税理士試験 簿記論 講師日記

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剰余金の処分

剰余金の処分の意味

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剰余金の処分の意味
(※)一勘定制と二勘定制
(※)二勘定制採用の理由
(※)損益計算書の末尾
利益準備金
中間配当
任意積立金

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社外流出と内部留保
配当の意味


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剰余金の処分(配当)の意味

剰余金の処分(典型が配当)の会計処理は、わかりにくいように思います。

いま、増減資と比較して考えてみましょう。

「配当」は、獲得した利益を株主に配分する行為です。

「減資」は、株主から受け入れた資本を返す行為です。


【増資と減資の会計処理】
(1)増資
(借)現金預金××× (貸)資 本 金×××

(2)減資
(借)資 本 金××× (貸)現金預金×××

【利益の獲得と配当】
(1)利益の獲得
(借)現金預金 ××× (貸)受取利息 ×××
(借)受取利息 ××× (貸)損  益 ×××
(借)損  益 ××× (貸)繰越利益剰余金×××

(2)配当
(借)繰越利益剰余金××× (貸)未払配当金×××
(借)未払配当金××× (貸)現金預金 ×××

「増資と減資」は、対照的な仕訳処理です。

これに対して、「利益の獲得と配当」は複雑です。

理由は、「利益の獲得」に関係する取引は、期中は、費用・収益勘定で処理し、その費用・収益勘定を損益勘定に振替え、その損益勘定で初めて、どれだけ利益が増えたかを算定することになるからです。

このようなヘンテコな流れをとるのは、企業がどのような形で利益を獲得したのかを原因別(費用・収益別)に示すためです。

上記の「利益の獲得と配当」をムリムリ相殺してしまえば、次のような形になります(実際に、相殺可能な訳ではありません)。


(借)現金預金 ××× (貸)繰越利益剰余金×××

(借)繰越利益剰余金××× (貸)現金預金 ×××

増資と減資の会計処理に似てますよね。

少しイメージがわかないでしょうか?


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社外流出と内部留保

(1)社外流出と内部留保

剰余金の処分項目には、社外流出項目と内部留保項目とがあります。

社外流出項目と内部留保項目との違いは、純財産が減少するか否かにあります。

具体的な取扱いの違いとしてあらわれるのは、社外留保には、利益準備金の計上(10分の1)が強制される点です。


(2)社外流出

(社外流出・配当の例)

(借)繰越利益剰余金××× (貸)未払配当金×××


社外流出の典型は、配当です。

借方の未処分利益は、資本項目です。

この資本項目が減って、未払配当金という負債項目が増えています。


(3)内部留保

(内部留保・利益準備金の計上)
(借)繰越利益剰余金××× (貸)利益準備金×××

繰越利益剰余金、利益準備金の計上共に、資本項目ですから、資本項目間の移動に過ぎないことがわかると思います。

内部留保は、資本項目間の振替取引といってよいでしょう。

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任意積立金

(1)任意積立金の意味
「任意積立金」は、過去の留保利益に名前を付けて残したものです。

任意積立金も繰越利益剰余金や利益準備金と同様に資本の内訳を細分したものと考えるとよいでしょう。

積立てること自体が任意なので、それほど大きな意味は持ちません。

しかし、いったん積立てた積立金を取崩して、繰越利益剰余金とするには、ふたたび株主総会の決議等を経なければなりません。

その程度の拘束力はあります。


積立:(借)繰越利益剰余金××× (貸)任意積立金×××


「繰越利益剰余金という資本項目を減らして、任意積立金という資本項目を増やしています」。

「繰越利益剰余金を任意積立金に振替える」といっても同じです。


(2)任意積立金の種類

任意積立金は、文字どおり任意に積立てるものですから、どんなものでもかまいません。

その種類も新築積立金、配当平均積立金等さまざまです(覚えたりする必要はありません)。



(3)任意積立金の取崩

任意積立金の取崩(減少)の処理は、積立とまったく逆です。

株主総会の決議で取崩す場合は、任意積立金(資本)を減らして、その分、繰越利益剰余金(資本)を増やせばよいです。


取崩:(借)任意積立金××× (貸)繰越利益剰余金×××


任意積立金の取崩しは、基本的に株主総会の決議事項です。

なお、任意積立金のうち積立目的のある積立金(目的積立金)をその目的にしたがって取崩した場合等はこの限りではありません。



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中間配当

【中間配当の会計処理】

会社法のもとでは、株主総会の決議により、期中にいつでも剰余金の配当を行うことができます。

一定の会社については、中間配当の制度があります。

中間配当は、取締役会の決議事項です。

中間配当決議時の、仕訳は次のとおりです。

(1)(借)繰越利益剰余金××× (貸)未払中間配当金×××

(2)(借)繰越利益剰余金××× (貸)利益準備金  ×××

※借方は、1行でもかまいません。

別々に考えましょう。

まずは、(1)中間配当金の処理です。

確定配当の場合は、

(借)繰越利益剰余金××× (貸)未払配当金×××

という処理をしました。

貸方の未払配当金はいいでしょう。

要は、確定配当の場合は、未払配当金勘定を使い、中間配当の場合は、これと区別する意味で、未払中間配当金とする訳です。

いずれも負債であることに変りはありません。

借方は、繰越利益剰余金です。

(2)が利益準備金の積立てです。

中間配当額の10分の1を準備金が資本金の4分の1に達するまで積立てる必要があります。



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利益準備金

【利益準備金の意味】

利益準備金は会社上、その積立てが強制されています。

簿記上の性格は、留保利益(繰越利益剰余金)の振替えに過ぎません。

利益準備金を積立てるということは、現金を預金する場合のように、実際に何か(現金)が減って、何か(預金)が増えている訳ではありません。

ただ、名目上、「繰越利益剰余金」とされているものを「利益準備金」といわば名称変更をするだけなのです。


(借)繰越利益剰余金××× (貸)利益準備金×××


繰越利益剰余金(資本)が減って、利益準備金(資本)が増えています。

「繰越利益剰余金を利益準備金に振替える」といっても同じです。

要は、資本内部の項目の変更(振替え)に過ぎないのです。

資本項目については、このような理解が重要だと思います。



【利益準備金の要積立額】

利益準備金の要積立額は、資本準備金との合計額が、資本金の4分の1に達するまで剰余金の配当額の10分の1です。

資本準備金と利益準備金をあわせて準備金といいますが、配当の10分の1は積む、でも、資本金の4分の1までで積めばいい。そんな感じでしょうか。

なお、実際に準備金の合計額が、資本金の4分の1を超えている場合に、利益準備金の積立ては要しません。



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(※)二勘定制採用の理由

(※)現在では、二勘定制採用の意義は薄れました。記事内容は、会社法施行(平成18年)以前のものです。


【二勘定制採用の理由】

利益処分の会計処理には、「一勘定制」と「二勘定制」とがあります。

仕訳処理を並べてみるとよくわかりますが、二勘定制は、なんだか面倒くさいです。

面倒な上に、勘定記入を眺めてみると、なんだか不思議な感じがします。

では、何故この面倒で、不思議な二勘定制が存在するのでしょうか?

二勘定制による未処分利益勘定の記入例を眺めてみてください(ちゃんとした勘定は書けません)。

何かと順序が似ています。

そう、損益計算書の末尾です。

損益計算書の末尾は、当期純利益+前期繰越利益=当期未処分利益 です。

このことを念頭において、勘定記入を眺めてみましょう。

先の例と同じ前提で、それぞれの第2期の未処分利益勘定は、次のようになります。

(一勘定制)
     未処分利益
未払配当金40 前期繰越100
次期繰越160 損  益100
    200     200

(二勘定制)
     未処分利益
未払配当金40 前期繰越100
繰越利益 60 損  益100
次期繰越160 繰越利益 60
    260     260

二勘定制の勘定記入を眺めると相手勘定の繰越利益が貸借の両側にきて、なんか妙な感じがします。

しかし、貸方の損益100の前で貸借は平均し、残高がゼロになっています。

二勘定制のその後の計算は、当期の利益100+前期利益60=160 と損益計算書の末尾と同じイメージになっていることがわかります。

これに対して一勘定制は、前期利益40+当期の利益100=160 というイメージになっていることがわかります。

このように、二勘定制採用の理由は、勘定記入面を損益計算書のイメージにあわせるためにあるといってよいでしょう(でも一勘定でいいのではと思うのは私だけでしょうか)。

試験では、両方を視野に入れる必要があると思います。



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剰余金の処分の会計処理

【剰余金の処分の会計処理】

設立第1期 純利益100 配当40
設立第2期 純利益100 配当40

定時株主総会で剰余金を処分する前提で仕訳処理を示しましょう。

なお、利益準備金の積立は無視します。

第1期
(決算時)損     益100 繰越利益剰余金100

第2期
(総会時)繰越利益剰余金 40 未払配当金   40
(決算時)損     益100 繰越利益剰余金100

第3期
(総会時)繰越利益剰余金 40 未払配当金   40



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(※)損益計算書の末尾

(※)現在の損益計算書の最終値は、「当期純利益」です。
以下の記事は、会社法施行(平成18年)以前の内容にです。


現行制度上の損益計算書は、純粋な意味での「当期の損益」の計算書ではありません。
当期純利益より下は、事実上は、「利益処分」です。
この点が理解しにくいので、とりあえずは記憶してしまいたい所でしょう。
重要性は、簿記論でも高いといえます。


【損益計算書の末尾】

税引前当期純利益
法人税等(法人税、住民税及び事業税)
当期純利益
前期繰越利益
中間配当額
利益準備金積立額
当期未処分利益

当期純利益までは、かろうじて「当期の損益」を計算しています。
しかし、その下以後は、「当期の損益」とは、かかわりがありません。
計算しているのは当期未処分利益(「株主総会で処分の対象となる利益」)です。
このあたりは、なかなか実感がわかないところですが、いつかはきっとという気持ちで接するようにしましょう。

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剰余金の処分の意味

【企業目的と簿記の目的】

企業と家計の違いは、営利目的か否かにあります。

企業活動の主目的は利益の獲得です。

企業活動をとらえる企業簿記も利益の計算(損益計算)に主眼が置かれます。

典型的な株式会社企業を想定すれば、企業は、株主から資金を募り、その資金で企業活動を行い、その成果たる利益を株主に配当という形で還元します。

この一連の流れを、仕訳で確認しておきましょう。

期中:
(借)現  金150 (貸)収  益150
   費  用100    現  金100

決算:
(借)収  益150 (貸)損  益150
   損  益100    費  用100
   損  益 50    繰越利益剰余金50

株主総会:
(借)繰越利益剰余金50 (貸)未払配当金50

配当支払時:
(借)未払配当金50 (貸)現  金 50

収益・費用 → 損益 → 繰越利益剰余金 → 未払配当金 →現金(の減)

このような流れをまずは実感して欲しいと思います。

個々の仕訳を覚えるだけだと後で苦しくなりますので、流れでおさえたいところです。



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