税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

割賦販売

割賦販売

<テキスト記事一覧>
割賦販売の収益認識基準
対照勘定法
未実現利益控除法
未実現利益控除法・戻入
ボックス図による整理
貸倒れの処理・未実現利益控除法
貸倒れの処理・対照勘定法

<軽めの記事一覧>
割賦販売が一般販売と異なる点
対照勘定
対照勘定法の考え方
割賦販売の原価率の算出


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割賦販売の原価率の算出

簿記で算出することが求められる原価率は、多くの場合、結果としての原価率ではありません。
「想定している原価率」です。
特殊商品販売では、原価率を算出する場合が多いですが、この場合の原価率も「想定している原価率」です。

割賦販売だけを考えれば、原価率は、一般の原価率ではなく、割賦販売の原価率を算出した方が早いです。
しかし、他の特殊商品販売があわせて出題される可能性を考えると、「一般販売の原価率」を算出する方がよいでしょう。

原価率の算出は、複雑な場合が少なくありません。
自分が、「一般販売の原価率」を出したのか、「割賦販売の原価率」を出したのか、原価率を算出した後に確認しましょう。

実際の原価率の算出においては、未実現利益控除法・対照勘定ともに、いわゆる「ボックス図」に習熟する必要があるでしょう。


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ボックス図による整理


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対照勘定法の考え方

対照勘定法は、回収時に収益を認識(売上を計上)する処理方法です。
未回収部分(に対応する原価)は、手許にはありません(お客さんのとこです)。
しかし、売れてないという会計処理をするということは、期末の商品として処理する必要があります。

簡単な例で考えてみましょう。

(例)原価80円 割賦売価120円
(1)購入 (借)仕   入 80 (貸)現金預金  80
(2)引渡 (借)割賦未収金120 (貸)割賦仮売上120

この場合に、回収がゼロで、決算をむかえたケースです。
対照勘定の残は、120円、仕入勘定の残が80円です。

回収基準は、回収があった分の売上を計上しますので、この場合の売上は、ゼロです。
それに見合う売上原価もゼロです。
でも、仕入勘定には、期中の仕入額が残っていますので、次の決算整理仕訳が必要になります。

(3)決算 (借)繰越(割賦)商品 80 (貸)仕  入 80

上記では、割賦販売商品の期末未回収部分に対応する仕入原価は、80とすぐにわかります。
しかし、通常の問題の仕入勘定には、それ以外の部分も入っています。
実際には、対照勘定の残高に原価率を乗ずるという形で算出することが多くなります。

もっとも前期と当期とで原価率が異なる場合には、割賦未収金の前期および当期の残額を算出する必要があります。
この場合には、図を書いて、割賦未収金をきとんと整理しましょう。

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ボックス図による整理

対照勘定

対照勘定法は、一対の対照勘定と呼ばれる勘定に備忘的な記録(ただのメモ)を行う方法です。
この場合の対照勘定は、単なる備忘記録のために用いられる勘定です。
正規の資産・負債・資本・費用・収益に属する勘定科目ではありませんから、財務諸表に表示される訳ではありません。

対照勘定としては、別にどんな勘定科目名を用いてもよい訳ですが、割賦販売の例でいえば、「割賦未収金と割賦仮売上」あたりの組み合わせが多いようです。
回収基準では、まだ、収益を認識していないので、売掛金という表現を避け、また、「仮」の売上であることを示しているといったところでしょうか。

対照勘定は、ただのメモ勘定ですから、その名称にこだわる必要性は乏しいでしょう。
むしろ、出題時に、「貸借に同額」でのっかってるということが重要です。

総合問題などでは、ざーっと試算表を眺めるときに、軽く対照勘定がないかを意識しておくとよいと思います。
対照勘定をみつけたら両方を同じ形でマークしておくといいでしょう。
もちろん特に特殊商品販売の会計処理についての記述がなくても試算表等に対照勘定があれば、対照勘定法を採用していることになります(って、あたりまえか)。

(関連記事)
「対照勘定法」

割賦販売が一般販売と異なる点

割賦販売が、一般販売と異なるのは、代金の回収が長期、かつ、分割である点です。
このことから、一般の販売形態とでは、収益の認識基準が異なっています。
収益の認識とは、要は、売上(この場合は、割賦売上)をいつ計上するかといってよいでしょう。

一般販売では、販売基準(引渡基準)が原則とされます。
割賦販売の場合には、収益の認識を慎重に(遅めに)行うため、販売基準以外に、回収基準が認められています。

販売基準では、販売(引渡)があった段階で、売上を計上します。
これに対して、回収基準では、代金の回収(現金入金)があった段階で売上を計上することになります。

回収基準では、現金回収をもって、収益を認識しようという訳ですから、手形による回収では、収益は認識しません。

回収基準に類似した基準として回収期限到来基準があります。
回収期限到来基準では、現金回収がなくても、その支払期限の到来をもって、収益を認識します。
もっとも、支払期限以前に現金回収があった場合には、回収期限到来基準をとる場合でも、収益を認識することになりますので注意したいところです。

(関連記事)
割賦販売の収益認識基準

貸倒れの処理・対照勘定法

(1)前期以前引渡分の貸倒れ
前期以前引渡分の貸倒の場合は、対照勘定を相殺消去するとともに(逆仕訳)、貸倒れた割賦未収金に対応する原価を精算することになります。
前期末の決算において、未回収の割賦未収金に対応する原価部分は、繰越割賦商品として処理されており、繰越割賦商品を減額する処理を行うことになります。

(借)割賦仮売上 ××× (貸)割賦未収金×××
   戻り商品  ×××    繰越割賦商品×××
   戻り商品損失×××

※繰越割賦商品は、繰越商品に含める場合もあります。
※繰越割賦商品……割賦未収金×割賦原価率
※戻り商品損失……貸借差額

(2)当期引渡分の貸倒れ
当期引渡分の貸倒れの場合は、対照勘定を相殺消去し、同時に、貸倒れた割賦未収金に対応する原価を精算します。
当期引渡分に対応する原価は、仕入勘定に含まれており、仕入勘定を減額する処理を行います。

(借)割賦仮売上 ××× (貸)割賦未収金×××
   戻り商品  ×××    仕   入×××
   戻り商品損失×××

(3)決算時の処理
決算時には、戻り商品の評価額を、仕入勘定に振り替えることになります。

(借)仕  入××× (貸)戻り商品×××

※期末に戻り商品が残存している場合には、次の仕訳を行います。
(借)繰越商品××× (貸)仕  入×××


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貸倒れの処理・未実現利益控除法

割賦販売を行う場合において、割賦代金が回収不能となった場合の取扱いについてみておきましょう。
まずは、未実現利益控除法です。
未実現利益控除法は、期中は販売基準と同様の処理を行い、期末に回収基準と同様の利益に調整する方法でした。
したがって、割賦売掛金が回収不能になった場合において、その割賦売掛金に対して繰延売上利益が計上されている場合には、その精算を行う必要があります。

(1)前期以前引渡分の貸倒れ
前期以前引渡分の貸倒の場合は、前期以前に繰延べた繰延売上利益のうち、貸し倒れた繰延売上利益のうち、貸し倒れた割賦代金に対応する利益を精算します。

(借)繰延売上利益××× (貸)割賦売掛金×××
   戻り商品  ×××
   戻り商品損失×××

※繰延売上利益の精算→ 割賦売掛金×割賦利益率
※戻り商品→評価額

(2)当期引渡分の貸倒
当期引渡分の貸倒れの場合は、繰延売上利益の精算は必要ない。

(借)戻り商品  ××× (貸)割賦売掛金×××
   戻り商品損失×××

(3)決算時の処理
決算において、戻り商品の評価額を、仕入勘定に振替える処理を行う。

(借)仕  入100 (貸)戻り商品100

※期末に戻り商品が残存している場合には、次の仕訳を行う。
(借)繰越商品××× (貸)仕  入×××


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ボックス図による整理

【ボックス図による整理】

未実現利益控除法及び対照勘定法に共通する割賦売掛金の動きは、いわゆるボックス図で整理したいところです。

割賦売掛金のボックス図といっても、商品なんかと同様に、要は、

(1)最初にいくらあって(期首残)、

(2)いくらふえて(当期引渡)、

(3)いくら減ったら(回収)、

(4)こんだけ残った(当期残)

という関係を勘定にみたてて記入したに過ぎません。

 割賦売掛金
期首    回収
引渡    残高

ただ、一点、大きな工夫があります。

それは、商品引渡時点(当期か、前期か)で分けて考えることです。

商品引渡時点で利益率が異なることがあるので、これを分けるのが、非常に大きなポイントです。

  割賦売掛金
期首    回収
       残高
引渡    回収
       残高

こうすると未実現利益控除法及び対照勘定法のいずれの整理も行いやすいでしょう。

(未実現利益控除法)
  割賦売掛金
期首    回収  ×「前期」利益率 → 戻入
       残高
引渡    回収
       残高  ×「当期」利益率 → 控除

(対照勘定法)
期首    回収
       残高  ×「前期」原価率 → (1)
引渡    回収
       残高  ×「当期」原価率 → (2)
(1)+(2)=期末割賦商品

シンプルな図(あんたのは、図じゃないって)だけに、利用価値は高いと思います。



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未実現利益控除法・戻入

【戻入の処理】

原価80 売価100 支払回数5回

引渡時:(借)割賦売掛金100 (貸)割賦売上 100
回収時:(借)現金預金  20 (貸)割賦売掛金 20

上記のような事例で、未実現利益控除法による決算整理は、

決算時:(借)繰延割賦売上利益控除16 (貸)繰延割賦売上利益16

でした。

未実現利益控除法では、割賦売掛金の未回収残高に利益率を乗じて、利益の控除額を算出しますが、この翌期の処理はどうなるでしょうか。

回収時:(借)現金預金  80 (貸)割賦売掛金 80

このままの状態(利益を調整しない)で損益計算書を作成ても、利益は「ゼロ」です。

しかし、回収基準は代金回収分の収益を計上する方法なので、80円×0.2=16円の利益を計上しなければおかしいでしょう。

つまり、回収部分の利益(回収額×利益率)を利益に加算すればよいことになります。

決算時:(借)繰延割賦売上利益16 (貸)繰延割賦売上利益戻入16

※回収した割賦売掛金×利益率=繰延売上利益戻入


【まとめ】
戻入=割賦売掛金の期中回収額×利益率
控除=割賦売掛金の期末残額 ×利益率


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未実現利益控除法

【未実現利益控除法とは】
「未実現利益控除法」とは、期中は販売基準と同様に処理し、決算で利益の調整を行い、回収基準と同様の利益を計上する方法です。

収益の認識基準という意味合いは、収益を計上すべきタイミングの話で、この点をとらえれば、対照勘定法が合理性を持ちそうです。

しかし、対照勘定法は、一言でいうと面倒くさいです。

そこで期中の処理は、販売基準と同様に行い決算整理で利益のみで帳尻を合わせる方法、未実現利益控除法(修正販売基準等とも呼ばれる)が採用されます。



【会計処理】

対照勘定法と同じ事例で考えてみましょう。

原価80 売価100 支払回数5回

引渡時:(借)割賦売掛金100 (貸)割賦売上 100
回収時:(借)現金預金  20 (貸)割賦売掛金 20

今ここで決算をむかえたとすると、仕入(売上原価)80(これはすでに計上されている)という費用と割賦売上という収益100が残っています。

この差引で利益を計算すると100−80=20 となります。

これは販売基準の場合の利益です。

これを回収基準による利益に直すためには、未回収部分の利益を控除すればよいでしょう。

(借)繰延割賦売上利益控除16 (貸)繰延割賦売上利益16

未回収の割賦売掛金80×利益率(20/100)=16

今、決算整理前の利益は20(100−80)だったので、ここから16を引くと、利益は4です。

対照勘定法を採用した場合と同様になることを確認しましょう。

回収基準同様、一度でいいので納得したいところではないでしょうか。



【繰延割賦売上利益の意味】

なお、細かい話ですが、この場合の繰延割賦売上利益控除は、利益の調整項目(利益のマイナス)を意味し、繰延割賦売上利益は、割賦売掛金に対する控除的な評価勘定(または繰延べられた利益)の意味を持ちます。



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対照勘定法

【対照勘定法の意義と会計処理】

対照勘定法は、商品を相手に引渡したときに、対照勘定によるメモ的な記録を行う方法です。

対照勘定としては、「割賦未収金」と「割賦仮売上」等の組み合わせがあります。

割賦代金の入金があった時点で対照勘定による備忘記録を取り消し(引渡時の逆仕訳)、割賦売上を計上します。

対照勘定はあくまでもメモ的な備忘記録にすぎませんので、必要以上に勘定科目名にこだわる必要はありません。


(例)原価80 売価100 支払回数5回

引渡時:(借)割賦未収金100 (貸)割賦仮売上100
回収時:(借)現金    20    割賦売上  20
       割賦仮売上 20 (貸)割賦未収金 20



【決算時の会計処理】
今ここで決算をむかえたとすると、仕入(売上原価)80(これはすでに計上されています)という費用と割賦売上という収益20が残っています。

この差引で利益を計算すると20−80=△60 で損失が出てしまいます。

これはおかしいです。

どこがおかしいのかというと、仕入(売上原価)が多すぎるのです。

収益を回収部分しか計上しないのなら、売上原価もそれに見合う金額しか計上してはいけません。

具体的には、未回収分に対応する原価を仕入から控除し、資産(繰越商品)として計上します。

対照勘定の残高が未回収金額になりますので、対照勘定残高に原価率をかけると期末(割賦)商品の金額が算出できます。

決算時:(借)繰越(割賦)商品64 (貸)仕  入64

金額は、未回収額80×原価率(80/100)=64 です。

この仕訳の意味合いは、三分割法採用時の決算整理仕訳、

(借)仕  入××× (貸)繰越商品××× ←期首
(借)繰越商品××× (貸)仕  入××× ←期末

の二行目の仕訳と全く同じです。
一度でいいのでじっくりと納得したいところでしょう。



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割賦販売の収益認識基準

【割賦販売の収益認識基準】

収益の「認識」は、収益を「いつ」計上するかを意味します。

要は、

(借)売掛金××× (貸)売 上×××

という仕訳をいつ行うかです。

割賦販売は、代金の回収が分割・長期の販売形態です。

商品販売の基本的な収益認識の時期(タイミング)は、販売(引渡)時点です。

しかし、割賦販売の特殊性を考慮し、その時期を代金の回収時点で行えます。

このような収益認識の基準が「回収基準」です。

また、回収時点ではなく、回収期限の到来時点で収益を認識する基準を「回収期限到来基準」といいます(両者をあわせて割賦基準ともいいます)。

細かい話ですが、回収基準(回収期限到来基準)を採用している場合の手形回収では、収益を認識しません(これはケースとしてないと思いますが)。

また、回収期限到来基準の採用時にも現金入金があれば、収益を認識します。

収益の認識を慎重に行うための基準ですから、現金入金があっても収益を認識しないということはありません。




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