支出時)費用××× ○○○×××
(決算時)資産××× 費 用×××

つまりは、支出時に費用処理し、決算時にその一部(未経過・未使用分)を資産に振替えるケースです。
また、この論理を突き詰めると、例えば、商品勘定の処理について三分割法をとった場合に行われる決算整理仕訳、

(1)仕  入××× 繰越商品××× ← 期首分
(2)繰越商品××× 仕  入××× ← 期末分

のうち、(1)(期首)分については、決算整理としてではなく、開始手続の段階で、行う必要があるということになるのかもしれません(このような処理は、もちろん、一般的ではありません)。

確かに、五区分の異動も、「費用」→「資産」といずれも同じであり、簿記の手続きだけを考えれば、経過勘定項目や消耗品の例と区別する必要はないともいえそうです。

ただし、現実には、そのような処理方法が紹介されることはありません。
商品勘定の期首と期末の整理を決算整理で行う通常の方法をとる場合には、仕入勘定は、決算整理前の段階で「当期純仕入高」を示し、決算整理を行うことで、「売上原価」が算出されることになります。
この当期純仕入高は、企業の一会計期間の仕入活動の総量を示すものとして損益計算書にも表示されます。
この当期純仕入高を勘定上、示しておくことにはそれなりの意味もあるといったところなのでしょう。

このように考えると簿記の一般的に行われる仕訳は、必ずしも単一の論理に全面的に従っている訳ではないことがわかります。

続・再振替仕訳とは何か(3)へく


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