税理士試験 簿記論 講師日記

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税効果会計

税効果会計

<テキスト記事一覧>
利益計算と所得計算
利益計算と所得計算の相違
税引前当期純利益と法人税等の関係
一時差異と永久差異
差異の種類と会計処理
将来減算一時差異
有価証券に対する税効果
将来加算一時差異(積立金方式による圧縮記帳)


税理士試験 簿記論 講師日記 全テキスト記事一覧

将来加算一時差異−積立金方式による圧縮記帳(非減価償却資産の場合)

【積立金方式による圧縮記帳と税効果】
税務上、積立金法式による圧縮記帳が認められています。
剰余金の処分は、損益計算に影響を与えませんが、所得計算上、損金算入が認められます。
圧縮記帳は、課税の減免ではなく、延期制度で、損金算入が行われる会計期間で課税所得と企業利益とでは差異(将来加算一時差異)が生じ、税効果会計が適用されます。
そもそも積立金方式による圧縮記帳は、直接減額方式(や引当金方式)に代えて用いられる方法です。


【会計処理】
一連の会計処理を示しておきましょう。

発生:法人税等調整額××× 繰延税金負債 ××× ← 圧縮額×税率
処分:繰越利益剰余金××× 圧縮積立金  ××× ← 圧縮額−税効果額
解消:繰延税金負債 ××× 法人税等調整額×××
圧縮積立金  ××× 繰越利益剰余金×××


【注意点】
税効果会計を適用する金額は、圧縮額に税率を乗じた金額です。
剰余金の処分で、圧縮積立金として積立てる金額は、圧縮額から税効果額(すでに繰延税金負債として計上した金額)を控除した金額でよいことになります。
非減価償却資産の場合に解消の仕訳が行われるのは、該当資産を売却等した場合ですが、この場合には、発生時の逆仕訳が行われます。


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直接減額方式
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保険差益の圧縮記帳

有価証券に対する税効果

【資産負債法と繰延法】

税効果会計の考え方には、資産負債法と繰延法(費用収益法)があります(かなり財表チックなので、簿記論のみ受講の方は流してください)。

将来減算一時差異を例にとれば、次の処理を行います。

(借)繰延税金資産××× (貸)法人税等調整額×××

「資産負債法」は、いわば、借方・繰延税金資産(税金の前払)をきちんと計上しようとする考え方です。

「繰延法」は、貸方・法人税等調整額(法人税等とセットでの費用としての税金)をきちんと計上しようとする考え方です。

通常は、どちらの考え方によっても結果は変わりませんが、次の点で違いがあります。

(1)有価証券の取扱い

(2)税率の考え方

(3)繰越欠損金の取扱い



【有価証券の取扱い】

有価証券の取扱いをみておきましょう。

売買目的有価証券は、税務上も時価評価が原則であり、税効果会計の適用はありません。

満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式に、評価上の差異は生じません。
税効果会計の適用があるのは、その他有価証券です。



【全部純資産直入法】
(1)貸方差額の場合
(借)投資有価証券××× (貸)その他有価証券評価差額金×××
               繰延税金負債        ××× ←差異×税率

(2)借方差額の場合
(借)その他有価証券評価差額金××× (貸)投資有価証券 ×××
   繰延税金資産        ×××        ←差異×税率

つまりは、評価差額を、その他有価証券評価差額金(株式等評価差額金)と税効果部分(借方は繰延税金「資産」、貸方は繰延税金「負債」)です。


【部分純資産直入法】
部分純資産直入法採用時の評価損(借方差額)は、税務上、損金算入が認められていないので、通常どおり税効果会計を適用します(将来減算一時差異に該当する)。

(1)貸方差額の場合……全部純資産直入法と同様
(借)投資有価証券××× (貸)その他有価証券評価差額金×××
               繰延税金負債        ××× ←差異×税率

(2)借方差額の場合
(借)投資有価証券評価損××× (貸)投資有価証券 ×××
   繰延税金資産     ×××    法人税等調整額××× ←差異×税率


【翌期の処理】

その他有価証券については、洗替方式が適用されるため、翌期首に逆仕訳が行われます(振戻処理等と呼ばれます)。

決算整理段階で、この処理が行われていなければ、行う必要があります。



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将来加算一時差異(積立金方式による圧縮記帳)



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将来減算一時差異

【将来減算一時差異の考え方】

将来減算一時差異とは、将来に課税所得(税額)増やすような一時差異のことです。

費用100−損金算入限度額60=超過額40

企業会計上の費用が100あって、損金算入限度額が60であれば、差額の40は、税法上の損金になりません(損金不算入)。

この金額(損金不算入額)に税率(法定実効税率)を乗じた金額が税効果額です。

超過額40×税率40%=税効果額16

具体的処理は、

発生:(借)繰延税金資産16 (貸)法人税等調整額16

です。

費用−損金算入限度額=超過額 の関係は、

(棚卸資産の評価損の場合)商品評価損−損金算入限度額=評価損否認額

(減価償却の場合)減価償却費−償却限度額=償却限度超過額

(引当金の場合)引当金繰入額−引当金繰入限度額=引当金繰入超過額

名称が変るだけで、基本的な考え方は同じです。

なお、一時差異は、会計と税法の一時的な差であり、その差異の解消時には、上記仕訳の反対の仕訳を行います。

解消:(借)法人税等調整額16 (貸)繰延税金資産16


【将来減算一時差異のまとめ】
1.種類:商品の評価損否認額、償却限度超過額、引当金繰入限度額、未払事業税等
2.金額:超過額(費用−限度額)×税率(法定実効税率)
3.発生:繰延税金資産 ××× 法人税等調整額×××
4.解消:法人税等調整額××× 繰延税金資産 ×××




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差異の種類と会計処理

【一時差異】

(1)将来減算一時差異
(種類)
減価償却超過、引当金繰入超過、資産の評価損否認、貸倒損失否認等

(仕訳)
発生……繰延税金資産 ××× 法人税等調整額×××
解消……法人税等調整額××× 繰延税金資産 ×××

(2)将来加算一時差異
(種類)
積立金方式の圧縮積立金等

(仕訳)
発生……法人税等調整額××× 繰延税金負債 ×××
解消……繰延税金負債 ××× 法人税等調整額×××



【永久差異】
(種類)交際費等、寄付金、受取配当等、罰科金等
(仕訳)なし



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一時差異と永久差異

【一時差異と永久差異】

企業利益と課税所得の差異(結局は、益金と収益、損金と費用の差異)には、タイミングだけの違い(一時差異)と根本的な違い(永久差異)があります。

一時差異の典型である減価償却の違いを考えてみましょう。

企業会計上は、取得原価が購入時の費用として処理され、税務上は、2年で償却するものとします(残存価額ゼロ、耐用年数2年)。

1年目: 費  用100  損  金50

2年目: 費  用  0  損  金50

1年目の企業利益と課税所得は異なります。

しかし、2年間で考えると、両者(費用と損金)は同じです。

このように単なる「時期的な違い」が「一時差異」です。

一時差異に対して、いくら時間がたっても解消されない「本質的な違い」が「永久差異」です。



【一時差異と永久差異の例】

(1)一時差異

一時差異には、減価償却超過、各種引当金の繰入超過、資産の評価損否認、貸倒損失否認等があります。

法人税法では、損金算入に対して、一定の限度額を設けている場合が多く、一時差異の項目は、とても多いです。

一時差異には、「将来の税金の前払い」である(将来の課税所得を減額させる効果をもつ)将来減算一時差異と「当期の税金の未払い」(将来の課税所得を増額させる効果をもつ)将来加算一時差異とがあります。

(2)永久差異

永久差異には、交際費の損金不算入、寄付金の損金不算入、罰科金の損金不算入、受取配当等の益金不算入等があります。

簿記論で登場するであろう永久差異の項目数は、それほど多くはないので、こちらを覚えてしまう(上記の4つくらい)のも手かもしれません。

寄(キ)、罰(バツ)な、交(コウ)、配(ハイ)。

奇抜な後輩で覚えましょう♪



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税引前当期純利益と法人税等の関係

【税引前当期純利益と法人税等】

法人税等(法人税、住民税及び事業税)は、損益計算書の末尾で次のように表示されます。

税引前当期純利益 100

法人税等      40 ← 税引前当期純利益に対応

当期純利益     60

税引前当期純利益が所得金額と同じ(差異がない)とすると、この金額に税率(40%とする)を乗じた金額40が、法人税等の金額です。



【企業利益と所得金額に差異がある場合】

今、仮に上記のケース(税引前当期純利益が100のケース)で、このうち、税務上は、損金とならない金額が50あるとどうでしょうか。

この場合の所得金額は、企業利益100に損金とならない50を加えた150になります。

法人税等は、この150の40%、つまり60です。

税引前当期純利益 100

法人税等      60 ← 税引前当期純利益に対応していない

当期純利益     40

これがおかしいのは、例えば損金とならない金額を極端に大きくするとよくわかります。

損金とならない金額を仮に400にしてみましょう。

税引前当期純利益 100

法人税等     200 ←(100+400)×40%

当期純損失    100

利益があるのに、最後が損失では、なんともおかしいです。


【税引前当期純利益と法人税等との対応関係の修復】

上記の例では、税引前当期純利益と法人税等との対応関係は、崩れています。

この対応関係を修復する「会計上の手続」が税効果会計です。

税引前当期純利益100

損金とならない金額50

法人税等60(150×40%)

この場合に、どのようにすれば、税引前当期純利益と法人税等との対応関係を修復できるでしょうか。

もちろん対応関係をとるには、法人税等の金額を20減らせばよいです(この20は、差異50に税率を乗じた金額です)。

(借)○○20 (貸)法人税等20

ただし、法人税等60にも、その期に負担すべき法人税等という意味はあるので、法人税等をそのまま減額しません。

そこで用いられるのが、「法人税等調整額勘定」です。

この場合、法人税等60−法人税等調整額20=40←企業利益100に見合う法人税等

になります。

(借)○○20 (貸)法人税等調整額20

では、借方はどうすべきでしょうか。

結論的にいえば、借方科目は、繰延税金資産勘定を用います。

企業利益100を基準に考えると、当期において税金を多く負担している、つまりは「税金の前払」の意味を有しています。

(借)繰延税金資産20 (貸)法人税等調整額20

これが、損金とならない費用(損金不算入)がある場合の税効果の仕訳です。



【損益計算書の表示】

上記の場合の損益計算書の表示は、次のようになります。

税引前当期純利益 100

法人税等      60

法人税等調整額   20

当期純利益     60

法人税等調整額は、法人税等とセットで考えるとよいでしょう。

計算としては、

利益100−法人税等60+調整額20=利益60

でもいいですが、考え方としては、

利益100−(法人税等60−調整額20)=利益60

の方がよいでしょう。



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利益計算と所得計算の相違

【利益計算と所得計算】

企業利益は、収益から費用を差し引いて計算します。

したがって、収益が増えることは、結果として利益の増加につながり、費用が増えることは、利益の減少につながります。

収益300−費用200=利益100

費用が50減る→利益が50大きくなります

収益300−費用150=利益150

所得金額は、益金から損金を控除して計算されます。

益金300−損金150=所得150

所得金額は、益金から損金を控除して算出します。

ただし、実際には、収益と益金、費用と損金の違いを調整する形で、所得金額が計算されます。

この場合の収益と益金、費用と損金との違いが、「差異」です。

所得150=利益100+不一致(差異)50



【差異の種類と税務調整】

企業利益と課税所得との違い(差異)には、都合4つの組み合わせがあります。

(1)益金>収益……益金算入

(2)益金<収益……益金不算入

(3)損金>費用……損金算入

(4)損金<費用……損金不算入



【損金不算入の例】

差異のうちもっとも一般的な損金不算入(上記B散癲稟駘僉砲砲弔い胴佑┐討澆泙靴腓Α

今、企業利益が、次のように計算されるとします。

収益300−費用200=利益100

このうち費用ではあるが、税務上の損金にならない金額が50あったとしましょう(費用200>損金150)。

益金と収益は等しいものとします。

益金300−損金150=所得150

課税所得は、実際には、次のように計算されます。

企業利益100+損金不算入50=所得150

このように所得金額の算出は、企業利益と課税所得との差異、結局は、収益と益金、費用と損金の違いに着目して行われます。

税効果会計の適用においても、この違い(差異)に着目します。



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テキスト記事一覧

利益計算と所得計算

【損益法と財産法】

企業会計上の利益は、一会計期間の収益から費用を差し引いて計算します。

このような利益計算の方法を「損益法」といいます。

損益法………収益−費用=利益


利益は、二時点間の資本(資産−負債)の比較計算でも計算できます。

すなわち、期末資本から期首資本を差し引いて利益を計算します。

このような利益計算の方法が「財産法」です。

財産法………期末資本−期首資本=利益



損益法による計算結果(利益)と財産法による計算結果(利益)は一致します。



【課税所得の計算】

課税所得は、益金から損金を差し引いて計算します。

益金−損金=所得


課税所得の基本的計算構造は、損益法による利益計算と異なりません。

いずれもフローによる計算です。

しかし、「収益、費用、利益」 を 「益金、損金、所得」と呼び替えていることからもわかるように、むろん同じではありません。

収益≠益金、費用≠損金、利益≠所得

まずは、利益計算と所得計算の基本的な仕組みをおさえておきましょう。



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